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装備屋エクスカリバー

「ここか……?」

カタラの地図の通りの場所についたがおかしい。

「看板がない。」

ルナの言った通り、俺たちの目の前の家には装備屋と示した看板が無い。

この世界には看板が無いとかそういう訳ではない。


だがカタラの地図に従うとするならば間違いなくここだ。

一瞬、カタラが嘘をついたのかを疑ったが、あいつにそんなことをするメリットはないと思う。

……悩んでも仕方ない、ここはカタラを信じてみよう


「行くぞ。」

「うん。」

俺は意を決して扉の取っ手を掴み恐る恐ると開ける。

と言うかここが本当にただの住居なら俺不法侵入で逮捕されるんじゃないか……?

そんな法律あるかは分からないけど。


「へいらっしゃい!」

俺たちを出迎えたのは野太いおっさんの声だった。

そこには剣や槌や盾、鎧などまさに装備屋と言ってもいい商品が所狭しと並んでいた。

「えーっと……ここは装備屋ですかね?」

この武器防具を見て俺は何を馬鹿なことを言っているんだ!?

俺のこの愚問に武器の手入れをしていたおっさんは、豆鉄砲を喰らったような顔をしたかと思えばガハハと笑い出した。


「おう兄ちゃん!そうだ、ここは装備屋"エクスカリバー"だ!」

どうやら合っていたようで安心した……っていうかエクスカリバーて、前世でもよく聞いた伝説の険の名前じゃないか。


「いやぁ、久しぶりの新しい客だぁ!兄ちゃん、誰にここの場所を聞いたんだ?」

装備屋のおっさん……いや、今は親父さんとでも言っておこうか。

親父さんはカウンターから乗り込み聞いてきた。


「カタラって人から……」

「おー、カタラか!あいつぁ顔とか気持ち悪ぃが人の良い奴だからなぁ!うんうんあいつの紹介なら今回の買い物少し安くしてやるぜ!」

何という事だ、カタラ様様じゃないか……

ありがたく安くしてもらおう。


「で、兄ちゃんたちは何を買いに来たんだ?」

「俺とこの子の武器と防具をお願いします。」

もちろん、俺とルナの事だ。

ゲルの分は買うつもりないと言うか絶対に必要ないだろう。


「どんな装備がいいとかあるのか?」

「俺は剣と防具……あ、そうだ。レザーアーマーなんてあります?」

「おう!もちろんあるぜ!アイアングリズリーの皮で出来たやつがな!」

お、言ってみるもんだな。

アイアングリズリーがどんな魔獣かは名前からある程度想像できるな。


「じゃあそれで。あとはこの子には……」

ルナは攻撃魔法こそできないがそれ以外の魔法は使えそうだ。

運動能力は体力こそあるが肉弾戦となるとあまり期待は出来なさそうだ。

となると

「ルナ、杖とローブでいいか?」

この選択しか浮かばなかったんだが、ルナに確認を取ってみた。

ルナは

「問題ない、むしろ助かる。」

と言ってたので大丈夫みたいだ。


「じゃあそれでお願いします!」

「杖とローブね、おし!兄ちゃん予算はどれくらいある?」

俺はポケットから先ほどの鎌蜘蛛の報酬から3分の2ほどのギル(この世界の金の単位らしい)を取り出し、親父さんの前に置く。


「ぃよし!んじゃこれで買える装備を見繕ってきてやる!」

親父さんはギルを片付け、装備を取りに店の裏へと消えていった。


さて、どんな装備が買えるのか、不安も少しあるが楽しみだ。

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