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第六話 初めての死

前回のあらすじ


 キャラメイクで武器を使えないことがわかり、武器を持たずに素手のみでゲームに参加することになった社。

 彼は「武器を持てない」というバグのペナルティによってHPが0になり、初めての死を経験してしまう。

 ――気がつくと俺は何もない空間に立っていた。

 さっきまで俺の頭を支配してた轟音は綺麗さっぱり消え去り、妙に頭がスッキリしている。


「気がつきましたか?」


 目の前にナビゲーションキャラクターであるアルトラさんが立っていた。キャラメイクのときもだったけど、なぜか現れたことに気づけないんだよな。


「あぁ、もう大丈夫。えっと、俺は死んだのかな」

「はい、死にました。と、いっても今回は特別にデスペナルティはなしですし、ここでの緊急チュートリアルが終わればさっきまでいた場所に戻ることができます」

「なるほどそりゃありがたい。ゲーム開始直後にデスペナルティは洒落にならんからな。で、さっきのはなんだったんだ?」

「詳しいことは鋭意調査中です。……しかし、1つだけ分かったことがあります」

「……武器を持ったら()()()()ってことか」

「はい、調べた結果、社さんは今後も武器に触れると拒絶反応が起こるようです。……恐らく、他プレイヤーが持つ武器やモンスターの武器についても同様かと」

「つまり、俺は自分が武器に触れないだけじゃなく、モンスターが持つ武器に触れるのもダメ。触れたら武器ダメージと拒絶反応のダブルでダメージを受けると?」

「はい……恐らくは」

「……ベリーハードじゃないか」

「やはり、別のソフトでログインし直した方がいいのでは」

「なぁ、知ってるか?」

「はい?」

「俺は筋金入りのゲーマーだからな、難易度なんか上がれば上がるほど燃えてくるんだよ」

「……。わかりました。それではこのままゲームをお楽しみください」


 格好つけたつもりが引かれてしまったか。

 まぁ、事実ではあるんだけど。


「あ、そうそう。この武器《素手》ってのは他のプレイヤーに話しちゃっていいのかな? さっき連れに言っちゃったんだけど」

「はい、話してもらっても構いません。が、その場合貴方が他のプレイヤーからどのように思われても、こちらとしては対処いたしかねます」


 誰も使えない俺だけのユニークスキルみたいなもんだもんな。武器自体による補正を受けられないというデメリットがデカイとはいえ、この何千、何万という人がプレイするゲームにおいてオンリーワンになれるわけだから、妬みがないとも限らないだろう。

 それに、武器に触れられないという決定的な弱点が露呈してしまえば|他プレイヤーによる殺人《PK》をされかねない。


了解了解(オーキードーキー)、梢にも口止めしとくか」

「そうした方が懸命かと」

「ん。他になんか俺に伝えたいことは?」

「では、一つだけ」

「なんでしょう」

「あなたが()()()()()原因に心当たりは?」

「……ないよ」

「……そうですか」

「他には?」

「ありません。もう帰られますか?」

「おう、帰れるなら帰してもらおうかな。梢のやつが泣いてるかもしれんからな」

「……では目を閉じてください。今から3つ数えます。その後目を開ければもう前ほどまでいた場所に戻ってます」


 目を閉じる。


「いち、にー、ご武運を、さん」


――


「……ぱい! 先輩! 起きてください!」


 目を開ける前から、もとの場所に戻ったことに気付かされた。


「お、おい。梢」

「はっ! 先輩! 起きましたね! どうしたんですか! 寝不足ですか!」

「さっき泣いてたのは見てなかったことにしてやるから、大声とテンションだけで乗り切ろうとしないでくれ」

「はひっ!? な、泣いてなんかないですよ! まったくもう失礼しちゃいます……」

「はいはい、分かったから。それより、ちょっと顔どけてくれるか?そんなに覗きこまれると俺も起き上がれん」


 目が覚めたとき、俺は地面に座り込んだ梢に膝枕をされていた。

 いつか彼女ができたらしてもらいたいことランキング第4位にいる「膝枕」が、こんなところで叶えられるなんて思ってもみなかった。ただ、1つ欲を言わせてもらえば、膝の上から見上げる顔が笑顔だったら良かったんだが……まぁ、俺のために泣いてくれた後輩にとやかく言うまい。

 今はともかく周りの目があるので、落ち着いて座り直したいところだな。立ち上がってみても体に違和感があるわけでもなさそうなので、二、三回屈伸をしてから梢を立たせてやって、二人で並んで椅子に座り直した。


「えっと、せn……社さんはもう大丈夫なんですか?」

「呼びにくいなら『先輩』でもいいんだぞ?」

「いえ、『社さん』と呼ばせていただきます」

「そうか。体の方は大丈夫だ。ついでにさっきの症状の原因も分かった」

「え、なんだったんですか?」

「どうもなんらかのバグがあるらしくてな、俺は武器という武器に一切触れないようだ。触ると頭の中で大きな音が鳴り響いて、立ってるのもやっとになる」

「え、それって大丈夫なんですか?」

「大丈夫だよ。モンスターの武器に触れるのもアウトだから二重でダメージを受けることになるけど、それだって相手の攻撃を全部避けりゃいいだけだし」

「さらっと言いますね……」

「まぁ、実際にやってみないと分かんないけどな。まだ俺たちは始まりの町すら出てないわけだし」

「それどころか私たちまだ数十歩くらいしか歩いてません」

「だな。じゃあ、そろそろ行くか」

「はい、行きましょう」


 こんなに腰の重いプレイヤーが他にいるかというくらい時間がかかったが、そろそろ本格的にゲームを楽しむとするか。

次回、いよいよフィールドへ。

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