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プロローグ
プロローグ
魔王城の最上階にある執務室にて。
「…………暇だ」
書類も片付け終わったリィンは暇で暇でしょうがなかった。
リィンは諸々の事情で若くして魔王に就いたが、あいにく自分が魔王に就いてから戦争は一度も無い。
かなり平和なのである。
暇潰しにと近くの本をとり、適当にめくる。
ふと手を止め、リィンはそうだと呟いた。
「そうだ。人間の島に行こう」
善は急げとばかりに、要らない紙の裏側にしばらく放浪すると書きなぐる。
ついでに自分を探さないでと書くべきか……いや、どうせあの幼なじみなら無視して探すに決まっている。が、書くにこしたことは無いだろう。
書き終えたリィンは、窓から身を踊らせた。ちなみに執務室の高さは、ビルの百倍はあると聞く。
難無く着地したリィンは、その場にいた魔物達に臣下の礼をとられ、手を振り城をあとにした。
幼なじみが紙を発見して爆発するまであと一時間。