第八話 後輩はバーサーカー
前回のあらすじ
初めてのフィールドでスライムを倒すことに成功した主人公。
その後、次々とスライム倒していったようで……。
Enemy Clear!
「レベル上昇 8→9 、SP+3、 ステータス上昇各+5 ボーナスポイント+3」
「武器レベル上昇《素手》12→13 Str/Kep+3、SP+2」
「スキルレベル上昇【ストライク】7→8 ダメージ上昇:Str値の235%、スキルレベル上昇【クラッシュ】6→7 ダメージ上昇:Str+Kep値の180% 、スキルレベル上昇【腕力強化Ⅰ】2→3、効果上昇:Str/Kep上昇+20%」
一体目のスライムを倒したあと、目につくスライムを片っ端から狩っていた結果、武器レベルが結構上がったので少し休憩する。
スキル【クラッシュ】の使い心地はなかなかよかった。
発動させると手が金色の光を放ち、その状態で何かを掴み力を込めると掴んだ物が砕け散るというような技だった。体感としては握力が強くなったって感じかな。
【クラッシュ】は主にスライムの中に浮かんでる“核”のようなものを破壊するのに使った。後ろから近づいて、スライムの体に腕を突っ込み、相手が気付いたときには核が砕け散ってるという寸法だ。
核を破壊すると残りHPに関係なく消滅するようなので効率がいい。
【腕力強化】はあまり「使ってる」という感じがしなかった。相手が弱くて、いまいちダメージが増えた実感がないのだ。今のところ「使わなくてもいい」という評価だな。一応レベル上げのために使いはするんだけど。
「さて、ボーナスポイント振っとくか」
プレイヤーレベル上昇に伴うボーナスポイントの割り振りが地味に面倒だった。とりあえずは何も考えずにレベルアップ毎にStr+2 Spe+1で。
さて、今ステータスはどうなってますかね?
ステータス()内は装備による加算。
Str:106(+1)
Kep:70(+1)
Def:50(+3)
Mag:45
Res:50(+2)
Spe:78(+3)
Str値が頭1つ出てるな。初期ステータスの段階で多目にポイントを振った結果だろう。
これに武器《素手》レベル13 による能力上昇を加えると、Strには+36なので
Str:142
スキル【腕力強化】をかけると、さらに元々のStrの20%が加わるので
Str:163
この状態で【ストライク】を使うと、Str値の235%だから、ダメージは383。
【クラッシュ】はStr+Kep値の180%なので、腕力強化込みだとダメージは509か。
うーむ、数字だけ見てもこれが強いのかどうかは分からな。
ダメージだけ見ると【ストライク】とり【クラッシュ】の方が強力だが、少しでも当たればダメージの入る【ストライク】に対して、【クラッシュ】の方は“何かを掴む”という動作が必要な分、使い所が限られてくる印象だな。
そろそろ俺もレベルが上がりにくくなってきたし、ずっと放置してた梢の様子を見に行くか。
――
俺たちがいる【東の草原】はとても広いが、視界を遮る障害物はほとんどないので、顔を上げるとすぐに梢らしき人影が見えた。
あくまで、「らしき」人影が。
周囲を警戒しているかのように前を向いた犬耳、フィールドで別れる前に見たふわふわの尻尾とはおよそ別物の毛が立った尻尾。斧を持った手をだらりと下ろし、姿勢を低くして前を睨むその姿は、人間というより獣のそれだった。狂戦士という言葉がぴったりだな。
「グルゥゥゥ……グラウッ!」
普段の子犬のごとく可愛い姿からは想像できないような低い唸り声を上げながらスライムに飛び掛かっていく梢。
手に持った斧を、横薙ぎに振るう。
繊細さの欠片もない豪快な攻撃は、危機を察知したスライムの表面を軽く撫でるのみにとどまった。
しかし、斧がかすった部分からスライムの体が崩壊し、それと同時に、俺の視界の端に映る梢のHPバーが回復していく。
「フルシュルルルル……」
「お、おーい。梢、だよな?」
「グルゥ? ……ん、あぁ社さん! どうしたんですか?」
俺が声をかけると、さっきまで梢を取り巻いていた獣のような殺気が消えていった。
「いや、こっちがそろそろレベル上がりにくくなってきたから、ここらで休憩しようかなと思ったんだけど……。さっきのなに?」
「あー、見られちゃいましたか。いやはやお恥ずかしい」
「あぁ、すごかったぞ。スキルか何かか」
「えぇ、WA【獣化】ってやつですよ。効果はこんな感じです」
【WA:獣化】
武器《大剣/斧/ハンマー》専用スキル。その内に秘めた野性を解き放ち、獣の如く本能のままに動くのだ!
Str/Kep/Spe値上昇:300%、Def/Mag/Res値を0にする。
スキル使用中の攻撃で相手のHPを減らした場合、そのHP分、自身のHPを回復する。
このスキルを使用した戦闘での経験値は1/4となる。
……なにこれ?
こんなの使われたら勝てないじゃないか。
まぁ、梢と直接バトルするつもりはないんだが、それでも同じようなプレースタイルの者としては少し悔しいな。
「とんでもないな、お前」
「えぇ……自分で使ってみてもブッ飛んでると思います……。最初の何体かは他のスキルを使いながらやってたんですが、その後のほとんどをこのスキルの制御に費やしてしまいましたね。さっき見ていたなら分かる通り、まともに武器が当たらなかったりするんですよ……」
「ちなみにプレイヤーレベルは? 俺は9だが」
「私は8までいきました」
経験値1/4のハンデを負っているのにも関わらず、俺と1つしかレベルが違わないだと?
一体どんな量のスライムを倒してたんだよ……。
「えーと、そろそろ一度町の方に戻ろうか。お互いHPはそれほど減ってないとはいえ、一応回復アイテムとか必要だろうし」
「はい、わかりました」
俺は不意討ちばかりでダメージを負ってないし、梢は【獣化】のHP吸収効果でほとんどHPが減ってない。
だからお互いにそれほど疲弊してるわけではないのだが、この先もこのまま進めるかも分からない。回復アイテムやその他消耗品を見ておくのも悪くはないだろう。
そんなわけで、俺たちは二人揃って町へと帰るのだった。
途中現れたスライムを蹴散らしながら。
社レベル9
装備
装備(頭部):深緑の眼鏡
Def+1
装備(胴):カッターシャツ(白)
Res+1
装備(上):スーツ/ジャケット(黒)
Def+1
装備(装飾):ネクタイ(紺)
Res+1
装備(装飾):錨マークのタイピン(金/紺)
Spe+1
装備(手):指貫グローブ(黒)
Str+1 Kep+1
装備(装飾): アルトラのブレスレット
ナビゲーションキャラクター アルトラと話せる。
装備(下):スーツ/スラックス(黒)
Def+1
装備(靴):革靴(黒)
Spe+2
ステータス()内は装備による加算。
Str:106(+1)
Kep:70(+1)
Def:50(+3)
Mag:45
Res:50(+2)
Spe:78(+3)
武器:素手 レベル13 Str/Kep +36
スキル:
【WA:ストライク】レベル8
武器《素手》の専用スキル。拳に力を込めて相手を撃ち抜け!
Str値の235%のダメージを与える。
【WA:クラッシュ】レベル7
武器《素手》の専用スキル。貴様の手で砕けぬものはない!
Str+Kep値の180%のダメージを、手で掴んでいるものに与える。
【WA:インファイト】
武器《素手》の専用スキル。防御?そんなものは棄てて相手の懐に潜り込め!
相手との距離を0にする。
【AS:腕力強化Ⅰ】レベル3
Str/Kep上昇+20%
【PS:不屈】
行動阻害系のスキル無効。Res上昇+5%
SP:48
――
スキル【獣化】の補足。
このゲームにおけるスキルには、プレイヤーごとに僅かな個人差が存在する。
【獣化】はスキルの説明欄にある通り、使用者の“本能”を発現させるため、プレイヤーが内に秘める本性に近い形でエフェクトが変化する。
梢の場合はイヌ科動物のような様子になったが、ゴリラのように筋肉量が増える者やネコ科動物のような爪と牙が現れる者もいる。
【東の草原】とは。
スライムしか出現しない、多くのプレイヤーにとっての初めての戦闘場所。
適正レベルは1~3。
繰り返す、適正レベルは1~3である。