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聞こえる鳴き声

さて、ビレッジ村を出た俺とルナはフォトムに戻ることにした。

と言うのも特にやることを決めてなかったので一旦資金調達のために、鎌蜘蛛の核を売ることにしたのだ。


さっさと金にしてこの世界での標準的な服を装備しておきたい。

この服だと何かと目立つからな。

あと人の姿でも戦えるために武器も用意しておきたい。

棍棒でも十分とも思うが、剣の使い手と遭った時が怖いし、ナイフだと心もとない。


「じゃあ呼び方はトーヤのままでいい?」

「是非それで頼む。」


ご主人様とか呼ばれるのはむず痒い。

それもルナのような美人に言われるのなら尚更だ。

それでもご主人とかそう言うので呼びたいらしく、たまにさり気に要求してくる。


「でも従者とか奴隷はご主人様って。」

「じゃあご主人からの命令で名前で呼べ。」


それなら、とルナはようやく了承してくれた。

成程、命令と言う形なら受け入れてくれるんだな。


「そう言えばルナ、お前が使っていたあの契約の魔法って何属性の魔法なんだ?」

あの魔法にはどの属性の力も感じられなかった。

強いて言うなら発光したから光属性なのかもしれない。


「あれは無属性の魔法。無属性の魔法は適正関係なしに習得できる。」

詳しく教えてもらうとこの世界には基本的な属性として俺の持つ六属性のほかに無属性と呼ばれる魔法が存在する。

無属性魔法には先ほどの契約や物体操作など6属性とは関係ない事をする魔法らしい。


そもそもこの世界での魔法の習得は数多くあり、基本的なものは、成長で突然使えるようになったり、魔法書を読むことで習得できるようになるとかあるらしい。


「という事は俺も魔法書を読めば使えるのか?」

「かもしれない。トーヤは六属性の魔法全てに適性があるから……」


かもしれないという事は適性があるからと言って、決して使えるわけでも無いという事か。

まぁプロ野球選手がどこも守備で完璧に守れるわけでも無いからな


俺とルナがフォトムに向かっていると、突然遠くから

「パオオオォォォオォォオオオオオオオオオオオン!!!」


という鳴き声が聞こえた。

いや、鳴き声なのだが俺には聞こえた。

『助けてえぇぇぇえぇぇええええええええええええ!!!』

と言う声が重なって聞こえたのだ。


これも"変態"の能力の一部なのだろう。

ルナに聞いてもパオーンとしか聞こえてないらしいし、鳴き声を人間の言葉に変換されるらしい。

でも鎌蜘蛛とか鳥の声は分からなかったが共通点でもあったのか?


とりあえず俺たちはその声のする方向へ行ってみることにした。

単純に興味を持ったからだ。

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