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古代種

ゲルが言うには今この世界に存在している魔物は基本的には俺が"変態"によって姿を変えることのできる動物が魔力の力で変異したものらしい。

その動物が生きていたのはずっと前、故に古代種らしい。


『まぁ殿が古代種になったところでその姿が古代種と分かるのは変異した魔物の種族ぐらいでしょう。』

という事は人間が俺の姿を見たら珍しい魔物くらいにしか思わないのだろう。

実際オリアンはミニチュアダックスフンドを珍しがっていた。


ルナに狼の姿について聞くと

「いつも見ているグルウルフかと思ってた。」

らしい。おい、ゲル話が違うぞ。


うーむ、やはり人の前では容易に使うべきじゃないのかもしれない。

確実に注目を浴びてしまって厄介ごとに巻き込まれるのは御免だ。

それでも1つ、問題点がある。


俺、"変態"使わないと弱いような気がする。

動物に変身することで戦闘能力は向上するがいかんせん人間の姿だと動物のそれに及ばない。

第一人間の姿で戦闘に使えそうなものが初期魔法と"直感"と"疲労軽減"しか持っていない。

"疲労軽減"を生かして持久戦に持ち込んでもいいのだが、明らかに俺より腕前が上の奴と闘うことになったら一気にやられてしまうだろう。

流石にそこまで追い込まれたら覇王翔吼拳を……"変態"使わざるを得ない

そこらへんが今後の課題だな。


そうこうしているうちに俺とルナを乗せたゲルはフォトムの城壁前までたどり着いた。

ちなみに食事はルナがビレッジ村から貰ってきた(十中八九掻っ攫ってきたのだろうけど)食料があったのでありがたくそれをいただいた。


俺とルナはゲルから降りるが、そう言えばゲルはどうするか。

こいつ、象よりかは小さいがそれでも大きいから城下町を歩くとなると不便だろう。


「ゲル、どうする?お前外にいるか?」

『ふっふっふ、殿。それには及びませぬぞ。私達大翼象には隠された能力があるのです!』


パオパオとゲルが言うと段々とゲルの体が小さくなって言っている気がする。

いや、気がするのではなく、コイツ実際に小さくなっている。

ゲルの体は俺の手のひらに載るほどのサイズになると縮小を終えた。


「お前、小さくなれるんだな……」

「初めて知った。」


俺とルナは俺の手のひらで象の顔で器用にどや顔しているゲルを見る

これは結構可愛らしいんじゃないだろうか、前世だと女子受けしそう


『ふふふ、この能力は結構便利でしてな。サイズは元の大きさ以上にはなれませんがここまで小さくなれるのですぞ!』

この渋い声が無ければなぁ……

ん?でもあれ?

「じゃあ何でその能力使って小さいところに隠れてあの魔獣たちやり過ごさなかったんだ?」

俺に同調するようにルナもコクコクと頷く。

対してゲルは今気づきましたとでも言いたいように口をあんぐりさせていた。


まぁその馬鹿のおかげで俺たちはゲルと言う乗り物を手に入れることが出来たのだからゲルの馬鹿に感謝しよう。

さぁ、今度は正面からフォトンへと入ろうじゃあないか。

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