表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/25

第九話 おんぶでハイキング

前回のあらすじ

 

 【東の草原】でスライムを狩りまくった社と梢。

十分にレベルアップを済ませた二人は【始まりの町】で回復アイテムを揃えることに。


前回登場したスキル【野性解放】を【獣化】という名前に変更し、テキストも少し変更しました。

【始まりの町/商店街】


「さて、何買う?」

「えーと、取り敢えず回復用の薬的なやつと状態異常を治せるやつはマストでしょうね」

「じゃあ、その辺りを手にいれたらもう一度フィールド出てみるか」

「賛成です。正直あまり要らない気もしますけど」


 と、言うわけで俺たちは雑貨屋のような店に入って、回復用の「薬草」(生でモシャモシャ食べろということか)と「麻痺治し」「毒治し」といった状態異常用のアイテム(黄色や紫色の粉末タイプ)と「水」(竹筒入り。薬類を飲むときに使おうと思う)を買ってきた。

 俺たちプレイヤーにはアイテムを十種類まで持ち歩ける機能が備わっていて、各種20個まで持ち運べ、それを越える個数を持ち歩きたいときやより多くの種類のアイテムを持ち歩きたい場合は、別で「鞄」というカテゴリーの装備アイテムが必要になる。

 俺たち二人ともが上記のアイテムを20個ずつ持つようにした。

 お互いにスライムを狩りまくったお金が余っていたのである。


「ねぇ、社さん。この後はどこに行くんですか?」

「あぁ、【東の草原】の奥に森っぽいのがあったろ? あそこに行ってみようかと思ってな」

「了解です」


 ――


 「後悔先に立たず」と言うが、それでもやはりもう少し思慮深く考えるべきだったのだろう。

 「【東の草原】の奥に森があるから見に行こう」なんて簡単に言うんじゃなかったと、道中何度後悔したことか。

 途中で邪魔をしてくるスライムも、今やWA(ウェポンアーツ)なしでも余裕で勝つことができる。ゲームだからどれだけ歩こうが疲労を感じることはない。天候も快適、寒くもなく暑くもなく穏やかな日だ。

 だが、暇なのだ。

 視界を遮ることのない草原の先に見えた森。肉眼でも十分確認できることから、そんなに遠くはないと舐めていたのだ。

 しかしここはゲームの世界。いくら“リアル”とはいっても、動物も植生も現実とは大きく異なる。

 例えば近くに見えていた森は、現実世界では類を見ないほど背の高い木々の集まりで、遠近感が狂っていただけというオチ。

 僕らはそのオチを素直に認められず、かといってここまで来て収穫なしで町に戻ろうとも言えないわけだ。


「社さん、私たちどんくらい歩いてます?」

「一時間半位歩いてるから、7kmから8kmくらいじゃないかな」

「暇です。超暇です」

「あ……」

「どうしました?」

「さっき商店街で『笛屋』なるもの見つけて、なんだろなーって思ってたけど、もしかして馬とか喚べる笛でも売ってたのかな。ゲームにありがちな」

「あー、社さんのあほー。なんでこのタイミングで思い出すんですか」

「どうする? 引き返すか?」

「なに言ってるんですか。絶対このまま森にいく方が近いじゃないですか」


 うん、梢のメンタルがいい感じにぐずぐずになってきたな……。

 犬耳や尻尾にも覇気がない。

 仕方ない、ちょっと頑張るか。


「おい、梢。乗れ」

「へ? 社さんなにを?」

「おんぶしてやろう」


 梢の前で背を向けてしゃがんでやった。

 気分的には、歩き疲れた子どもおんぶしてやるお父さんといったところだが、仕方ない。


「え、本当に乗っていいんですか?」

「あぁ、構わない。乗れ」


 恐る恐る梢が俺に乗っかってくる。

 おんぶなんて日常的にすることがなかったのでバランスがとりにくかったが、少しするとふらつくことなく歩くことができるようになった。

 

「よし、しっかり掴まってろよ!」

「は、はい!」

「腕力強化!」


 スキルを使用しながら、俺は勢いよく駆け出した。

 初めは梢が乗りやすいようにと姿勢を低くしていたが、このまま走ると、そのうち躓いて、慣性の法則により梢を背中から発射するような形で落としてしまいそう(その場合、梢は頭から落ちることになる)ので、すぐに上体を起こし気味で走ることにした。

 

「や、社さん! 揺れる! 揺れます! おんぶってされてる方もわりと大変なんですね!」

「おぶってる方も大変だよ!」

「私、重くないですか?」

「重い、割と重い! だが持てないほどではない」


 俺の言葉が気に入らなかったのか、はたまた単に自分が落ちそうになったからなのか、梢は俺の首に手を回すようにして体を固定してきた。

 背後から首に手を回されるのって生物的に恐怖を感じるもんだ。

 背中には梢の胸が当たってるはずだが、もう厚手のタオルが当たってるくらいの感覚はしかない。多分今それを言うと俺の首は絞められるけど。

 あと、おんぶをしてみて分かったが、これは身長差が大きくないとなかなか難しい。梢が脚で俺を挟むようにしてくるので、若干脚の動きも制限されるのだ。


 ――


 おんぶを初めてから約10分後、俺達は無事に目的の森に到着した。


「特定条件達成により、スキルブックにスキルが追加されました」


 ここでシステムアナウンスかよ……。なにしたっけ?


「はぁはぁ……かはぁ……や、やっとついたか」

「だ、大丈夫ですか……?」


 俺のKep値は諸々込みで132だか、その限界を見た気がする。

 持ち上げるだけならStr値148のお陰で大丈夫だったんだが、力をだし続ける能力の方に限界がきた。

 森の入り口付近でアイテムの「水」を飲んで少し休憩。ゲーム世界だし喉渇いてたわけでも、飲むことで疲労が取れたりするわけでもないんだけどね。

 今のうちに追加されたスキルを確認しておこう。


【AS:リフト&キャリー】

自身の限界まで力を使いきったからこそ得られた技術(スキル)

人や物、モンスターなどを持ち上げ、運ぶ際に必要となるStr/Kep値を半分にできる。


 取得しました。

 別に必要だとは思ってないのだが、今日の頑張りの証拠みたいなものが欲しかったのだ。ちなみに、これをとるのにSPを10ほど消費した。

 さて、そろそろ休憩は終わりにするか。


「思ったより深そうな森だな」

「ですね……薄暗くて不気味です」

「行くか」

「行きましょう」


 さて、おんぶで草原を駆け抜けたあとは、森の中をお散歩だ。

 俺たちはいまいち緊張感がない気もするが、まぁ、スライムにどもがいたフィールドと続きになった場所だし、そんな苦労はしないだろう。

(ヤシロ)レベル9


装備

装備(頭部):深緑(しんりょく)の眼鏡

Def+1

装備(胴):カッターシャツ(白)

Res+1

装備(上):スーツ/ジャケット(黒)

Def+1

装備(装飾):ネクタイ(紺)

Res+1

装備(装飾):錨マークのタイピン(金/紺)

Spe+1

装備(手):指貫グローブ(黒)

Str+1 Kep+1 

装備(装飾): アルトラのブレスレット

ナビゲーションキャラクター アルトラと話せる。

装備(下):スーツ/スラックス(黒)

Def+1

装備(靴):革靴(黒)

Spe+2


ステータス()内は装備による加算。

Str:106(+1)

Kep:70 (+1)

Def:50 (+3)

Mag:45

Res:50 (+2)

Spe:78 (+3)


武器:素手 レベル13 Str/Kep +36

スキル:

【WA:ストライク】レベル8

武器《素手》の専用スキル。拳に力を込めて相手を撃ち抜け!

Str値の235%のダメージを与える。

【WA:クラッシュ】レベル7

武器《素手》の専用スキル。貴様の手で砕けぬものはない!

Str+Kep値の180%のダメージを、手で掴んでいるものに与える。

【WA:インファイト】

武器《素手》の専用スキル。防御?そんなものは棄てて相手の懐に潜り込め!

相手との距離を0にする。

【AS:腕力強化Ⅰ】レベル3

Str/Kep上昇+20%

【AS:リフト&キャリー】

自身の限界まで力を使いきったからこそ得られた技術(スキル)

人や物、モンスターなどを持ち上げ、運ぶ際に必要となるStr/Kep値を半分にできる。

【PS:不屈】

行動阻害系のスキル無効。Res上昇+5%


SP:38

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ