宿屋
さて、本来依頼を受けているのであればギルドに戻ってクエスト終了報告して報酬貰うのだろうけどボランティアにはそんなことは必要ないので俺たちは宿屋を探すことにした。
ちなみに親父さんのとこは懇意にすることにした。
もうちょっと金を稼いだらあそこでもう少しいい武器を買うことにしよう。
しかし色々宿屋を見て回っているがやけに高かったり獣人お断りだったり。
獣人OKの宿があってもすでに満室だったりとなかなかいいところが見つからない。
ルナはここに来ても日帰りだから宿は使ったことないらしいし俺もゲルもこの街の事は全く知らない。
これは宿屋の事もカタラに聞いておくべきだったな。
肉体的には全然疲れてないんだけどグリフォンと戦ったことで精神が疲れちゃってさっさと飯食べて身体洗って寝たいんだよなぁ。
"疲労軽減"の弱点を垣間見た気がする。
「ルナ、腹減ってるか?」
「大丈夫。」
おうルナ、せめてその後に可愛らしい腹の音を鳴らさなかったら俺も騙されていたぞ。
微妙に顔を赤らめてももう遅い。
ルナってどこか強がっている節がある。
どうして強がっているかまでは分からないがさっきのグリフォンの件も危ないのに俺と一緒に戦おうとする。
あーちょっと過保護気味だったからしっかりしているところを見せたいのか、把握。
段々日が傾いてきたが、宿、本当に見つからない。
街中で野宿は精神的ダメージが大きすぎるから控えたい。
ルナの腹の音も大きくなってきたから屋台の串焼きを買ってあげたら耳をパタパタさせて喜んだ。
最悪狼とか少し大きな犬になってルナに寄り添うように寝てもいいんだがそれは本当に最後の手段だ。
「そこのおにーさーん。」
背後から女性の声が聞こえた気がするが、これはどうせ幻聴だ。
無視しよう。
「あ、あれっ!?無視ですか!?ちょっとおにーさん!こっち!へいこっち!」
やけにテンションの高い幻聴だな。
もしかして幻聴じゃないのか?……いや、周りの人が訝しげな視線をこっちに向けてくる。
というより俺の背後か、視線の先は。
人々の視線に導かれるまま後ろを確認してみると
「おっやっとこっちみてくれたね!おにーさん宿探しているでしょ!」
何か仁王立ちしているエプロン来た女性がいるんですが、何でそんなにどっしり構えてるんだ。
「探しているけど、あなたは?」
というかよく宿探しているってわかったな。
「んっふっふ。そんなあなたに朗報だ!今なら私の経営する宿が何と!銀貨1枚だよ!」
「乗った。案内してください」
こんなん即決するしかないやろ!
周りの人が何故かやめとけやめとけって感じの視線投げかけてくるけど気にするな!




