犬の正体
あぁ、結構この揺さぶり頭が揺れて段々気持ち悪くなってくる……
「うぐぉ!?」
金属音と奇妙な声が聞こえたかと思うと不意にオリオンさんの力が弱まり俺は解放された。
「……」
いつの間にかルナが俺とオリオンさんの間に立ち、しかめっ面でオリアンさんを睨んでいた。
手には先程買った杖……オリアンさんは胸の中心辺りを抑えて困惑気にルナを見ている。
もしかしてルナ、杖でオリアンさん殴ったのか?金属音の正体も杖と鎧がぶつかった音だろう。
「トーヤが苦しんでる。」
確かに苦しかったけどまさか暴力で訴えるとは……ルナは意外とバイオレンスなのかもしれない。
「ルナ、お前どこにいたんだ?親父さんと逃げたんじゃ……って思ったけど親父さんここにいたな。」
親父さん俺を心配して出てきてくれてたのはいいけどせめてルナを
非難させてから来てくれよ……
責めるような目線に気付いたのか親父さんは慌てて
「いやいや違うぞ兄ちゃん!俺ぁ確かに嬢ちゃんを家の裏から逃がしたはずだ!」
「店長の言ってることは合ってる。その後戦闘音が鎮まったから来てみたらトーヤが苦しめられていた。」
確かにいきなり仲間が胸倉掴まれて揺さぶられたら……助けるよなぁ
とりあえず謝っておこう。ルナに悪気は微塵もないのだろうがそれでもオリアンさんに対して失礼なことをしたのは間違いない。
「すいません、オリアンさん。俺の仲間が失礼なことをして。」
「い、いや、いいさ。私の方こそ取り乱してしまってすまない。」
良かった、オリアンさんは気にしていないようだ。
下手にプライドの高い人だったら逆上して斬りかかっていたかもしれないからな。
「しかしトーヤ。改めて聞かせてくれ。先ほどの犬の姿……あの犬に私は一度会ったことがある。その時の犬はもしかしなくても君ではないのか?」
「はい。」
一瞬嘘をついて逃れようかと思ったが、彼女は確信をもって言っているのだろう。
そんな彼女に対して嘘をついてけむに巻くというのはしたくないと思ったからだ。
「それならば、すまない。証拠にもう一度私の目の前であの姿になってくれないか?」
いや、さっき人間に戻る前に見たんじゃないんですかね……
まぁ減るもんじゃないし俺は言われたとおりにミニチュアダックスフンドに"変態"する。
この姿になった瞬間、オリアンさんがいきなり俺に向かって手を伸ばしてきた。
え、何事!?
と思ったらオリアンさんの手が届く瞬間にルナが俺を抱え上げ、だっこする形となる。
……え、いや何この一瞬の攻防。
「き、貴様ズルいぞ!私にもだっこさせろ!」
いやオリアンさん、あなた何言ってるんですか。
もしかして犬状態の俺をだっこしたくて能力使わせたんですか。
「駄目、トーヤを抱くなんて許さない。」
そう言いつつルナ結構がっつりだっこしてますよね、あ、結構ふわふわして抱かれ心地いいかも。
対してオリアンさんは鎧着てるからごつごつして痛そうだな……
まぁそんなことはさておきだ。
「どうです?これで信用してもらいました?」
「あぁ、確かにその姿は私がこの前会った犬の姿だ。」
オリアンさん心なしかしょんぼりしてますね、そんなに俺をだっこしたかったのかよ。
ちょっと今回一段と話が進みませんでしたね、申し訳ない。




