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乙女ゲームの需要性

作者: アグネス

乙女ゲームって、何でしょう?

そういった類のものにはついぞ関わることなく、いたって

正常かつ健康に日々を送っていたある日のこと。

唯一無二の親友から手紙が届いた。

良い香りのついた便箋だ。親友は結構な家柄の生まれで、

いつも何かあるときはこうして丁寧に手紙をしたためてくれる。

例えば身内のホームパーティーとか。今回の件もおおよそそういったものだとおもってた。

が、いざ読んでみると、そこには珍妙な言葉が。


乙女ゲームやるわよ!明日うちに来なさい!


…はて?乙女、ゲーム?

まるで国の威信をかけて戦場にかけていくような力強い字に、にわかに緊張が走る。

しかし、そのおと何チャラというものにあまり覚えがない。

親友はいつの間にそんな極地へ赴いていたのだろう。

皆目見当がつかない。

とりあえず、了解の意を込めて返事の手紙を書いた。

明日、なにがあるんだろう?


次の日。

「なにあんたっ!その年で乙女ゲームも知らないの!?」

「ご、ごめん」

信じらんないと表情に浮かべた親友に、なんだか申し訳なくなる。すまん、こんな世間知らずが親友で。

「まったく、しゃーないわね。乙女ゲームってのはね…」

「お、乙女ゲームとは?」

ゴクリ、と息をのむ。

親友は肺一杯息をにすいこんで高らかに言った。


「戦争よ!」

「なんと!」


まさか、手紙で感じたことが本当だったなんて…驚きだ。

しかも、たとえゲームとはいえこの心強いさばさばした親友がこんな重々しい顔をしているなんて。どれほど悲惨なゲームなのだろう。


「そ、そんなに酷いの?」

「ええ、まさに酒池肉林。醜い争いのオンパレードよ。」

「しゅ、酒池肉林!?わ、賄賂とか?」

「賄賂ねえ、、そこまでじゃないけどまあ、駆け引きとかは常套手段ね。」

「駆け引き!?私できないよ!」


半分泣き叫ぶ私に親友は、何とも頼りがいのあるお言葉を垂れた。


「大丈夫。そういう初心なのが受けるゲームだから。」


つまり、私はカモなのね。


***

百聞は一見にしかずよ。とりあえずやって見なさい。

親友はそう言って私にコントローラ(地獄へのチケット)を握らせた。これを使ってゲームをするらしい。なんてものを握らせてくれるんだ、オイ。

無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!!!

高速首振りとは、まさにこのこと。

親友は、あんたって滑舌いいのねぇと感心していた。

気にするポイントそこじゃない。待って、私今半泣き状態なのっ!!お願い気づいて!恐いんだって、おかしいでしょうそんなゲーム!そりゃ貴女はスリルあって楽しいんだろうけどさ、私平和主義者なの!

「醍醐味を理解してないとか、ホントにお子様ねぇ」

「大人は全員するのか、バカーーー!!!」

「あらあら、キレ方とか駄々っ子みたいよ情けない!」

「うわーーん!」


結局。

私は、悪魔のイタズラによりそのゲームをプレイすることになってしまった。畜生……

パッケージに描かれている男性陣は、皆キラキラしていて眩しい。だからこそ戦慄する。こんな素敵な方々が裏で牛耳っているとか、笑えない。特に、センターでワイルドな笑みを浮かべるイケメンさんとか一歩間違えると、あの悪名名高い田沼意次を連想させる。そして決め手は『broken heart~酔いしれる甘美~』というゲーム名。え、麻薬とかそっち系もでんの?マジで?どんだけやばいの、このゲーム。

もうやだお母さぁぁん……

こんな時に限って優しく背中を撫でてくれるのは、悪魔な親友のみ。もう、だまされないんだから!


「じれったいわねぇ。はいスタート!」

「ああああああああああ!!」


人が地獄の門の前で長考にはいってる隙になんたる暴挙!

やっぱり悪魔だ。いや、それ以上。堕天使とか?ううん違う。これは天満大王様だ。無慈悲なところとかそっくり。


「なんか失礼なこと考えてない?」

「イエ、マッタク」

「ふーん?」


なんやかんやで、乙女ゲームデビュー

このあと、紳士を装った田沼意次の甘い言葉に恐怖の悲鳴をあげるわたしと、その隣でうっとりと「素敵……」とため息をつく親友というカオスが仕上がったのは、言うまでもない。

親友ちゃんは逆ハーは嫌いだけど、ワイルドイケメンさんは好き!という子。でも、酒池肉林は酷い。

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