倒れて寝て
まさか"疑似神格"の力がこれほどの物とは思わなかった。
いい勝負になるぐらいかと思っていたが圧倒したもいいところだ。
鎌蜘蛛は影も形もなくなり、あると言えば空き缶程度のサイズの青く輝く石があった。
もしかしてあれが魔物の核なのだろう。
にしても何かだんだん眠くなってきた……
俺の姿もいつの間にかただの狼に戻ってる。
うん、疲れた。
寝よ。
「トーヤ!?」
ルナの声が聞こえた気もするが、悪い。
眠くて返事する気も起きないだわ。
おやすみなさい。
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「ふぁあ~あ。」
どれくらい眠っていたのだろうか、体が酷くだるく感じる気がする。
んでもって目が覚めたと思ったら何だこの状況は。
ルナが俺を枕にして寝てるじゃないか……え、マジで!?
眠気が一気に吹っ飛んだ。
あ、もぞって動いた。
まぁ狼姿の俺の体毛は結構モフモフだからな。
俺もルナの立場だったら同じことをしていたかもしれない。
そうこうしているうちにルナも目を覚ましたようだ。
「あ、トーヤ起きた。」
「おう、おはよう。」
「おひゃよう。」
寝起きでうまく舌が回ってないのか。
ふと周りを見ると水が入った桶や水分を含んだ布があった。
もしかして看病みたいなことをしてくれていたのか。
「ルナ、俺何日寝ていた?」
「2日ほど?」
マジか。
"疑似神格"の反動がそこまで大きいとは思わなかった。
今後は使い方を考える必要があるな。
うむ、もう狼でいる必要はないから人間に戻ろう。
あーでも、人間に戻っても痛いな……
痛みとかは引き継ぐんだな、"変態"。
俺がちょうど人に戻った時、バズだったかが入ってきた。
ちゃんと覚えてますよ。忘れかけていたけれども
「起きたか、旅人よ。」
「おはようございます。失礼ですが何か御用ですか?」
あぁ、それなんだがな
バズは軽く笑った。
別に変哲もない笑顔のはずが俺には"直感"的に厭らしいものに見えた
「この村から出て行ってくれ。」
ほうら、やっぱり




