強いイランと石油の高騰
米国は実際に、2025年6月13日からイスラエルと共同でイランに対して12日間にわたる苛烈な爆撃に踏み切った。これは海外では「12日間戦争」(12-Day War)と呼ばれている。イランの大量の指導者を暗殺すると同時に地下核開発施設などを爆撃した米国とイスラエルの軍事力は圧倒的だったが、同時に、イランが100発以上の弾道ミサイルでイスラエルのテルアビブなどを攻撃し、高価なミサイル防衛網がその飽和攻撃を防げなかったことも世界的に注目された。
この12日間戦争の時点ですでに、米国のイラン攻撃を予測していた江学勤教授の名声は劇的に高まった。しかし、彼の名声をさらに劇的に高めたのは、2026年2月からの、アリー・ハーメネイー師の暗殺を起点とするイラン攻撃であった。彼は米国について、やがて地上軍を派遣し、それがベトナム戦争のように泥沼化して、米国は負けるという。ただしそれは、イランが勝つという意味とは限らないとも付言する。
彼がイランの強みとして注目している点はいくつかある。まず前提として、広大な土地と9千万という大きな人口がある。また、西側をイラクと隔てるザグロス山脈に代表されるように、持久的なゲリラ戦に有利な地形を有している。また、日中韓などへの石油の移送のための要衝であるホルムズ海峡に接しており、その対岸には世界的な石油資源が集中する湾岸協力会議(GCC)諸国が広がっている。
GCCは6か国からなり、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、バーレーン、クウェート、オマーンで構成される。ここから産出する石油が西側覇権の基盤だとした上で、GCCとホルムズ海峡は実際にはイランから攻撃しやすく、防衛はしにくいという。なせならイランは山がちであるため、いくら爆撃を徹底しても、弾道ミサイルやシャヘド136などの無人機を駆逐することができないからだ。
米国は第二次世界大戦後に次第に金本位制を離脱したが、金に代わる米ドルの価値の裏づけは石油と軍事力にほかならず、他国にドルの利用を強いつつも自身は自由にドルを印刷できるという事実が、冷戦後の米国一極覇権を形成してきた。だが、ローマなどの歴史的なすべての帝国と同様に、その一極覇権は次第に腐敗し、ごく一部の富裕層の利益のために、大多数の国民や同盟国を搾取する性質を強めてきたという。しかし、その傲慢さは視野狭窄を生み、GCCという足元が傷つけられ、誇張された軍事力にも実態がないと見なされると、ドルに関する事実上のポンジ・スキーム、言わばネズミ講であった米帝国のバブルは今後10年程度かけて圧壊していくという。
具体的には、石油が長期的に高騰しつづけ、再び安価になることはない。そして、安価な石油は現代の都市生活についてあまりにも基盤的に重要であったため、人類の生活は根底的な変化を迫られるという。具体的には、都市ではなく地方を重視し、グローバル経済に依存せずに食料などを自給する考え方が、個人レベルで重要になるという。そして、AIやSNS、見栄やお金に価値を感じる物質的個人主義は行き詰まると訴え、他者に親切にして信頼を築く態度や、愛し合うことそのものに喜びを感じる考え方でしか生き残れないだろうと予言する。




