第二話 勇者魔族に初めて邂逅する。
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召喚されてから、1ヶ月がたった、ある日のこと、いつもどうりに武術の稽古をしていると。
「将軍!緊急事態です!王国の国境に、魔王軍が現れました!今すぐに軍を率いて国境に迎えと、国王陛下からのお足しです!」
「なんだと!勇者様申し訳ない。早急に行かなければならない。」
「いえ、それは一大事ですから、どうぞ向かってください」
まさか、こんなに早く魔王軍が現れるなんて…王様の話では、まだまだ先だって言っていたのに……
謁見の間
「陛下、ただいま将軍がお見えになります」
「そうか、宰相、お前はわしの側にいろ、それ以外のものは下がっておれ」
「「「はっ」」」
少しして
「陛下、ただいま参上いたしました」
「よし、楽にしておれ将軍、これからこの世界の希望を守るための、作戦を考えんといけんのだからな」
「はっ、了解しました。それで私はこれから国境に向かい、少しでも時間を稼げば良いのですね?」
「ああ、そなたにこのようなことを頼んでしまい申し訳ない。しかし、そなたにしか頼めんのだ、頼んだぞ
我が友ジョセフ」
「わかっておりますよ陛下、この命に代えても、時間を稼いでみせます!それよりも、陛下はどうなされるおつもりですか?私がいなくなった後の事も、考えているのでしょう?」
「ふん、さすがは我が友だな。よくわかっている。そうだ、お前が時間稼ぎに行った後、勇者を隣国のフォルメニアに向かわせる手筈になっている」
今のこの世界の常識では、魔王軍を討伐は不可能とされており、どれだけの大軍や優秀な指揮官が、いたとしても時間稼ぎにしかならないほどに魔王軍は強いのである。
よって、魔王軍が近くに現れた国は、1つ残らず滅ぼされてしまうのが、常識なのだ。
「そうですか。これで、この世界の希望は、安心ですね。では、私は早速国境に向かいます。
陛下とコルセア王国に栄光あれ!」
こうして、世界で初めての勇者召喚をした、最古の王国は、滅びたのである。
勇者の部屋
「えっ、これから隣の国に向かうんですか?」
「そうですよ。勇者様には、これから隣国であるフォルメニアに、ミカ様と護衛の者と一緒に、向かってもらいます」
突然、メイドさんが部屋に入って来たと思ったら、隣の国に、今から向かうと言われてしまった。
この国に魔王軍が攻めて来ているからと、ジョセフさんが向かったと聞いてから、すぐにこの国を出て行くことになるなんてどうなっているんだ?
「あの〜そうしたら、この国はどうなるんですか?魔王軍が攻めて来てるんですよね。自分も戦いに出していただけませんか?自分は、この1ヶ月でだいぶ強くなったし、実戦も大事だと思うんです!」
すると、メイドさんがすごい険しい顔で、俺に言ってきた。
「魔王軍は、そんなに優しい相手では、ありません!私はこの国の生まれでは、ありません。私の元いた国は、魔王軍によって、滅ぼされました。
その時に、私を生かすために父と母は、死にました。わかりますか!敵はとてつもなく強く、数も多く強大な敵なのです!」
俺は、ここに至って、やっと相手にしている。敵の強さがわかってきた。
(俺は、敵の強さをまったく理解していなかった。まったく相手の事を知らない。俺は今まで何をしてきたんだ!)
「勇者様。これは、私の意見ですが、勇者様は、まだまだ未熟です。そんなあなたが、魔王軍に何ができると言うのでしょうか?
今の勇者様では、1人も魔族を倒せないでしょう。だから、生きて、強くなってこの世界を救って下さい。私の様な悲劇を無くしてください。
それがあなたの使命なんですから」
「わかりました。俺はもっともっと強くなって、勇者と名乗れるくらい強くなります!」
俺は、今まで小説の主人公のように、世界を華麗に救えると思っていた。しかし、この異世界は、それができるほど簡単ではなく、過酷であると、今初めてわかった。
俺が、この異世界にいる理由、それをまた考え直す事にしようと思った。
国境付近
「くそ、なぜこれほどの強者がここにいる!」
そう言ったのは、将軍のジョセフである。今、彼の目の前に見えるのは、およそ10万を超える魔王軍である。
通常、魔王軍は、多くても1万を超えるかどうかである。そして、その程度の軍に、人類側はまったく勝てなかったのだ。そんな魔王軍が、10万もの大軍で来ているのである。これは、過去に類を見ない緊急事態であった。
そして、ジョセフの目の前に立つ魔王軍の指揮官たった1人でコルセア王国軍の8割が殲滅されたのだ。
「我々の目的は、唯一の我々の敵に、なりえる勇者の存在を消すためだ。そして本格的に、この世界の統一をするためでもあるのだよ」
「くっ、なんとしてでも、少しの時間でもいいから、とにかく時間を稼いでやる!!!」
1時間後
そこには、まったく人影がなかった。
こうして、この世界に生きる人間の中でも、優れた指揮官であり将軍だった、ジョセフ・グルーは亡くなったのである。
王城 謁見の間
「勇者よ、これより、隣国のフォルメニアへと行ってもらう。
勇者に同伴するものは、魔術師ミカとメイド4人、そして騎士6人で、行ってもらう。フォルメニアには、書簡で勇者が向かうと、伝えてあるから安心せよ。では、よろしく頼むぞ魔術師ミカよ」
「は、かしこまりました。国王陛下」
こうして、着々と出発の準備が整っていたとき、それは突然襲撃してきた。
「ドゴォォォォォォン」
大きな爆音により、その場にいた多くの人が驚き、固まっているなか、王様が叫んだ。
「何事だ!早急に知らせよ!」
その言葉で、そこにいた騎士や近衛兵、そして魔術師のミカさん達が、素早く動き、状況を把握知るために行動し始めた。
「お、俺はどうしたら?」
(何が起きているんだよ!ここは、安全のはずじゃ!)
「勇者様は、私の後ろにいて下さい!」
そう、ミカさんに言われて俺は素直に言うことに従うことにした。いや、従うことしかできなかった。
「今、城で何が起きてるんですか!」
「ドゴォォォォォォン!!!」
徐々に、そして着々と、この音は、謁見の間に近づいているようだった。
「わからないわ!もしかしたら、魔王軍がこの王城に攻めて来ているのかもしれない」
そして、謁見の間の扉が爆発した。
「ドゴォォォォォォン!!!!!!!」
「く、《防御魔法》」
ミカさんの魔術が発動して、飛んできた瓦礫から全員を守った。
そして、扉の奥から現れたのは、額に2本のねじれた角、薄紫色の肌、そしてギラギラ輝く色のついた瞳、そこにいたのは、魔族と呼ばれる、人類の敵であった。
「ふむ、あそこにいる、あまり見ない顔立ちの少年が勇者かな」
そう、魔族が言った瞬間、王を守っていた3人の近衛兵が突撃していった。
3人は、それぞれ魔族の正面と左右から接近しており、その手には、短槍が固く握られていた。正面から迫っていた近衛兵の一人の短槍を魔族に向けて突き刺した。
「な!?」
しかし、その槍は魔族の皮膚を突き破れずに、皮膚の上に当たっていたのである。
「ふん、脆弱な人間の突きにしては、良いものだったぞ」
そう言って、近衛兵の首を手で、もぎ取ったのである。
「な、なんて腕力なんだよ、どうやったらあんな化け物を、倒せるんだよ」
そして、残った2人の近衛兵も躊躇せずに、向かっていくが、瞬く間に手刀で首を切断され絶命したのである。
「勇者様、国王様!今すぐ逃げて下さい!ここはなんとしても、私が足止めします!」
そう言ったのは、コルセア王国宰相、そして、その場にいた騎士、近衛兵、魔術師ミカたちが、すぐさま勇者と国王を隠すように、陣取ったのである。
「すまない。お前たちには、迷惑をかける。勇者よ、わしについてこい、このさきに隠し扉がある」
王様に、そう言われた俺は…
付いて行かなかった。
「王様、俺は立ち向かうよ!正直言って、すごく怖いし倒せるかも、わからない。けど!ここにいるみんなが、俺のために死ぬのは、すごく嫌なんだ!だからここで魔族を倒す!」
(はは、まったく、勝てるイメージが浮かばないや。でも、ここで魔族を倒せないと、俺はいつまでたっても、魔族を倒せないと思う!だから、だからこそ、俺は逃げない!)
「勇者様!そうゆう問題ではないのですよ!今すぐに、陛下と一緒に逃げて下さい!」
そう、ミカさんが叫ぶが、俺はまったく聴かずに、ただ魔族だけを見ていた。
俺は、腰にある鞘から剣を抜き、両手でしっかりと握り、左足を前にして構えた。
(ジョセフさんに、教えてもらった、そのとうりに剣を振る。それだけを意識するんだ、何もこちらから、いかなくてもいいんだ。ただ相手が来るのを待てばいい)
魔族は、俺が向かってこないとわかった瞬間、他の騎士達を、無視してこちらに向かってきた。
(そうだ!こっちにこい!)
そして魔族が、俺の剣の届く範囲に入った瞬間、魔族の肩に剣を振り下ろした。
「ガキンッ」
「いい一撃だったよ。勇者、だがまだまだ弱いなぁ」
「くっ、だけど、かすりキズをつけれた!」
「ふん、たかがかすりキズで……なっ!」
魔族の肩にできた、ほんの小さなかすりキズ、そこから光が溢れ出し、魔族が苦しみ始めたのである。
「う、あ、これ、は、聖なる、力、だっと!」
そうだ、この力は、1ヶ月の修行によって得た、勇者の力だ!
「ぐ、ガァァァァァ……」
魔族は、そのまま苦しみ続けて…そして聖なる光によって消滅した。
「な、あの魔族を、たった一撃で…」
「これなら、我々人類は、魔族に勝てるぞ!」
「「「おお!!!」」」
「「「勇者様バンザーイ、勇者様バンザイ!!!」」」
こうして、勇者による初めての魔族討伐は、終わったのである。
その後、勇者は30年間戦い続け、そして戦争を終結させたのである。
そして時は、1万3100年後の世界……
これにて第0章は終わりですw
(第0章て、あるんかな?)
次回から第1章始まるのでよろしくお願いします。