ツノ
上半身の服がきえていても決して寒いということはない。
周り火山のようだから。
なのに不思議と熱すぎない。
不思議な空間に顔をゆがませた。
何だ、死後の世界も案外きつくないのだな。
揺らぐ景色に自分が立ちくらみを起こしているのがわかった。
まだ血が足りないのだろう。
薄れゆく意識の中で確かに感じ取った手の感触。
目を開けたときには目の前に角の生えた女性が俺に膝枕をしていた。
「ようこそ地獄へあなたは大犯罪者グレーの息子ね彼には世話になったわ。それにしてもこの若さで死んじゃうなんて情けないわね。グレーに笑われるわよ?」
「うっせーな、あんたも親父の肝いりか?ってか俺は父親の威光のせいでよけいなくろうをしてきてんだっつーの!怒り狂ってんだよわかる?」
「ふーん、口だけは悪いのね?でも、文句ばっか言ってて強がってる子供と変わらないわよあなた。最高にダサくて情けないわ」
「あぁん!?なんだとこらぁああ」
「本当のことを言われてキレる、こども以外のなにものでもないじゃない?彼はカッコいいわよ――悪さをしてきてもただフッと笑って多くを語ろうとしないの。でもその背中には確かに大きなものがあって・・・それに比べてあなたは何?思い付きで殺されて、死ぬときも薄ら笑い逃げられると思ったの?つらい現実から救われると?残念でしたそのままだったらここでもあなたは笑い者よ!」
「くっ・・・じゃあどうすればいいんだよ俺は頑張ったんだでもかなわなくてそれでどんなにあがいてもエリートたちに勝てなくて父と比べられて、負けて嫌がらせされて・・・!うんざりなんだよぉお!!!」
「ふーん・・・で?」
「奴らを全員ぶっ殺してやろうと・・・・・・」
「それでなんで馬車に切りかかってやられてんの?」
「俺が弱いからだよ・・・悪いかよ・・・!」
悔しさに涙が出てきた。
「あれ・・・泣いちゃった?ふふ。かーわいい。私弱い子供が泣きっ面を浮かべて強がってるのがだーい好きなの♡」
「うっせーバーカ死ね・・・」
「ふふ、とりあえずあなたの父親にあいなさいな。あなたの父は死んでしまってあなたのことをあれでも心配してたのよ・・・本当に・・・昔のことはほとんど語らないのにあなたのことを話しているときだけはどこか悲しげな表情をして泣きそうになってた」
「・・・・・・」
「ね?」
「ああ、行くよ」
立ち止まってはいられない・・・・・・