第一話 始まりの時
投稿初心者です。誤字・脱字などはご指摘していただきたいです。これからよろしくお願いします。
これは、およそ一万三千年前
この世界にこれからの未来を大きく変える一人の人間が現れようとしていた。
〜神歴103年〜とある王国〜
「これより、世界と神々の力による勇者召喚の儀式を執り行う。皆の者、準備は良いか?」
「はい、いつでも儀式を執り行えます」
この世界の名前はアウログランディア
この世界には五十柱の主神とその下に連なる数百の神々が存在し生命を育んでいる世界だ。
そして、このアウログランディアは今現在三十一柱の邪神達による五十柱の主神達に挑んだ戦争。
第二次神話対戦の真っ最中である。第一次神話対戦は主神側の勝利だったが、この第二次神話対戦は邪神側の圧倒的な優勢になっていた。
この状況を打開するために神々は異世界から勇者を召喚することにしたのである。
そして今、勇者召喚が行われようとしていた。
「これより、異世界の勇者の召喚を開始する。今日この日のために数十年間もの準備をしてきた!それに、この儀式を妨害する。悪しき者達による様々な攻撃があった。この儀式の準備ために散っていった戦士達のためになんとしてでも、勇者召喚を成功させるだ!」
そして、召喚の儀式は順調に進んでいき召喚の時が来た。
「さあ!この世界に異世界からの勇者様が召喚されるぞ!!!!!」
そして、魔法陣から発するとてつもない光の渦がその場にいた全ての人の視界を白に染め上げた。
ドサッ
光が収まった後、魔法陣の中心に一人の青年が倒れていた。
「こ、ここはいったい?いったい何が起きたんだ?ここはどこなんだよ?」
「ようこそ。異世界からの勇者様この世界をあなたの力で救っていただきたい」
そう、そこに倒れていた青年こそが、ここアウログランディアを救うために召喚された勇者なのだ。
今ここに、一人の異世界人によるこの世界を救うための過酷で辛く孤独な戦いが始まろうとしていた。
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時は遡る
〜平成27年〜日本〜
日本のどこにでもある高校
俺の名前は辻 京悟、高校二年生だ。俺の在籍している高校は地元にある普通の進学校の一つだ。
(俺は自称進学校だと思っている)
「今日の授業はめんどくさかったな〜ほんとなんで数学の授業が3つもあるんだよ〜」
俺は、いつもと変わらない帰宅路をいつもどうり一人で歩いていた。
俺の家の近くには同級生や後輩それに先輩がいなかった。まあつまり、簡単に言ったら幼馴染と呼べる存在が全くいないのでいつも一人で家に帰っているのである。
ほんと幼馴染の一人でもいればよかったのにな〜
まあ、ほんとうに今更か。
「うん?なんか光ってる?」
そうして、ぼーっと歩いていると突然、俺の目の前に光るものが現れた。
そしてそれは、俺の周りに来ると高速で回り始めたのである。
その回転スピードはどんどん早くなっていき光の軌跡が俺を覆い尽くしたのである。
そうして、今に至る。
(確か、俺は光ってる何かに覆われて…それで気づいたらここにいた。本当に何が起きたかわからないまあ、可能性としてはテレビのドッキリとかかなぁ)
そう思っていた京悟だったが、しかし、京悟はその周りの異常性に気づいた。
周りにはたくさんの人がいたが、その人達の服装が現代日本に住むものには見たことがないような服装だったのである。
「あ、あの、ここはどこでしょうか?」
「ここはアウログランディアと呼ばれている世界ですよ、勇者様」
「ゆ、勇者?それになんか喋り方もおかしい?」
(日本語に聞こえるのに、唇の動きが合ってないような…)
そう、この世界の言葉と京悟のいた世界の言葉は異なっている。では、どうして会話ができているのか?
それは、この世界の特殊な特徴に関係している。
この世界には、魔法というものがありそれに加えてスキルやステータスといった、京悟が住んでいた世界にはないものが存在していたからである。
(もしかしたら、京悟のいた世界でも昔にはあったかもしれないが)
「とりあえず、勇者様頭の中でステータスと唱えてください。そうしましたらステータスと呼ばれるものが現れるはずですのでご確認ください」
「わ、わかった」
(本当に、何が何だかわからないけど言われたとうりにやってみるか)
「うわ!な、なんだ、これ」
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ステータス
名前 : 辻 京悟
種族 : 人間(異世界人)
性別 : 男
年齢 : 16歳
職業 : 勇者
LV:1
体力:167/167
魔力:98/98
筋力:47
魔法力:23
物理耐性:78
魔法耐性:36
俊敏性:39
特殊スキル :
《鑑定眼》《言語理解》
魔法スキル :
《光魔法LV1》《火魔法LV1》《氷魔法LV1》
武術スキル :
なし
技能スキル :
《算学LV6》《料理LV1》
加護 :
《創造神の加護》《母神の加護》
称号 :
《異世界人》《転移者》《異世界の勇者》
《初代勇者》
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「これが、ステータス?まさか本当にこんなことができるなんて」
(こんなの、今まで生きてきて見たことも聞いたこともない、まさか本当にここは小説とかライトノベルにあるような異世界?)
「お分りいただけたでしょうか?これがこの世界の常識であり絶対に覆らない絶対法則なのです」
まさか本当に、俺は異世界に来て勇者として召喚されたのか。こんなことが現実になって俺の身に起きるなんて…それよりも、俺はこれからどうすればいいんだろうか?何が何だかわからなさすぎる。
「あ、あの?これから自分は、どうしたらいいんでしょうか?」
「勇者様には、この世界いる悪しきもの達を倒して、この世界を救って欲しいのです」
それから2時間後
大体この世界の状況や俺の使命について説明された。そして、この世界の人々の生活などの常識を教えられた。本当にこの世界は異世界のようだ。
「とりあえず勇者様には明日から武術のほうをやっていただきます。それと同時に魔法を鍛えてもらいます。この世界の常識についても学んでもらいこの世界について知ってもらいます。それまでは、どうぞおくつろぎください」
というわけで、俺は明日まで時間ができたようだ。この時間を使って頭を整理しようと思う。
俺は、メイドさんに連れられて自分の部屋に案内された。メイドさんの服装や行動は日本にあるメイド喫茶のものとほとんどそっくりだった。
さてと、まず始めるのは…
「よっしゃ!!!!!!まさかこの俺が勇者になれるなんて!」
俺は、喜びに浸ることにしたのである。
この時の俺は元いた世界でよくある小説とかの勇者になったんだと思っていた。俺は無意識のうちにこの世界のことを、小説の中の物語と同じものだと勘違いしていたのだ。
ここは、全く小説の世界とは違う現実なのに…
翌日
「今日より勇者様に武術関連を指導することになりました、ジョセフ・フースホフトと申します。以後よろしくお願いいたします」
俺に武術を教えてくれるのはジョセフさんという正しく武人のような人だった。
「とりあえずは、いったいどんな武器にするのかを決めましょう」
そういうわけで武器選びに入ったのだが…
この世界で、主に使われている武器は、剣、槍、斧、弓、盾、槌、戦斧、他にも数は少ないが刀などの武器もある。
まあ、俺が使いたい武器はもう決まっているが…
「俺は剣を使いたいと思います。一応、前の世界では剣道という刀に似た竹刀と呼ばれる物を使う剣術があってそれをある程度やっていた経験があるので剣にします!」
「剣道ですか?よくわかりませんが…刀ではなく剣を使ってみたいのですね。わかりました。一応、私は剣を主に使っているので教えることに関しては問題ないです」
そんなこんなで俺は正式に剣を訓練することになった。やっぱり勇者といえば剣!それも聖剣とか使ってみたいな!
そういえば、ジョセフさんはこの国で何をしてる人なのかな?
「ジョセフさんは普段この国で何をしてるんですか?」
「そうですね。私はこの国の将軍をしていますね。この国の平和を維持するために軍の指揮をしたり国の防衛に従事する立場にいます」
しょ、将軍だって!?俺はこんなに偉い人に剣を指導されるのか。やはり勇者だからかな?あまり怒らせないようにしよう…
「これからよろしくお願いします!」
こうして、俺の剣の指導が始まった。
まず最初に行ったのは走り込みだった。戦士に一番大切なのは体力だ。俺は勇者だから普通の人間よりもステータスが高いので問題ないと思っていたが全くダメだった。そういう訳で、今俺は走り込みをしているのだ。
「はあっ、はあっ、はあっ、いきなりっ、40キロ走るなんて、はあっ、も、もう、むり…」
さすがは将軍様だ。なんて厳しい人なんだ。俺はそのまま倒れてしまい気絶してしまった…
勇者の部屋
「う〜ん、ここは?」
「お目覚めになられましたか?よかったです。ここは、城内にある勇者様のお部屋ですよ」
メイドさんがそう俺に話しかけてきた。
(このメイドさんは、俺専属の人ですごい落ち着いた人だ)
そういえば俺は40キロ走っている途中に気絶したのか。ジョセフさんに迷惑をかけてしまったなぁ。
扉が「ドンッ」という音を立てて開きジョセフさんが出てきた。
「申し訳ない。勇者様この責任は私にあります。どうか私の命だけでお許しください」
そう言ってジョセフさんは俺に頭を下げてきた。
「い、いえ、そんなことしなくても大丈夫ですよ!それよりもこちらこそ迷惑をかけてしまい申し訳ありませんでした」
聞くと俺が倒れてからまだ1時間程しか経っていなかった。とりあえず昼食の時間まで休むことになった。
午後からは、武術ではなく、魔法の方に入った。
魔法は、元いた世界にはないものだからどんなものかわからないけど魔法自体はすごく憧れていので本当にどんなことができるようになるのかが楽しみだ。
「私は、魔術師のミカ・ルヒィーネルイドと申します。これから勇者様に教えていくのでよろしくお願いします」
俺に[魔法]を教えてくれるのは、ミカさんといういかにも魔法使いといった服装の若い女性だった。
この世界の[魔法]は大きく4つに分けられていて魔法、魔術、魔導、魔道の4つに分けられている。
俺のステータスにある。《光魔法》と《火魔法》と《氷魔法》は魔法と書いてはいるが魔法以外の3つともに効果があるそうだ。
つまりは、《火魔法》というスキル1つで火魔法、火魔術、火魔導、火魔道の4つに適性があるということだ。
しかしながらその4つ全てができるという訳ではなくそれぞれに得意不得意があるため魔法使いや魔術師などに分かれているそうだ。
「勇者様は、どの属性を持っているんですか?やはり光とかですか?」
「えっと、俺が持っているのは光と火と氷ですね」
「え、勇者様は三属性なんですか!」
「えっと、そんなにすごいことなんですか?」
「これは、すごいことですよ!ほとんどの人が一属性で二属性でも珍しいんですから!」
まさか、そんなに珍しかったとはやはり勇者の名はは伊達ではないみたいだな。
しっかりと、この力を使ってこの世界を救い平和な世界にするんだ!
そんな決意を再び勇者はしたのだった
「まずは、魔力を感じることから始めましょうか。まずは自分の中に巡っている力の流れを感じてみてください。感じたら手の中に持っていくイメージをしてみて下さい」
(自分の中にある流れている力…これかな?それを手の中に持っていく…難しいなこれは、とりあえず血管の中を通して手に持っていくイメージを…)
「うわ!」
俺の手に赤と水色と白の混ざった光の靄のようなものが出始めた。
「さすが勇者様です!まさかこうも簡単にやってしまうとは本当にすごいです!」
こうして、初めての魔法の授業が始まったのである。
それからは、アウログランディアを救うために勇者は力をつけ始めた。
……しかしまだまだ未熟な勇者の近くにはもうすぐそこに過酷な戦いの日々が近づいているのを、まだ勇者は知らない……