第六戦初陣
その日は静かにやって来た
日数にして五日後、俺の初陣が
技術的にも精神的にもまだまだだが俺は今日初陣を飾る
「いいか迅、危ねぇと思ったらすぐ撤退しろ」
「その通りだ。なにも無茶をする必要はない」
「分かってますよ二人とも」
「じゃ俺らは行く、『総大将』ってこと忘れんなよ」
「はい」
慶次さんと兼続さんは俺を激励した後戦場に向かった
さて俺らも行くか
俺は今日俺の元にいる兵達に声をかける
「今日一日『総大将』代理の迅です。不束者ですが宜しくお願いします」
「じ~ん、『総大将』がそんなんじゃ駄目でしょ!もっと堂々としないと!」
「そんなこと言ってもサクラ、俺は全然……………」
「はぁ、まあいいわ、みんなーこれが今日一日『総大将』の迅だからね!」
『おー!!』
「でも基本的には指示は私が出すからそのつもりでねー」
サクラの声に兵達が答える
やっぱすごいなこいつ、こいつはサクラと言ってゲームのオリジナルキャラだ。背が高く、ショートカットが似合う女の子だ
何故慶次さん達と別行動なのかというと二人の大名が同時に攻めてきているからだ
一人の方には慶次さん率いる前田軍本隊が
もう一人の方には兵が足り無いということで急きょ慶次さん達に直接教えてもらっていた俺が、そして何故か『総大将』を任された
流石に素人同然の俺一人では危ないと何度か一緒に訓練したことのあるサクラがサポートとしてこっちに来てくれた
☆
「本陣はここに作りましょ拠点はさっきの指示通りに」
戦場につくなりサクラの声が飛ぶ、頼りになるなー
てかお前がやれよ『総大将』
ものの数分で本陣及び拠点は出来た
ここで簡単に平野での戦場の説明をするが拠点をあちこちに作っていいのは防衛側だ
防衛側は戦が始まるまえにあらかじめ兵達を拠点に配置出来る
今回俺達は防衛側なのでかなり有利に戦を進めることができるはずだ
「いい迅、分かってると思うけど理由はどうであれアンタが『総大将』なんだからあまり戦場には行かないでよ」
「分かってるよ。つーか俺が出た所で足でまといなだけだ」
前も言ったが『総大将』がやられるか本陣が落とされたら負けなので俺はさらさら動こうとも思わない
「あらて敵さんが来たみたいよ。数は……………3000といったところね」
何故敵がきたのが分かるかって?
ゲームだからだよ←ここ重要
「らしいな……………相手の『総大将』らしきやつ若くないか?」
「あらそれを言うならうちもよ迅」
「いや、俺は代理だし」
「彼は`風林火山`武田信玄、ここ最近力をつけてきた大名よ」
え?俺と同じ歳にしか見えないあいつが武田信玄!?
信じらんねぇー
「どうしたの?そんな驚いた顔して」
「いやいくらゲームとはいえイメージとかなり違うなと思って」
「?」
おっとやべゲームっても分かんねぇよな
「そ、それであいつは強いのか」
「そうねぇまだ発展途上ってとこかしら、私達でもまだ防衛ぐらい出来るわ」
「それを聞いて少し安心したぜ」
「油断大敵だからね」
「分かってる」
なんせ武田信玄だからな若くても
☆
兵達の雄叫びに似た声が聞こえる
どうやら戦が始まったらしい
他人のように言ってはいるが俺のいる本陣にはぴりぴりした雰囲気はあるがここが戦場だという感じがしないのでまだ実感がない
そんな俺の近くではサクラが忙しく指示を伝令兵に出していた
「どうだサクラ?戦況は」
「思ったより不味いわ、もう三つも拠点を落とされてる」
「え?」
「不味いわねいくらうちの戦力が寄せ集めみたいなものでもまだ発展途上の相手にこうもあっさり押されてるなんて……………って迅なにしてるの!」
「何って味方を助けに行く、そして奪われた拠点を取り返す」
「助けにってアンタがやられたら負けなのよ?」
「分かってるでも放ってはおけない」
「ちょ迅!」
俺はサクラの制止を無視して本陣を飛び出した
俺が行っても足でまといなだけかもしれないけどただ黙って本陣にいるのはできない