”変態”です
俺、重道東也。18歳。
現在、死にそう中。
道路に倒れる俺、周りには騒がしい人々。
下が生暖かいんだが、これ血か?
……轢き逃げかよ、あーこの場合相手も俺も運が無かったなぁ。
さて、痛いし苦しいしどうせ助からないだろう。
ちょっと人生振り返ってみるか。
一般的な家庭に生まれ、普通に学校通って普通の成績でちょっと運動が苦手で
強いて言えば動物が好きだったことかな。
と言っても動物学にのめりこむ様な程好きなわけでも無かった。
神話とか現実にいない動物も好きだったなー
……今思えばつまらない人生だった。
何だ、別にこんな人生失くしちゃってもいいじゃないか。
好きな人いるわけでも無いし護りたいものがあるわけではない。
――じゃあ別の人生得たいですか?
おかしいな。周りの声が大分うるさい筈なのに頭の中に響くような声がする。
透き通るような女性の声だ。
声優の声も綺麗だったり可愛らしいだったりのもいるけどこの声は神性的と言えばいいのか。
まぁ関係ないけど
別の人生、ね。何それ面白いの?
――少なくとも貴方が生きてきたこの世界に比べると危険はありますが面白いものばかりかと
そうか、そいつはいいな。是非そうしたい。
というかそんな面白いことを考えながら死んだ方が割と気分がいいよな。
――それじゃあそうさせて頂きますが。いくつか質問させていただきますね?
どんと来い。
――では。転生させていただきますが……赤ん坊からスタートと今の貴方の姿そのままからの転生、どちらをお好みですか?
この姿で頼む。また子供時代を乗り越えなきゃいけないと思うと面倒だ。
子どもの特権でちやほやされるもの悪くないかもしれんが逆もあり得るからな
――了解です。さしあたっては身体強化させていただきますね、貴方そのままだと死にますし。
そんなに物騒なところなのか。
でもありがたいな。
別世界行ってすぐ死んだら目も当てられない。
――次はスキルです。とりあえず10個。思いついたものを言ってください。可能なものであれば与えますので。
思いついたもの、か。
ん?ちょっと待て。
さっきまで感じていた痛みや苦しみが無くなってる。
さらに言えば周りが真っ暗だ。
もしかしなくてもこれって
――そうです。貴方の生命活動は終了し、転生の準備を始めています。もう起きても大丈夫ですよ。
声に従って体を起こす。
スッキリした気分だ。頭もさえわたっている気がする。
おっと、スキルだったな。
そうだな、まずは
「疲労軽減なんてのは?」
あ、声が出た。
――可能です。それでは1つ目のスキル、疲労軽減を付与します。
お、通った。
じゃあ次は
「自己修復なんてのは?自己再生とか。」
――傷の治りを速めるというものでしたら可能ですが切断された腕をひっつけるというものは不可能です。転生後に成長したら習得する可能性もあります
ならいいか。そういう力も得られる可能性があるなら今はいい。
となると、ふむ。出来るだけ生活に不備の無いのがいいな
「料理、言語変換、あと魔法は?」
――料理、言語変換了解しました。魔法に関してはスキルではありませんがスキル枠2つ消費してもいいのであれば各属性の初期魔法を付与します
初期魔法という事は鍛錬を積めば上級魔法も扱えるという事だろうか。
ならいいか、それぐらい。
「それで頼む。」
――了解しました。これで枠は今5つ。残り半分ですね。
うーむ、悩むなぁ。
こういう時、今まで生きてきた際に読んでいたライトノベルの知識が役に立つ……と思う
なにかいいものあったか……?
あ、そうだ。
「状態確認は?」
――可能です。
「じゃあそれで。」
転生されそうなところは割と物騒なところみたいだから自分の状態を図れるのはそれだけで武器にもなりえそうだ。
あとは持ち運びだ。
「持ち運びに便利はスキルなんてない?」
――あります。収納スキルと言って任意の物を亜空間に保存しておくスキルです。その中では時間は止まり腐食等はしません。また枠を2つで上位互換の大収納にすることもできます
「大収納で。」
何その神スキル。
即決するに十分だろう。
整理してみようか。
今まで選んだのは、疲労軽減・料理・言語変換・魔法(2)・状態確認・大収納(2)だ。
8個か。再生が無理だから本当にチートよりなのは駄目っぽい。
ならちょっとお遊び入れてみるか?
軽く考えてみるとすぐ思いついた。
これは夢があるぞ?
「動物と話せるスキルはあるか?」
――ありますが、不要です。
え。何その回答。
≪不可能≫じゃなくて≪不要≫?
えーじゃあもう思いつかないわ。
「すまんが、思いつかないんだ。何か適当にあしらってくれないか?」
――まぁいいですけど。文句は言わないでくださいね?
「言わない言わない。」
こっちが頼んで文句を言えるわけがない。
流石に変過ぎるのは困るが
――では、創作・直感を付与します。
おぉ、割とよさそうなスキルを付けてくれたな。
――それでは最後に貴方にユニークスキルを与えます。
ユニークスキル?それって確か超珍しいんだっけ?
ライトノベルの受け売りなんだけどさ
――その認識で間違いありません。
この声は本当に声にも出してないのに返答するなぁ、神様なのだろうか。
――そうです。
マジかよ。
もういいや、受け入れよう。
こうして転生できるんだからそういうのも当たり前な世界に行くんだろう。
「えっと、じゃあ俺のユニークスキルって何?」
――貴方のユニークスキル。それは、
――"変態"です。