冒険者登録
「まだですねぇ。ちなみに登録するとどうなるんですか?」
「ハイ、まずですね。ギルドに依頼されたクエストを受注することが出来ます。」
登録してないとあの壁の紙の依頼を受けることは出来ないのか。
「それで報酬も獲得できると?」
「そうですね、逆に冒険者登録をせず、さらに依頼を受けずにクエストをこなしても報酬は出ません。それはボランティアという事になります。」
そういうのはしっかりしているんだな。
まぁボランティアで命を落とすようなクエストをする奴はいないだろう。
するとしたら相当な好きものか正義感に溢れ過ぎた奴だな。
「クエストは最初から全部受けることは出来るんですか?」
「いえ、最初の冒険者はC 《コモン》ランクからスタートしクエストをこなしていき、UCランク、Rランク、SRランク、URランク、LRランク、と階級が上がっていき、それに応じた依頼を受けることが出来ます。」
どこかで聞いたことのあるランク付けだな……
「昇格するのはクエストをこなすだけしかないんですか?」
「そうですね……たまにランク以上の働きをした場合ギルド長から特例で昇格することがありますね。」
まぁそういう事が起きるのは稀だろう。
ランクに見合わない仕事は怪我するだろうし、最悪死を招きかねない。
登録するにしてもぼちぼち力を付けていくのが一番だろうなぁ
「で、どうします?鎌蜘蛛の鬼種を倒した方であればすぐにでもRランクくらいにはなると思いますが……?」
受付嬢は首をかしげて聞いてくるが、そんなにすぐに昇格する気はないんだよな
目立つじゃないか。
「登録しますけどあまり期待しないでください。」
「はい♪ありがとうございます!それで後ろの女性はどうなさいますか?」
受付嬢は俺の奥に声をかける。
まぁルナの事を指しているのだろう。
「私はトーヤの従者だから。」
「あ、そうでしたね。それじゃあそのように。」
ん?従者だと冒険者に当てはまらないのか?
もしくは2人で1人の冒険者とかそういう扱い?
「それじゃあこの紙に手を置いていただけますか?冒険者カードを作りますので。」
「冒険者カード?」
「簡単に言うと身分証明書ですね。書き込まれるのは名前とランクだけです。所持者の魔力を元に生成されるので。別の人が持ったら色が変わるので、成りすまし対策にもなります。」
ほーそりゃ便利なカードだ。
まぁどうせ"大収納"しておくから盗難されることはないと思うんだけどな。
俺は受付嬢の用意した茶色い紙に手を置く。
すると紙は七色に発行したかと思えば段々と収縮し、一枚の硬質なカードと変化した。
どうなってんだこりゃ、これも魔法の力か
受付嬢は俺が作り出した?カードを読み上げ、問題ないことを確認する
「ハイ、トーヤさんで間違いありませんね?」
「はい。」
「それではトーヤさん、これで貴方は冒険者となりました。強敵に挑んでもよし、のんびり雑魚を倒してもよし、願わくばこの世界に価値のある冒険をすることを望みます。」
受付嬢さんの謎の口上?を聞き遂げ俺は冒険者となった。
受付嬢さん、そんなに顔を真っ赤にするくらいならやらなきゃよかったのに。




