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虹の花婿  作者: ドライフラワー
第2章 明暗
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不協和音の披露宴

虹の王宮の大広間に異動する前に、ナイトとネティアはお色直しをした。

ナイトは水の民らしく海を連想させるような青と白を基調とした衣にした。

ネティアは水色の羽織の中に緑のドレスに着替えた。

結婚式のお披露目にしては、ちょっと控えめに感じるが、そこに花嫁の人柄でている。


「よく似合ってるよ」


ナイトが褒めるとネティアは嬉しそうに笑った。

ネティアはベールで顔を隠してナイトと腕を組む。

この時点ではまだ世継ぎ姫の素顔は秘密のままだ。

披露宴の挨拶で初めてその素顔を晒すのだ。


「準備が整いました」


司会進行役のシュウの報告を受け、ナイトはネティアをエスコートして大広間に入る。


「皆さま、長らくお待たせしました。ネティア姫とナイト王子のご入場です」


シュウの言葉で楽器隊が入場の曲を奏でる。

新郎新婦が座る席までの絨毯の道がライトアップされ、周りは薄暗くされている。

静寂に包まれていたが、神殿の誓いの儀式の時よりも人数は増えている。

この中に、ナイトの婿入りを良く思わない王の一族の一派もいるはずだが、味方も紛れているはずだ。

大きな騒ぎは起こることはない。

ナイトはライトアップされた道へと踏み出した。

ここから始まるのだ。

ネティアの長いドレスの裾持ちは侍女のサラの役目だ。

緊張しているのか、裾を踏んでしまったようでネティアがよろけた。

花嫁のブーケを受け取ってしまった彼女は一躍時の人となってしまっていたからだろうか、カチカチになっているようだ。

何とか、バージンロードを歩き終え、会場全体の人々を見渡す。

シュウが司会を進行する。


「皆様、このめでたき日にお集まりいただきありがとうございます。先ほど、ネティア姫はナイト王子と結婚の儀を終えられ、正式にご結婚されました。つきましては、そのベールに包まれましたご尊顔を皆様に披露していただきます」


ネティアは前に進み出て、ベールを上げた。

『おお…!!』と歓声が3分の2ぐらい上がる。

外に出ればもっと多いのだろうが、まだ披露宴だ。

親類や虹の王宮に仕える者達が多数占めている。


『父親似とは聞いていたが、なかなかの美女ではないか…』

『どんな化け物顔を見られるか少し期待していたんだがな…』

『し!聞こえるぞ!』


会場の客の半分からそんな心無い声が聞こえてきてナイトはネティアと義父のレイガル王が心配になった。

しかし、ネティアとレイガル王は平然としている。

慣れているのだろう。

顔に出ていたのは義母のティティス女王とナイトの父のウォーレスだ。

今にも何かしそうな雰囲気を醸し出している。


「それでは、虹の国を代表して、『ビンセント・レイス』から祝辞を述べていただきます」


シュウは巧みにこの披露宴のもう1人の主役をうまく出してきた。

義母と父の殺気が消失。

会場も一瞬にして静まり返った。

ビンセントが静かに出てきた。


「ネティア姫、ご結婚おめでとうございます。この日が来るのをこのビンセント、ずっと待ち望んでおりました。姫が女王に即位され、太平の世を築かれることを切に願っております。ナイト王子、ネティア姫を助け、この国を導いてください。不肖ながら、『我が子シュウ』がお必ずや2人のお力になります」


祝辞の挨拶に自分の進退を盛り込んできたビンセントの言葉に、会場は騒然となる。

貴族達はもちろん、義父母、父、ネティアまでも驚いている。



「申し訳ありませんが、私は引退します。その方がこの国のためになると考えたのです。無論、この国を陰ながら見守っていくつもりですのでご安心ください。それでは、ネティア姫とナイト王子のご結婚を祝して、乾杯しまじょう!乾杯!」


「か、乾杯!」

「乾杯…」

「…」


乾杯の音頭は不協和音と言う無残なものだった。

ビンセントは杯を開けると、それには構わず、さっさと引っ込んだ。

貴族達がビンセントを追いかけようとすると、


「それでは、新郎新婦からご挨拶をお願いします」


けん制するようにシュウは司会をする。


「皆様、運命にの人に巡り合い、無事成人することができました。まだ世の中のことがわからないことだらけですが、皆様と共に歩んで、母のような立派な女王になるつもりです。どうか、よろしくお願いします!」


世継ぎ姫、次期女王の挨拶を臣下が聞かないわけには行かないので、貴族達は押しとどまっている。

一応拍手している。

次はナイトの番だ。

薄暗くされた会場から冷たい視線があちこちから集まってきた。


「俺とネティア姫のことで騒ぎを起こして、たくさんの人間に迷惑をかけてすまなかったと思っている。でも、俺は後悔していない。なぜなら、俺がここにいるのはネティア姫への愛が本物だからだ。この国を導く、それが俺の使命だ。この虹の国から魔物の脅威を取り除いて見せる!」


ナイトは力強く宣言したが、半分が空拍手だった。

期待薄、他所者の戯言と言った感情がもろに出ている。

ネティアが心配してこっちを見るが、ナイトとてこんなことには慣れっこだ。

むしろ、逆にやる気が出てくる。


『見てろよ、絶対にやり遂げて見せるからな!』


と、前世で国を造ると言った時も、今世でシープールで領主宣言をした時も、こんな状況だった。

やり遂げた時の皆の驚く顔がナイトにとって一番の報酬だ。

ナイトはネティアににこっと笑って返した。

気持ちが通じたのか、ネティアは微笑み返してくれた。


「期待しているぞ、ナイト」


義父になるレイガル王が声を掛けてくれた。


「我が国も力になるぞ、虹の国の友好の証として」


父のウォーレス王は空拍手も会場に睨みを効かせて、エールをくれた。


「水の国が力を貸してくれるなんて、頼もしいわ。我が国の兵の士気も上がるわ!」


義母ティティス女王も嫌味を効かせて拍手をする。


「それでは、新郎新婦へのご挨拶へ移らせて頂きます」


シュウの言葉の後、会場が明るくなった。

そして、一番最初に出てきたのはビンセントだった。

ナイトとネティアの前にやってきて恭しく礼をする。

その姿を見たら、他の大貴族もいた従わざるえない。

渋々、列を作る。


「ネティア姫、ナイト王子、先ほども祝辞で申しましたが、ご結婚おめでとうございます。末永くお幸せに。私は引退し、レイス領を守ります。ですが、我が息子シュウが必ずやお力になります。どうか、目を掛けてやってください、ナイト王子」


ビンセントは司会者で離れたところにいるシュウに目を馳せる。

養子だと聞いていたが、深い愛情を感じる。

シュウがこちらに気付いて礼をする。


「もちろんだ、シュウを頼りにさせてもらう」


ナイトは微笑んで手を差し出した。

ビンセントは安堵の溜息を漏らしてナイトと握手を交わした。


「ビンセント、寂しくなります。ですが、レイス領も心配です。領土の守りに専念してください。私くしにはまだ力がありませんが、レイスが一日でも早く平安を取り戻すよう祈りを捧げます…」

「ありがとうございます、ネティア姫。そのお言葉が何よりもレイスの民の励みになります」


ビンセントはネティアの手を優しく包み込む。

よく見るとネティアの手は震えていた。


「大丈夫です、姫はきっと立派な女王になられます。このビンセントは信じております」


ビンセントの囁きにネティアはコクリと小さく頷いて離れた。


「ナイト王子、あなたが一日でも早くレイスに来ていただける日を心待ちにしております」

「必ず…」


そうナイトに期待をかけ、ビンセントは深々と礼をして踵を返した。

颯爽と去ろうとする背中にネティアが、最後に声を掛けた。


「ビンセント、体には気を付けて…」


ビンセントは一瞬足を止めたが、背中で頷く仕草を見せて歩き出した。

今気づいたが、足を少し引きずっているようだった。

それを気づかせないほど威風堂々としたビンセントに、彼の器の大きさを感じた。

誰もが隠居を惜しむわけだ。

ビンセントの次に挨拶に来たのは若い3人の貴族だった。

ジャミルと年が近いようだ。

ネティアの顔から表情が消えた。

どうやら、反王家の王の一族のようだ。


「ヘーゼル・ジュエルです」

「ブラッド・ロンドだ」

「…ミゲイル・ミューズ」


ヘーゼルは礼儀正しく、ブラッドは薄い笑みを浮かべ、ミゲイルはぶっきら棒に名乗った。


「何かあんまり強そうに見えないなが、ジャミルよりも男前だな」


ブラッドはナイトをジロジロと見て、感想を述べた。

それを聞いて、ミゲイルがジロッとブラッドを睨んでから、


「ネティアを手に入れたからって、いい気になるなよ。僕達はお前を虹の王とは認めないからな!」


結婚の祝いの言葉ではなく、公衆の面前で宣戦布告してきた。

場が静まり返る。


「まあ、そういうことだ」


ブラっとが面白うそうに笑いながら手を振る。

その間にミゲイルはもう歩き去ろうとしていた。


「それでは、失礼します」


ヘーゼルも用は済んだとばかりに礼をして、2人の後を追う。


「…おい!」


ナイトは無礼な3人を呼び止めた。

緊張が走る。

3人が振り返った。

ナイトは前に出て、3人に対して右手を挙げ、


「ジャミルによろしく伝えてくれ。あ、結婚式来てくれてサンキューな!」


と満面の笑みを見せた。

ミゲイルは顔を引き攣らせている。

ブラッドは唖然としていた。

しかし、


「…しかと、お伝えします」


ヘーゼルは能面のような顔で即座に答え、踵を返した。

ミゲイルとブラッドは呆気にとられたが、ヘーゼルに続いた。


『ヘーゼルか、手ごわそうだな…』


ナイトはヘーゼルの背を一瞥して、席に戻った。

戻ると、薄くなった緑髪の初老の紳士が恭しく跪いた。


「待たせてすまない」

「いえ、感服いたしました…さすが、『ウォーレス王』の血を引いていらっしゃる」


ナイトは少しだけカチンときた。

父王を引き合いに出されるのが何よりも嫌だったのだ。

しかし、それは息子である以上仕方がないことなので、我慢する。


「私はハウル・ハーツと申します。建国以来から虹の王家に仕えるハーツ家の当主です。以後、お見知りおきください」


ビンセント・レイス、ヘーゼル・ジュエル、ミゲイル・ミューズ、ブラッド・ロンド、ジャミル・ランドを除くと、現存している王の一族最後の1人だ。

年齢から考えると、ビンセントの次の地位であってもおかしくないはずだが、最後に挨拶をしたところを見ると、末席のようだ。

ネティアの表情は友好的だ。

反王家ではないようだ。


「覚えておくよ。今日はありがとう」


ナイトは友好的な笑みを浮かべて、ハウルと握手した。

温かい握手を返しながら、司会を務めているシュウに視線を向けていた。

その目には憂いがあった。


「ナイト王子、私にもヒースという息子がおります。しかし、今日はこの場にはおりません。繊細な子でして、人が多いところ苦手なのです。しかし、決して、無能な子ではありませんので、どうか、名前だけでも覚えていただけると幸いです…」


ハウルの目は懇願していた。

どうやら、訳アリの息子のようだ。


「もちろんだ。落ち着いたら会おう」

「ありがとうございます」


ハウルは何度も頭を下げながら去っていった。

次に来たのは義妹フローレスだった。


「ヤッホー、ナイト、ネティア、おめでとう!」


着飾ってはいるが、いつもの調子で挨拶をしてきた。


「…ああ、ありがとう、フローレス…、見違えたよ…」


ナイトの顔は硬直していた。

口から出た言葉は、フローレスではなくその後ろに控えている人物に向けて出た。

フローレスの侍女に扮している美女の正体をナイトは一目見て悟っていた。

兄、フロントだ。

パッと見て、すぐにはわからないが、その後ろにいるボディーガードを見てわかったのだ。

ライガだ。

ビシッと身なり、服装を決めていた。

そして、護衛対象を守るオーラが凄まじい。

フロントに惚れているというのは正真正銘のようだ。


『何やってんだよ、兄ちゃん!?』

『フローレス様を守るために必要なことなんだ!』


ナイトはフロントと目で会話した。

確かに、ブーケトスに紛れ込むなど活動的なフローレスを守るには女装の方がいいだろう。

親族なのでフローレス達はナイト達の横に控える。

次にカリウスが娘を伴って現れた。

娘はベールを被っていた。

そして、屈強な護衛が何人もついていた。

聞いた話では虹の国一の美女らしい。

何故か、フロントが後ろの方に隠れるのが見えた。

カリウスは挨拶を述べると、娘を紹介してくれた。


「私の娘マリアです」


カリウスの娘が顔からベールを取ると、会場に溜息が溢れた。

金髪碧眼の超美女だった。


「マリア様だ、相変わらずお美しい…」

「流石、虹の国一の美女だ」


会場にいたほとんどの男が見惚れてしまうほどの美女だった。

天使がいたらマリアのような感じかもしれないと正直思った。

左の太腿に激痛が走る。

見ると、ネティアが抓っていた。

嫉妬しているようだ。

痛みがこそばゆいかゆみに変わる。

マリアは確かに美しいが、ネティアには敵わない。

マリアは天使だが、ネティアはナイトにとっての女神なのだから。


「ナイト様、初めまして、カリウスの娘マリアでございます。お見知りおきください。本日はこのめでたい場にお招きいただきありがとうございます」

「ありがとう、マリア。今日は楽しんでいってくれ」

「いえ、用が済んだら帰ります」


マリアの素っ気ない言葉に父のカリウスが慌てる。

ナイトも硬直してしまった。

カリウスは王家側の人間だったはずだが?

先ほどのヘーゼル達ほどではないが、失礼だ。

マリアは主役のナイトとネティアを無視してフローレスを見る。


「フローレス様、フロント様はどちらです?」

「さあね、警備を見回ってるんじゃないかしら?」


フローレスはぶっきら棒に返した。

2人の間に火花が散ったように見えた。


「お見かけしたら、少々お借ります」

「どうぞ、ご自由に…」

「では…」


マリアの目当てはフロントだった。

父親のカイウスが代わりに頭を下げながら、娘を追いかけて行く。

去っていくマリアを睨みながら、フローレスが


「フロント、ご指名よ…」


低い声で身を隠していたフロントに声を掛けた。


「…ちょっと、失礼します…ライガ…」

「お色直しだな…付き合うよ、ハニー」


ビクビクしながらフロントはライガを伴ってこっそり去っていった。

兄は昔からモテると思っていたが、虹の国一の美女に横恋慕されているようだ。


『頑張れよ、兄ちゃん…』


次に現れたのは風の国の王子アルア。

美女に目がない男だ。

マリアを見送ってから、


「ネティア、今日は最高に綺麗だよ!」

「ありがとう」

「ナイトにやるのが勿体ないよ」

「こら、俺の花嫁だぞ!ベタベタ触るな!」


ネティアの手を取って触っているアルアの手をナイトは叩いた。


「ケチ!」

「ケチじゃない!俺はお前の所業を知ってんたぞ!」

「僕が友人の妻に手を出すと思ってるのかい!?」


アルアは心外そうに怒るも、


「フローレス、今夜部屋に行っていい?」


友人の妻の妹に声を掛ける。

虹の国の者なら誰もできない行為だ。


「こら、俺の義妹を口説くな!」

「妻の妹だからいいだろう!?」

「よくない!怖い婚約者付きだぞ!」

「今はいないだろう?夜もいないんじゃないかな?」


アルアはフロント不在を狙って、フローレスを口説くつもりのようだ。

いくら女好きの友好国の王子とはいえ、命知らずの言葉に虹の国の人間達は震えあがった。


「アルア様!」


遠くからドずの聞いた声が返ってきた。

フロントが女装を解いて帰ってきたのだ。


「私がフローレス様から『目を離す』ことはありません!ですから、あなたを我が姫の部屋には絶対入れませんから!」

「はいはい、わかってますよ。あ、そうそう、ナイト、皆から祝いの手紙預かってきたよ」


強敵が帰ってきたのでアルアは話を変えた。

手紙は3通、光の国の第二王子パーズ、森の国の女王エメラ、雷雲の国の王女メアリ、ナイトの学友達だ。

国交のない虹の国に婿入りするナイトへ友人達の囁かな祝いの言葉だった。


「あれ、フレイからはないのか?あいつが一番暇だろう?」


炎の国の王子フレイからの手紙がない。

フレイはナイトの学生時代のライバルだ。

とても優秀だったのだが、大事件を起こしてしまい、炎の国の王位継承権を剥奪され、若くして、隠遁生活を送っていた。


「…それが、フレイの奴、今いないらしい」

「いないって、あいつ、どこかに行けたのかよ?」


大事件を起こしたフレイは自国で監視下に置かれていた。

当然、自由に出かけられるはずがない。


「うん、それが1つだけあったんだよ」

「どこだよ?」

「…闇の国…」

「…・・…………闇の国?」


普通に言うアルアの首をナイトは立ち上がって締める。


「闇の国!?」

「そ、そうだよ!!」


ナイトとアルアの叫び声に会場中の人間が一斉に注目する。

闇の国は虹の結界の外の国で、死の世界とも呼ばれている。

こちらから行った人間で戻ってきた人間は皆無。


「何で、あいつがそんな危ないところに行ってんだよ!?」

「聞いた話によると、1人の闇の民が炎の国迷い込んだだって、そいつが酔狂な奴で闇の国帰りたいって言ったんだって」

「まさか、そいつを送っていったのか!?」

「そのまさかだよ!」

「周りは止めなかったのか!?」

「止めたらしいけど、『暇だからって』フレイが振り切ったんだって!苦しいよ~、ナイト!」


ナイトはフレイの単純な発想に絶句して、アルアの首から手を離した。


「…いつの話だ?」

「…1ヶ月ぐらい前らしいよ。僕もナイトはそれどころじゃなかっただろう?」


ナイトはネティアとジャミルの結婚を妨害するため単身虹の国入りしていた。

アルアは毎年世界中で大流行する風邪フウジャの対応に追われていた。

友人の失踪など気にしている暇はなかったのだ。


「フレイは無事に闇の国へ行けたのか?」

「それは、わからない。セルトが炎の騎士団から精鋭を100騎つけたらしいけど、結界の手前で大損害を被って戻ってきたらしい。でも、フレイと闇の民、後、従者のケインと偶然居合わせた森の騎士長クラインの4人は戻らなかったらしいよ」

「森の騎士長がなんで偶然居合わせるんだよ!?しかも、普通ついていくか!?」

「そんなこと僕に聞かれてもわかんないよ!」


ナイトはライバルと偶然居合わせた森の騎士長の考えが理解できずに頭を抱える。


「まあ、フレイのことだから大丈夫だと思うよ…たぶん…」

「………そうだな…あいつなら普通に戻ってきそうだよな…」


ナイトとアルアは何となくだが、フラッと出て行った友人がフラッと帰ってくる予感がした。

フレイはナイトのライバルだけあって、強く賢い。

そう簡単にやられるとは思えなかった。

しかしだ、生きて帰ってきた者がいない地から生還する確証はない。


『あいつ、自棄になってないよな…』


ナイトは友人の身を案した。

フレイは実直な性格で、正義感がとても強い。

だが、本当はとても傷つきやす男なのだ。













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