装備屋へ
さて、冒険者登録を終えたわけだが、俺はまずクエストを受ける前にカタラに聞きたいことがあったのだ。
カタラは俺が近づいてることに気付くとニタァと笑った。
「ぃよぉおう。にいぃちゃあん、いやトォヤか。まぁさか鎌蜘蛛を倒したんだぁってねぇえ。」
「偶然だよ偶然。」
俺が苦笑いながらそういうとカタラがボソッと
「偶ぅ然でぇ倒せるほぉど鬼種はあぁまくないんだけどねぇ……」
って言ってた気がしないでもないが聞こえないことにしよう。
カタラにランクを聞いてみると意外にもSRランクらしい。
ソロでいろんなクエストを受けているうちにそこまで昇格していたみたいだ。
見た目とは裏腹に結構な実力者なんだろうなぁ
「でぇえ?何か用かぃい?」
「あ、そうだそうだ。この辺で装備売ってる店ないか?」
「んん?……あぁあ、なるほぉどねえぇ。ちいよっと待ってな。」
俺の足の先から上まで見たことでカタラが察してくれたようだ。
カタラは紙とペンを取り出しそこに地図らしきものをすらすらと書き始めた。
ってか綺麗に描くな……これで顔が良かったら人気者になれたかも知れないのに神様は残酷なものだ。
「ほぉれ、ここに行ってみぃな。品ぞろぉえもいいしぃ何よぉり店の人の度量がぁいい。俺相手でぇもいぃやな顔せずに話しぃかけてくれるからぁな。」
なるほど、それは必要な要素だな。
いいものが揃っていたとしても店員の対応が雑だったらその時点であまりいい店とは感じられないものだ。
店で1番重要なのは商品かもしれないが、店員も結構重要な要素だ。
俺はカタラから有難く地図を受け取り、ルナを伴い装備屋へと向かうことにした。
カタラにはいつか飯でもおごってあげよう。
「トーヤ、装備屋に行くの?」
「あぁ、俺の服目立つからさっさと変えたいんだよ、それにルナもな。」
「?」
ルナが何を言っているのかと言ってるような顔をして首をかしげる。
いや、今の自分の格好に疑問は……持たないだろうな、ルナなら。
薄汚い服だし最初に会った時もぶかぶかの帽子を被っていた。
あの時は犯罪者共にばれない様にしていたから仕方ないが、ルナは年頃の娘だ。
冒険者の服だとしても少しは小奇麗な格好をさせてやりたい。
ぶっちゃけると優先順位はそっちの方が上だ。
まぁ鎌蜘蛛の報酬で結構もらえたから俺のとルナのもの、どちらも購入できるだろう。
どんな服装を着せようかと考えながら歩いていると俺の服に隠れたゲルが顔を出す。
『装備ですか、いやぁ楽しみですなぁ!』
「いや、お前のはねぇよ?」




