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オリアン・ランカスタ

「改めて自己紹介しておこう、私はオリアン・ランカスタだ。見ての通り騎士をしている。」

だっこショックから立ち直ったオリアンさんは表情をキリッとしたものに変え、言ってきたが改めてと言っておきながら更に分かったのは家名だけな気がするんだが?

「気軽にオリアンとでも呼んでほしい。」


そんなこと言われてもぶっちゃけオリアンさんとあまり仲良くなった気がしないんだけど。最初の出会いが大分引いてて……

「はぁ、そうですか。オリアンさん。」

「オリアン、だ。あとその畏まった口調もダメだ。」

有無を言わせぬ笑顔、これは逆らってはいけないな。

「アッハイ。了解、オリアン。」

「よろしい、では君の事も聞かせてもらおうか?いや、君たちか。」


「トーヤ。しがない冒険者だ。」

「ルナ。しがなくないトーヤの従者。」

『殿のペットのゲルですぞ。』

おいゲル、お前いつの間に俺の頭の上に載ってるんだ。

というかお前パオンパオン言ってるから俺以外何言ってるか分かってねぇよ。


「いやいや、簡潔すぎないか!?もうちょっとこう……あるだろ!?というか大翼象だと……?何故希少種がこんなところに」

「ペット。」

「ペットぉ!?」

何をそんなに驚いているんだ?

奴隷って文化があるのにペットの文化が無いなんて言わせないぞ。


「な、何というか凄いな君は。」

そう言いながら俺の頭を撫でようとするオリアン。

あ、ルナに手を払いのけられた。

ルナは相当オリアンに敵意を持ったみたいだな……


いかんいかん、2人の間が何か怖いから別の話題に変えよう。

「あーあのグリフォン!そう、グリフォン!オリアン、あいつはどこから来たのか知ってるか?」

もしかして騎士のオリアンならまた別の情報を持っているかもしれないからな。


「あ、あぁあのグリフォンな……実はアレ以外にも街に魔獣が数匹脱走しているんだ。」

「はぁ!?」

思わず声が出てしまったが、いやいや嘘だろう。

こんな化物がまだ街にいたのかよ!


「ベヒーモスとかミノタウロスとかだな。だが安心してくれ、騎士や冒険者によって全て討伐し終えているよ。斯く言う私もここのグリフォンを任されたんだが。」

「あ、俺が倒しちゃったと。」

もしかして悪いことしちゃったか?

グリフォンをオリアンが討伐しなければ首が飛ぶとかそういう感じか。

「いや別にそこはいいんだ。倒せるものがさっさと倒してしまった方がいいからな。」

「何か引っかかることでもあるのか?」

「引っ掛からないところが無いだろう。」

そうだな、主に魔獣たちがほぼ同じタイミングで脱走して暴れたのか。

明らかに偶然ではないよなぁ、人の手が加わっていると考えてもおかしくない。

何に対する攻撃なのか、国民相手なのか、それともこの国その物に対する攻撃なのか。


まぁ、分からんな。

できるだけ変ないざこざに巻き込まれたくはないな。


「しかしトーヤ、運が良かったな。」

「え、何が?」

「グリフォンだよ、運良く幼体と当たったんだな。」

…………え?

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