表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/32

分からない。

 冷たいものが額に触れて、ボクは目を覚ました。

「あっ、起きた?」

「……蓮斗」

 起き上がろうとするけど、すぐに力が抜けて倒れてしまう。体に力が入らない。動くのも何となく面倒臭い。

「軽い熱だけど、無理はしないで。明さんが言うにはこの家に慣れてきて安心したから、だって。明さん医者じゃないのにね」

 蓮斗は、とても落ち着いた声で話してくれる。もう、蓮斗は純粋な振りをしなくていいから、もう自由でいいから。そういうことなのだろう。

「どうして?」

「何がは聞かないでおくね。……ただの恩返しだよ」

「恩、返し? ボクは、恩なんて、作ってない」

 息を吸うのが辛くて、息を吐くのが気持ち悪い。熱以外の何かが、ボクが話すのを邪魔している。

「まぁ、そうだよね。むしろ、恩の反対の仇かな。有紀は、仇を作ってくれた」

「く、れた……?」

「恩を仇で返すなら、仇を恩で返したって問題ない。――っていうのは、姉さんの言葉だけど」

「…………」

「っと、交代の時間だ。それじゃあ、姉さんとゆっくりお話してね」

 言いたいことだけ言って、蓮斗の足跡は遠ざかっていった。代わりに近付いてくる足音が聞こえる。

「有紀、大丈夫……、じゃないみたいね」

「……うん」

「びっくりしたんだよ。急に倒れてさ、熱も最初はすっごく大きくて」

「ごめんなさい」

「ううん、蓮斗のせいじゃないから」

 蓮斗の言った、交代というのは本当だったみたいだ。お母さんは優しい声で話しかけてくる。

「今日はずっと側にいてあげる。明日になっても熱が引かなかったら病院行こうね」

 お母さんはボクの頭をぽん、ぽん、と撫でるように触れる。とっても落ち着ける。

「病院は、やだ……」

「じゃあ、さっさと治さないとね。ほら、おやすみ」

「……うん、おやすみ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ