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装備完了

「兄ちゃん!持ってきたぜ!」

ガハハと笑いながら裏から戻ってきた親父さんは装備が入っているであろう大きな袋をカウンターにドサッと大きな音を立てて乗せた。


「ありがとうございます、開けてもいいですか?

「おう、もちろんだ!」

一応親父さんの許可を取っておいて遠慮なく袋を開封させてもらった。

うーむ、福袋を開けている気分。

救いは親父さんがハズレ商品を入れなさそうなところだ。


「おっ、これはレザーアーマーか」

初めに取り出したのはゲームでも毎度おなじみレザーアーマーだ。

皮の部分がまるで鉄のような色をしている。

肌触りは動物の皮なのだが、見た目は鉄だ。

これがアイアングリズリーとやらの皮か。まさにアイアン、鉄のような肌をした熊か。

次に出てきたのはこれまたショートソード。

何の変哲もないショートソードだ。


「あぁ、そのショートソードな。他の商品が良いものの代わりそれだけ至って普通のショートソードだからな。」

やったぁ!店長の折り紙付きだぁ!


はい、次の商品は……ローブかこれ。薄い水色だな。

「それなぁ、一見ただのローブだが防御魔法かかってるんだ。まぁある程度ダメージ受けたらただのローブになるんだけどな。」

ほう、それは便利だな。

それならルナに着せても大丈夫だろう。


次は……というかもうあと一つなんだけどもちろん杖だ。

何とも年季の入った色をした木で出来た杖だ。

先っぽに蒼い球が浮かんでいるが何だこれ、浮いている。

恐らくこの杖に備わっている魔力か何かだろう、むしろそれぐらいしか考えられない。


「これで終わり……ん?」

全部出し終わったと思ったけど何かまだ重みがある。

袋をひっくり返してみると白色を基調とした女物の服が一着とシャツと短パンが落ちた。

何これ、こんなの頼んで無い筈だけど……


「その服な、嬢ちゃんその服じゃあ勿体ないからよ!うちの娘のお古だけどどうだ?シャツと短パンは兄ちゃんのだ。流石にその服にレザーアーマーは合わないからなぁ」

「え、ありがとうございます!」

まさかの親父さんの優しさに俺は勢いよく頭を下げた。

ルナも服を輝いた目で見ている。

気に入ってくれたようで何よりだ。


親父さんの粋な計らいに感謝し、俺たちは店に備え付けられてあった試着室を貸してもらい、着替えることにした。

おっと、ゲルお前オスだろこっち来い。


着ていた服は大切にポケットの中に入れた。

親父さんに見たことない服だから高く買い取ると言われたけど断っておいた。

別に思い入れがあるわけじゃないけど、数少ない前世の物の1つだからな。

大切にしておきたい。


と言うか割とレザーアーマーを装着するのに苦労したぞ。

「お、ルナ早いな。」

「むしろトーヤが遅い。」

既にルナが着替えを終えていたが、俺はこっちの装備は初めてなんだよ……

親父さんの娘さんのおさがりはルナに素晴らしく似合っていた。

うむ、眼福。


「おぉ、2人とも似合ってるじゃねぇか。売ったかいがあったってもんだ!」

いや本当に有難かった、カタラの言った通り親父さんはとてもいい人だった。


しばし親父さんと歓談していると外の方が騒がしくなっている気がする。

「何か外が騒がしいですね。」

「そうだなぁ?何かあったのか?」

気になって扉を少し開け外をのぞいてみると人々が走っていた

老いも若きもそりゃあもう全力疾走で。


全員が恐怖に染まった顔でまるで何かから逃げているみたいな……?

逃げている民衆のうちの誰かが大声を上げた

「グ、グリフォンが檻から脱出したぞーーーーーーーーーーーーーー!!!」

え、マジスカ。

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