一人です。
近づいてみたが城壁はレンガ積みのようで割と高かった。
だが飛び越えられない訳でも無いから飛び越えさせてもらった。
下に検問らしきものが見えたけど俺今鳥だしいいよね。
いいよね!!
さて、空から見る限り結構盛んな街のようだ。
目の前に大きな城が見えるから城下町って言った方がいいな。
フリーマーケットのような店が数多く並び人々は色々な店を見て回り買い物をしているようだ。
しばらく飛んでいると気づいたことがあった。
この城下町、街が二つある。
と言うのも小奇麗な街のすぐ近くに薄汚い街がある。
俗に言うスラムと言うやつか。
空から見ても分かる。
何というか活気と陰気さがはっきりと見える。
さらに鷲の眼でよく見ると首に鎖をつながれた人が見える。
奴隷か。
うーむ、見ていて気分のいいものじゃないな。
鎖に繋がっているのは人間の奴隷に……あれは獣の耳?
え!?人間の体に獣耳生えてる!
あれか、獣人か!いるのかそういう存在!
と言うことはエルフと言った存在もいるかもしれない。
頭に入れておこう。
さて、奴隷の件だが。
正直どうでもいいのだ。
確かにあまり見て良いものではない。
しかし奴隷にも事情があるし、奴隷の労働力でこの社会は回っているのだろう。
更に言うと奴隷は人の所有物。
変に手を出しちゃあ駄目だよなぁ、下手をしたら怒り買って罪に問われて牢送りだと思う。
脱走できる自信はあるんだけど、前科は避けたい。
ただまぁ……奴隷になってもない人を助けるのは罪じゃないよね!
俺はスラムの一角に向かって急降下する。
チラッと見えたのだ。
なにやらガタイのいい男たちが身なりの整った服を着てぶかぶかな帽子を被った女性を追いかけているのを
そしてその女性が袋小路に入ってしまったのを。
前世の俺なら力が弱いからとか情けないこと考えて見て見ぬふりをしていたかもしれない。
でも文字通り生まれ変わった俺なら。
自信をもって人を助けてもいいんじゃないだろうか。
「キキーーーーーーーーーーッ!!!」(待てやオルァ!!)
鳥特有の甲高い声を上げて俺は突っ込んだ。
「何だぁ!?」
男たちは声に反応して俺を見上げる。
「キキッ!クエッ!」(目暗ませ!光源!)
「ぎゃあああああああ目が!目がぁぁぁぁ!」
勿論鳥のまま助けに行くのも怪しまれるので先手を取って強烈な光を放ち目潰しをさせてもらった。
太○拳みたいだな
男たちは揃いも揃って目を抑え悶絶する。
あ、女性ごめん。君までくらっちゃったね!
これから助けるのでチャラにしてください!
男たちが悶絶しているうちに俺は男と女性の間に降り立つ。
それと同時に人に戻る。
我ながら完璧な参戦方法!
「もしもしー大丈夫ですかー?」
俺は蹲っている女性の肩を叩く。
いや、すいません。眩しかったですよね
あ、帽子落ちた。
「ううう……目が痛い。ってそこに誰かいるの?」
可愛い声だなぁ。
「えぇ。貴女を助けに来たんですけど。」
「……もしかして兵士?」
「いえ、違います。」
「え?じゃあ大人数で助けに来てくれた……」
「一人です。」
微妙な空気感が俺たちの間に漂う
その空気をぶち破ったのは
「あ、おいてめぇ!俺たちの大切な商品になに近付いていやがる!」
ガタイのいい男達のうちの一人だ。
「商品って言ってもこの人奴隷じゃないじゃないですか。」
「こ・れ・か・ら!奴隷になるんだよ!分かったらとっととどけ!そいつは高く売れるんだよ!」
何をそんなに怒っているのか。
額に青筋入ってますよ。
「私の事はいい。あなたは早く逃げて。」
いまだに光の反動があるのか、目を抑えながらがら立ち上がる女性。
あ、帽子落ちた。
つい視線が彼女の頭に誘導される。
ショートカット銀髪に……犬耳?
新たな女性キャラ登場です。