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脱走事件一旦の終了

「アレヨウタイナンデスカ」

余りのショックに自分でも棒読みって分かってしまう。

頑張って倒したのにあれまだ幼体なのか、となると成体は

「あぁ、成体はあれの2倍以上の大きさだぞ。実際に見たことがあるからな。」

「え、オリアン成体と戦ったのか!?」

「いや、残念ながら私は見ていただけだよ。成体と戦って倒したのはこの国が保有する勇者様だよ。」


さらっと重要なワードが聞こえたな、勇者様だって?

そう言えば確かルナと初めて会った時国に召喚されたわけでも無いのに異世界人がここにいるのは珍しいとか言ってたな。


「へぇ、勇者なんているんだ。」

「この国には2人いるんだ。」

一国が保有する勇者って一人に限ったわけじゃないんだな。

まぁ多ければ多いほどいいのかもしれないけど召喚されるものからしたらたまったもんじゃないよな。

死んでからこっちに来た俺と違ってあっちは生きてる途中に来ているんだもんな。


「いやぁしかしあんな奇怪なスキルを持つトーヤもまさか勇者だったりしてな!アッハッハ!」

この言葉に俺は固まってルナも俺を抱く力が少し増した気がする。

図星だものね仕方ないね。

だがちょっと残念さがにじみ出ているオリアンには気づかれることはなかった。

よかった、残念で。


「話は変わるがトーヤ、君は冒険者と言ってたがこのグリフォンは依頼を受けてきたのか?」

「いや、偶然居合わせたから依頼は受けてない。ボランティアだ。」

「それは……運が無かったな、せっかくグリフォンを倒したのに報酬なしとは。」

「その辺はいいよ別に。報酬狙いで闘ったわけでも無いし。」

本音を言うとちょっとだけ惜しかった。


「そうだな、じゃあこれを君に送ろう。」

オリアンは懐から小さな袋を取り出しルナに渡した。

渡した際にジャラッと音がしたからもしかしなくても中身は


「金?いいのか?」

「あぁ、旅人だった君が今冒険者ならCランクだろう?なら少しでも金が必要なはずだ。と言ってもこれぐらいならどこかの宿で2日位泊まれるくらいしかないが。」

「いや、ありがとう。もらっておくよ。」

いや本当に助かった。

今日の宿の事をすっかり忘れていたし装備に金を大分使ってしまったし有難くもらっておこう。

そして稼いだからいつかオリアンに少し色を付けて返そう。


「その見返りとは言っては何だが……頭撫でさせてもらえないか?」

もしかしてそれが狙いなんじゃないだろうか?

「まぁうん。いいぞ。」

「そうか!では失礼して……。」

パッと顔を明るくしてオリアンはミニチュアダックスフンドである俺の頭を撫でる。

やはり騎士であるため剣を握り続けているからか、その手は女性らしいとは言いにくいほど硬かった。


グリフォン幼体の死体だが、オリアンに処分してもらうことにした。

野生のグリフォンなら倒した俺が皮とか肉とか保有してもいいらしいのだが、このグリフォンは魔物商の商品なので処分は魔物商がするとのこと。

そして誰かのせいで魔獣たちが脱走したというのにその責任も魔物商がとるらしい


俺も俺で運が無かったが一番運が無いのは魔物商じゃないのだろうか?

うーむ、異世界怖い。

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