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虹の花婿  作者: ドライフラワー
第1章 前世からの約束
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対面

厳重な警備が敷かれている立派な宿屋へ、ナイトは見合い相手の双子の妹フローレスに連れられて入った。


『まさか、フローレスに気に入られるとは思わなかったな…』


護衛とランドの騎士達を手玉に取ったフローレスに、ナイトは内心感服していた。


『猪突猛進なところは、子供の頃と変わらないな…』


昔、フローレスにタックルで倒されたことを思い出して苦笑いを零した。

しかし、運が良かったと思う。

ナイトの計画ではランドの軍の指揮官に実力を見せて、仕官するという形での潜入を考えていた。

いきなり虹の国の世継ぎの姫の騎士に志願するのは難しいと考えたからだ。

ランド軍にうまく入いり込んだとして、どうやってネティアとの接触するか頭を悩ませていた。

ところが、運よくフローレスに気に入られた。

難しいと思っていたネティアとの接触がこれで容易になった。

どうやら協力者の手助けが働いているようだ。


『もしかして、フローレスが協力者だろうか?』


と考えたが、今は聞くタイミングではない。

もうすぐ、見合い相手のネティアに会うのだから。


『第一印象が大事だよな…』


ナイトはどうやって挨拶しようか考えた。

ネティア本人は見合いのことなど何も知らない。

どう切り出したらいいのか皆目見当がつかない。

階段を上り、宿で最も豪華なフロアに着くと、正規軍の騎士の護衛が待っていた。

ナイトの顔を見て訝し気な顔をする。

そんなことはお構いないなしにフローレスは満面の笑みを見せる。


「ただいま!」

「お帰りなさいませ、フローレス様、その者は?」

「ルークって言うの!『フロントの代わりよ』、カッコいいでしょう?」


フローレスはナイトの腕に思いっきり絡みついた。

無論、護衛達はいい顔をしない。


「…なるほど、フロントの代わりですか…我々に彼の代わりは勤まりません。しかし、フロントの代わりならネティア様の許しがなければ雇えませんよ」


護衛のリーダーは柔らかく言ったが、目はナイトを警戒していた。


「そんなのわかってるわよ、だがら、今から会わせるの!」

「その前に、この者のボディチェックを!」


フローレスに連れて行かれる前に、護衛達は手早くナイトを確保し、調べる。

待ちきれないフローレスは先にネティアの部屋の前に行く。


「なあ…姫様に何て挨拶したらいいんだ?」


剣を取られ、ボディチェックをされながらナイトが聞くと、凍てつく視線が返ってきた。


「貴様にできる最上級の礼を尽くせ、ネティア様は虹の国の次期女王になられる方だからな」

「わかってるよ…」

「後!絶対に拝顔してはならんぞ!」


ドスの利いた声にナイトは息を飲む。


「水の国王家に縁がある者であろうと容赦はせんぞ!」

「…わかった…」


ナイトは苦笑いを浮かべた。


『顔見ないんでどうやって見合いしろって言うんだよ』


このボディチェックで護衛は協力者ではないということがわかった。

もし協力者なら、水の国王家の紋章を見た時点でナイトに少なからず敬意を示すはずだ。


「ねぇ、まだ!?」


業を煮やしたフローレスが催促すると、そこでボディチェックは終了した。


「いいか、姫様方に少しでも変な真似をしたら許さんからな!」

「しつこいな、わかってるよ!」


ナイトは自分の剣を引ったくるとフローレスの元に急いだ。

護衛達もゾロゾロとナイトの後ろをついてきた。

殺気が背中を刺す。


「心の準備はいい?」


そうとは知らず、フローレスはウキウキしながらナイトに訪ねた。


「ああ」


ナイトは針の筵に立った気分で答えた。


「じゃあ、行くわよ!」


フローレスは大きく深呼吸をした。


「ネティア、ただいま!」


ドアをノックし、ドア越しに呼びかけた。


『フローレス、やっと、帰ってきたのね?』


嬉しそうな、ネティアの声が返ってきた。

フローレスはナイトの腕をつかんで引き寄せた。

そして、何故か数秒待って、ドアを勢いよく開けた。

ものすごい勢いで腕が引っ張られ、ナイトの体がフローレスより前に出た。


「行け!」


そして、ナイトの背中に衝撃が加わり、部屋の中へ押し出された。


「うわああ!!」


倒れまいと走り込み、目の前に突然人影が現れた。

その人影にぶつかる前にナイトはなんとか踏みとどまった。

驚きで緑の瞳を見開いた黒髪の美少女が目の前にいた。

休んでいたのか無防備な寝間着姿だった。

そして、その部屋にはこの少女以外に誰もいなかった。

それが意味するところは…


「きゃああああ!!!」


バシ!!


背中の衝撃が消えないうちに、左頬に強烈な平手打ちがナイトを襲った。


「隊長!」


護衛のリーダーが泡を食って倒れた。

どのこの馬の骨ともわからない男に、虹の国の世継ぎ姫の顔を見られてしまった。

とんでもない事態に他の護衛達も混乱し、どう動いたらいいかわからなくなっていた。

いきなりビンタを食らったナイトも声が出ない。

顔を見るなと、散々言い聞かされていたのに、いきなり寝間着姿という超ラフな姿を目撃してしまった。

見合いにしては過激すぎる。


「あれ、ちょっと、やりすぎちゃったかな…」


あまりの場の混乱ぶりに、首謀者のフローレスは頭をかいた。







「あの…すいません…ワザとじゃないんです…」

「…わかっています…」


ナイトは目の前で横を向いて座っているガウン姿のネティアに詫びを入れた。

フローレスのせいなのだが、ネティアの怒りは解けない。

気まずい雰囲気の中、フローレスだけが笑顔を振りまいている。

今、ナイトがネティアの部屋に入っていることは極秘になっていた。

外に見張り2人を出し、残り全員の正規軍の騎士に取り囲まれ、主ネティアと雇用契約の交渉に入った、と言うところだ。


「ねぇ、ネティア、いいでしょう?」

「駄目です!あなたにはフロントがいるでしょう!」

「今はいないじゃない、代わりが欲しいかったの!」


フローレスはナイトの腕に思いっきり抱き着いてきた。

すると、ネティアがキッと怖い顔でこちらを向いた。


「カッコいいでしょう?それにものすごく強いのよ」


フローレスの説明の真偽をネティアは目で護衛達に問いかけた。


「はい、腕は確かです。酒場でランドの騎士100人ほどを1人で相手にし、無傷です」

「酒場でなぜランドの騎士と乱闘になったのです?」


ネティアが説明を求めてきた。

ナイトは真実を話すことにした。


「あいつら浮かれて祝宴を上げてたぜ。どこの馬の骨とも知れない余所者から女王を取り戻したとか、ジャミル王、乾杯とか言ってさ…」


ナイトはネティアの表情を注視した。

父親のことを悪く言われれば、子供なら怒るはずだ。

しかし、ネティアは表情を変えなかった。

代わりに反応したのは正規軍の騎士達だ。


「己、ランドの騎士共め、国王陛下を侮辱するとは…!」


口惜しそうに呟く。

今いる護衛達も本心ではネティアのランド領主との結婚には反対のようだ。


「それは事実ですから仕方ありません」

「ネティア…」


感情のないネティアの言葉にフローレスでさえ沈黙した。


「それで、なぜ乱闘になったのです?」

「俺があいつらの食事を食ったんだよ」

「何故そんなことを?」

「騎士様方の注文が優先だ。俺みたいな傭兵の料理は後回し。終いには俺の食う分がなくなったんだよ!」


ナイトは酒場でのことを思い出し、本気で怒っていた。


「あいつら注文はするくせに、酒ばっかり飲みやがって料理は手つかずだった。どうせ残すに決まっている!たから、ご馳走になったんだよ!悪いか!?」


何も関係のないネティアに怒りを吐き出した。


「ランドの騎士達の食事を食べたのはよくありません。ですが、あなたの怒りはわかります」


その静かな声でナイトは怒りが消えていくのを感じた。


「ランドの騎士達に代わってわたくしがお詫びします。どうか、わたくし達の驕りを許して」

「ネティア様…!?」


頭を下げるネティアに護衛達とフローレスは驚いた。

もちろん、ナイトも例外ではない。

平民に対してもこんな腰の引く王女は見たことがない。

ナイトはネティア個人に強く興味を持った。


「…未来の女王様に頭を下げられたら、許さないわけにはいかないよな…」

「感謝します。ランドの騎士達にはわたくしから注意しておきます」

「そいつはいい。ランドの騎士達も未来の女王の言葉は無視できないよな」


護衛達から忍び笑いが漏れたが、すぐに咳払いでごまかした。


「それで、俺はどうなる?あなたなら、主として不足はないが…」


ナイトは話を本題に戻した。


「…あなたの人となりはわかりました。いいでしょう、フロントの代わりに臨時でフローレスの専属の護衛として雇いましょう」

「やった!!」


フローレスは思いっきりナイトの腕に抱き着き、大喜びした。

対して、護衛達は不満顔だ。


「よろしいのですか?」

「仕方ないでしょう、フローレスが気に入ってしまったのだから。それに、わたくしの顔を見た者を野放しにはできません」

「…わかりました…」


理由を聞いて護衛達は納得して引き下がった。


「ライガ、いいですね?」


ネティアが第三者に呼びかけた。

すると1枚の紙がヒラヒラとナイトの元に落ちてきた。

紙には『歓迎するぜ!』と書いてあった。

その紙をフローレスが覗き込む。


「ライガもいいって!」

「そう良かったわね」


喜ぶフローレスに対してネティアは優し気な微笑みを見せた。

それは子供の時に見た時と同じ光景だった。

双子の姉でありながら、母のような微笑み。

ナイトはしばしネティアの横顔に見惚れていた。

それに気づいたネティアがこちらを向いた。

その時にはもうその微笑みは消えていた。

代わりに見せたのは王女としての凛とした顔だった。




***




翌朝早く、ナイトは目を覚ました。

暗闇で人の気配を感じたからだった。

枕元に置いていた剣を手に取ると素早く身を起こした。

侵入者は驚いたようだったが、急に跪いた。


「おはようございますー『水の国の王子様』」


顔を上げた侵入者は茶髪で色黒の青年だった。

初めて見る顔だ。


「何者だ?」

「お初にお目にかかるっす!虹の国の忍び衆の若頭ライガっす!」

「ライガ…昨日天井から紙を落としてきたやつか」


ナイトは安心して戦闘態勢を解いた。


「いや、本物の傭兵顔負けっすよ、感心したっす!」


ライガは親し気に話しかけてきた。


「常日頃から警戒は怠らないようにしている。自分の身ぐらい守れなきゃ好きに動けないからな」

「立派な心掛けっす。『フロント』から聞いた通りっす」


懐かしい兄の名前を聞いてナイトは聞かずにはいられなくなった。


「フロントは来ないのか?」

「そうっすね、ネティア様を止めるために無理して大喧嘩しちゃったんで無理だと思うっす…」


ナイトは落胆した。

兄に気づいてもらうために『ルーク』と名乗ったのだ。

ルークと言うのは、フロントがナイトによく読み聞かせてくれた本『ルークの冒険』から取った名前だった。


「心配しなくても会えるっすよ。このランド行きを中断させれば…」

「そのことだが、俺はネティアの婚約をぶち壊しに来ただけだ。終わったら水の国に帰る」

「え、マジっすか!?帰っても、水の国の王位は継げないっすよ」

「わかっている。だが、俺にはシープールがあるからな」


ナイトの決意を込めて宣言した。


「勿体ないっすね…虹の王にピッタリなのに…」

「その言葉だけは有難く受け取っておく、騎士の誉れだ」


魔物の群れに先陣を切って挑む虹の王に選ばれることは、最高の騎士の証だった。


「フローレス様に気に入られて、せっかくいい感じで近づけられたのに、勿体ないっすね…でも、口説き落とさないでどうやってネティア様を止めるんすか?」

「それなら考えがある。虹の国が抱える問題を提議して、ネティアの考えを改めさせればいいんだ」


自信満々のナイトに対して、ライガは溜息を吐いた。


「何か、難しそうっすね…というか、面白くなさそう…」

「見せもんじゃねぇんだぞ!だいたい無理があるんだよ。短い時間で一生の相手を決められるか?」

「まあ、それもそうっすね…じゃ、噂のナイト王子の腕前におまかせするっす」


ナイトの説明にライガは納得した。


「でも、あのフローレス様を手懐けたんだから間違いないっすね」

「うん?ちょっと、待て、フローレスは知っているんじゃないのか?」


ナイトは我が耳を疑った。


「知らないっすよ。と言うか誰も知らないっす。ここで知っているのは俺だけっす」

「マジか?」


驚くしかない。

フローレスのあの絶妙なタイミングでの手助けは偶然だったのだ。


「天が味方してるみたいっすね、まあ、うまく利用してくださいっす、あ、日の出前に出発らしいすから、準備しといていてくださいっす」

「日の出前に?早いな…」

「向こうはなるべく早くネティア様を手に入れたいんすよ。だから、宿場町はあと2カ所だけっす」

「すごい強行軍だな」

「だから、頑張ってくださいっす、期待してるっすよ」


ライガは言うだけ言うと天井裏に帰って行った。




***




ライガ去ってすぐ護衛の騎士から食事に呼ばれた。

食堂に着くと席はフローレスの隣だった。


「おはよう、ルーク」

「おはよう!」

「おはようございます、ネティア姫、フローレス姫」


ナイトことルークは、挨拶して席に着いた。

護衛の騎士の半分も同席して朝食が始まったが、会話はなかった。

食事が終わるとすぐにネティアとフローレスは身支度のため部屋に戻った。

護衛の騎士達は集まってランド軍と連絡を取り合ってスケジュールを確認したり、役割を決めたりしていた。

双子姫が身支度をしている間手持ち無沙汰になったナイトは護衛の騎士達についていく。


「なあ、俺もいいか」

「お前の役目はフローレス様のお守りだ。後のこのとは何もしなくていい」


素っ気なく護衛のリーダーにあしらわれたが、


「それはわかってる。でも、俺は虹の国の双子姫のことを何も知らない。何か好きな物とか、言ってはいけないタブーとかあるだろう?教えてくれよ。俺、姫様達とずっと馬車に乗ってなきゃいけないんだろう?」


護衛達は顔を見合わせた。

そして、何故か皆、憐みの目でこちらを見る。


「そ、それもそうだな。だが、我々もあまり姫様方のことには詳しくない。今まで専属の護衛でフロントと言う者がいたからな。知っていることは少ない」

「ないよりはマシだ、教えてくれ」

「わかった。まずはタブーからだ。フロントと国王陛下と女王陛下の話題には絶対に触れるな。反対を押し切られてここにおられるのだからな」

「わかった」

「後は、特にタブーはない。フローレス様のお好きな話は旅の話だ。いつか世界を旅してみたいとよく言っておられた」

「旅の話なら豊富にある。それで、ネティア姫の方は?」


ネティアのことを聞くと何故か護衛達の言葉が止まった。

一番聞きたかったことなのだが…


「ネティア様が何を好きなのか皆目わからない。だが…フローレス様が喜ぶのを見ることがお好きなようだ」

「妹が喜ぶのを見ることだけ?…本当にそれだけか?」

「うーん、我々にはそう見える…その他でネティア様が笑顔を見せることはあまりなかった」


護衛達一人ひとりに視線を送ったが皆同じ感じをネティアに抱いているようだった。


「わかった、ありがとう」

「ああ、頑張れよ」


ナイトは護衛達から得た情報を整理しながら双子姫の元へ向かう。


『鍵はフローレスだな、とりあえず、フローレスと仲良くなるか…』


鍵を見つけて、首を傾げる。

妹が喜ぶのを見るのが好き。

何か変わってる。

兄弟が喜ぶと自分も嬉しくなることはある。

だが、自分だけの喜びもあるはずだ。

大好きなお菓子を独り占めしたり、何かを作り上げたり、気に入った服を買ったり、欲しかったものを手に入れたりとかあるはずだ。


『とりあえず、フローレスから聞き出すか。何たって双子の妹だからな』


階段を上り、角を曲がったところでそれは現れた。


「ルーク、お待たせ!!」

「うわおおお!」


突然、現われたフローレスに抱き着かれた。

後ろにいたネティアの顔が鬼に変わる。

ネティアについていた護衛達はドン引きして慌てふためく。


「お、お迎えに上がりました…」


フローレスに抱き着かれたまま、ナイトは何とか言葉を絞り出す。


「…ご苦労…」


ヴェールの下から凍てつく声が返ってきた。


「さあ、行きましょう、ダーリン!」

「ダーリン!?」


驚く双子の姉の声など聞こえないふりをして、フローレスはナイトを引っ張て階段を下りて行く。

ネティアの小言が追ってくる。


「フローレス、離れなさい」

「嫌よ」

「見られているわよ」

「いいじゃない、見せとけば」


ネティアは辺りを気にしながら言った。

宿を出るとランドの騎士達の姿もある。


「フロントの耳に入ったらどうするの?」

「どうもしないわよ、フロントは私のことちゃんとわかってるから」

「そうかもしれないけど、もし、万が一、勘違いされたら」

「もう大丈夫だって言ってるでしょう!」

「わたくしはあなたのためを思ってい言っているのよ?」


「ぷははは!!!!」


双子姫の喧嘩のが面白くてナイトはつい噴き出してしまった。


「何がおかしいのです?」


邪魔をされたネティアは憤慨していた。


「だって、姉と言うより母親の小言に近いからさ!!くははは!!」

「なっ……!?」


ネティアは絶句した。

しかし、ナイトの爆笑は止まらない。


「こら、ルーク!」


慌てて護衛の騎士達がナイトに自重を求めるも、


「そうね、ネティアって、母上見たい、うふふふふ!!!!」

「フローレス様まで…!」


フローレスまで笑い出した。

護衛達は恐る恐る主の顔を見た。

ネティアは怒りでドレスの裾を握り締めていた。

その状態でナイトに近づき、


「わたくしは嫁入り前の16歳です!まだ母親にはなれません!!」


耳元で怒鳴った。

そして、フローレスの腕をつかんでナイトから離そうとする。


「さあ、フローレスこちらにいらっしゃい!ルーク、あなたの顔なんて見たくないわ!」

「いや!ルークと一緒がいい!!ルークが馬車に乗らないのなら私も馬車に乗らない!!」

「そんなわがまま言わないで!」

「許してくれなきゃ、ネティアとは『絶交』だから!!」


『絶交』と聞いてネティアは引っ張るのを急にやめた。

顔を見ると、緑色の瞳に涙を貯めていた。


「ごめん、言い過ぎた!私、ネティアを絶対1人にしないよ!!」


フローレスは慌てて双子の姉を慰め始めた。

落ち着いたネティアは再度訪ねた。


「じゃ、ルークは乗せいない?」

「それはダメ!」


姉を泣かせてもフローレスは主張を変えなかった。

結局ネティアが折れることとなった。











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