レベルアップ、そして呆気なく
このタイミングでレベルアップ!?
スキルのレベルアップは何が引き金となって行われるのかさっぱりわからない。
だが、今はこのレベルアップに賭けるしかない。
――これにより"変態"は2つの能力を新たに得ます。1つは"変態"した動物に応じたスキル・魔法を発動できる"模倣強化"。そしてもう1つは"変態"した動物を一定時間神格化させる"疑似神格"です。
まさかの2つ!?
一気に成長した気がするぞ"変態"。
特別このユニークスキルの成長が早いのか、気になるがまずは目の前の鎌蜘蛛だ。
この新たに得た2つの力でルナを護れるんだったらやってやろうじゃねぇか!
「ルナ!俺の後ろにいろ!」
俺の声に倒れていたルナは無言でうなずき、何とか俺の背後に身を置く
鎌蜘蛛は足の刃をぶつけ合い、金属音を出して威嚇している。
ぶっちゃけ恐ろしい。
頭の中にあの鎌で真っ二つにされるイメージが浮かんだがすぐにそれをかき消した。
護るって決めたのに死ぬ想像とか笑えない。
俺は意を決して大声で叫んだ
「"疑似神格"発動!」
それに反応するように俺の体が様々な色に発光する。
狼だった俺の体はメキメキとサイズが膨らんでいく。
毛並みも灰色から銀色と見間違えそうな白色に
あと力が溢れてくる気もするし、頭の中にスキルの情報が流れてくる
成程、これが"模倣強化"か。
しかしまぁそれ以外に情報が分からないというか理解できていない。
そのため自分の状態を確認することのできる"状態確認"を起動させる。
名前:トーヤ
性別:無し
年齢:???
種族:フェンリル
魔力:???
魔法属性:火・風・絶氷・地・混沌
ユニークスキル:変態 破滅の杖
スキル:大収納 料理 疲労軽減 状態確認 言語変換 直感 創作
まず最初に
なんだこれは。
これは本当に俺なのかと見間違うほどのステータスだった。
性別が無い、年齢も分からない、魔力も分からないって何だそれ!
魔法属性にも変化が起きている。
水が絶氷に、闇と光が混沌と言うものに変わっている。
極めつけはユニークスキルだ。
"変態"だけだった俺のユニークスキルに破滅の杖なるものが加わっている。
いや、そんなことを考えてる場合じゃない!
俺は意識を戦闘に戻し、鎌蜘蛛をにらみつけた。
……あれ?
あいつ、震えていないか?
顔こそは見えないがこちらに視線を固定したまま動かない。
あんなに調子に乗って威嚇していたのに変な奴だ。
俺は変な様子の鎌蜘蛛の状態など全く関係なしに頭に浮かんだ魔法で苛め抜いてくれた奴に礼をくれてやった
「冷たく砕けて去ね。"氷塊の棺"」
唱えるや否や鎌蜘蛛の足元から強烈な冷気があふれ出し一瞬で氷漬けにした。
しかしそれだけでは留まらず、氷は次第に亀裂が走りやがて中の鎌蜘蛛共々砕け散った。
うわ、呆気ねぇ




