またいつか一緒に【第九話】
この話は聖魔光闇先生の企画したリレー小説の第9話です。
下記設定事項に従って記述しています。
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、
ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。
執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
一話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
二話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
三話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
四話:koyak http://ncode.syosetu.com/n4630t/
五話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
六話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
七話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1100u/
八話:伝次郎先生 http://ncode.syosetu.com/n2759u/
九話:koyak
どうぞ宜しくお願い致します。
次回:http://ncode.syosetu.com/n4766u/(このはなさくら先生)
慌てて山中家の別荘に引き返した僕達は、火を噴き続ける建物の脇にうずくまっている人影を見つけた。
「勝俊!」
「山中君!」
「勝俊君!」
「ぐっ…ううう、畜生!本当にくるなんて!」
服の右上半身部分は焼け焦げ、多少の火傷を負っているようだが、勝俊は生きていた。
駆け付けた消防車によって火は消し止められ、勝俊は救急車で病院へ。
僕、遥、運転手(黒崎さんというらしい)はパトカーで近くの警察署へ連れて行かれ、そこで事情聴取を受けた。
「山中君まで…。次は私、私なんだわ。」
署から一緒に出てきた遥は真っ青な顔をして震えていた。
(お前は大丈夫だよ。標的には入れていないから。)
と言ってやりたかった。言えるわけがないけど。
しかし、もしも勝俊が言っていた通り、あの時のオッサンが何らかの手で
僕達に復讐を始めていたのだとしたら、遥も十分危険な状況にいることになる。
だから、代わりの言葉をかけた。
「これだけ立て続けに僕達のまわりで事故、事件が続けば警察も本腰をいれて犯人を割り出そうとするはず。大丈夫。犯人は必ず捕まる。遥は、大丈夫だ。もしもの時は僕が盾になるさ。」
「智哉君…。」
自分の言葉が自分の中で空しく響く。
復讐を依頼したのは僕だぞ。それにこの身体でどうやって盾になろうって言うんだ?
翌日。
黒崎さんから「勝俊君は無事」という簡素なメールが送られてきた。
数週間の通院は必要となるが比較的軽症で済んだようだ。
その夜、部屋に戻った僕はベッドの上に仰向けになりながらいくつかの疑問点について考えていた。
能面の彼女・八草椎名の死、そして勝俊の別荘での出火。
この二件については少々疑問を感じている。
仮にどちらも業者の仕業とする。
まずは八草椎名の件。三日月の目の前で彼女に自動車をぶつけるにはまず彼女が標的の一人、三日月と付き合っており、あの時間、あの場に三日月と一緒に外出していることを知っていなければならない。
次に別荘での出火の件。
あそこまで大きな爆発を起こすとなるとそれなりに手の込んだ仕掛けがいるんじゃないだろうか。
勝俊があそこに引きこもる前にアイツが別荘にくることを知っているか、
勝俊が別荘にいる状態でアイツに気付かれずに準備をしておく必要がある。
更に両方の共通点。どちらも僕の目の前で発生している。
その道のプロの手にかかれば、この程度のことは造作もないことなのかもしれない。
だけど、業者以外にこの二件を仕組めそうな人物がもう一人、いる。
若宮遥。
三日月&八草とのダブルデート、勝俊の別荘訪問。
あれをセッティングしたのは?
三日月、勝俊とそれなりに面識があり、怪しまれずに行動できるのは?
僕は慌てて頭の中に浮かんだ妄想を打ち消した。
そう、妄想。これは妄想だ。
論理なんて破綻もいいところだ。
これはきっと業者が僕の依頼をこなすためにやったことだ。
そうでなければ勝俊が疑っていたようにあの時のオッサンの仕業だ。
黒崎さんも怪しい行動をしていた。
それに優や来栖の件はどうなる?
少なくとも遥は関係ない。彼女はただ巻き込まれているだけだ。
中々離れてくれない妄想を振り払うように業者へとメールを送った。
貴方達はどうやってこれまでの一連の事件、事故をやってのけたのか?
本当に貴方達がやっているのか?
標的にした全員が既に人生が変わるレベルの被害を受けているが、復讐はこれで終わりということになるのか?
メールの返信は僕を冷たく突き放すものだった。
「質問は一切受け付けておりません。お客様はただ感想を定期的にお知らせ下さるだけで良いのです。
ただ、最後のご質問につきましては『まだです』とだけお答えしておきましょう。」
僕がこんな身体になってから起きた一連の出来事。
"首謀者"は僕だ。僕のはずだ。
僕が業者に復讐を依頼することで動き始めたことなんだ。
なのに何故だろう?自分が事態の中心にいる気が全くしない。
「…くそっ!」
壁に八つ当たりするのもこの身体では一苦労なことに気付き、苦笑い。
我ながら現金なものだ。少し前まで自分は悪くないと思いたくて仕方がなかったのに、別の人間の介入がちらついたら今度はそっちを否定したくなってくる。
数日後、勝俊が僕を訪ねて来た。優と遥も一緒だ。
何カ所かに包帯をまいているようだが、勝俊は思っていた以上に元気そうだった。
別荘にこもっていた時のような不安げな様子もない。
優に経緯を話している時も割と淡々としていた。
遥に席を外すように頼み三人だけになると、勝俊はおもむろにこう切り出した。
「智哉と遥には少し話したが、智哉、優、来栖、三日月、そして俺の周囲で起きた一連の出来事。俺は偶然に起きた不幸な事故なんかじゃないと思っている。
「俺も同感だ。そんで?」
優が続きを促す。
「俺は、俺たちを狙った犯人を見つけ出したい。これまでずっと怯えていたけど、今回のことで逆にふっきれた。
放っておいても警察が何とかしてくれるかもしれないが、出来ることならこの手で見つけたい。
「目星はついているのかよ?」
「目星だけは、な。小学生の頃に俺たちが悪戯しちまった浮浪者のオッサン…覚えているか?」
「できれば忘れてなかったことにしちまいたいのが本音だが、覚えているよ。あの時のオッサンだってのか?だが、何だって今更俺たちに復讐するんだよ?」
確かに。現時点では証拠がない。
業者がやったのなら僕の依頼にせよオッサンの依頼にせよ、そんなものは残さないだろう。
「確かに全く別の人間によるものかもしれない。」
勘付かれた訳ではないとわかっていても一瞬背筋が冷える。
「だけど、誰かの悪意によるものなのは確かだ。俺は…そいつを見つけ出したい。」
その意志のこもった視線に戸惑いつつも、僕は尋ねてみた。
「犯人があの時のオッサンだったとして、捕まえることができたとして、その後どうするんだ?」
「謝りたい。」
「え!?」
「あの時のことを謝りたい。許してもらえないようなら俺のことを好きにしてもらうさ。
その後警察に突き出すかはお前らにお任せ、かな。」
「勝俊…。」
長い付き合いになるのに知らなかった。
こいつ、こういう一面もあるんだな。
「我儘を言っているのはわかっている。
だけど頼れるのはお前らだけなんだ。三日月はさすがに無理かもしれないが来栖には連絡をとってみるつもり。
俺は、まだ…まだ何かが起こる気がするんだ。頼む、協力してくれ!」
勝俊は本気だ。
昔から頭のよくまわるコイツならもしかしたら何らかの真実に辿り着くかもしれない。
例えば僕が業者に復讐を依頼したことも。
どうする?僕は、どうすればいい?
(続く)
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の著者様による合同執筆(合作)の事をいいます。
執筆にご参加いただける著者様は
事前に聖魔光闇先生(http://mypage.syosetu.com/107085/)までご一報、
そして投稿後にもご一報ください。
よろしくお願いいたします。