中国のノストラダムス現る
江学勤教授(Professor Jiang Xueqin)を名乗る天才的な思想家がインターネットに現れ、全世界に激震が走っている。
彼の天才性は第一に、現在のイラン戦争を予言したことにある。彼は2024年5月に「The Iran Trap」という動画をYouTubeに投稿し、11月のトランプ第2期政権の誕生と、その政権がイランに侵攻することを予言した。さらに不気味なのは、その戦争で米国が敗北すると断言したことだ。彼の動画の魅力は、地政学的な知識が広範で、説明が論理的に整理されている点にある。
しかし非常に残念なのは、彼が広東系のカナダ人の2世であって、動画が主に英語でしか提供されていないことだ。実際には、YouTubeやウェブブラウザの自動翻訳の機能を使って彼の動画や記事を読むことは可能かもしれないが、日本人に対する拡散力には劣っている。まあ、Python言語の爆発的流行についても日本では数年の遅延があったし、いずれ正当に評価されるのかもしれない。
彼は、若い頃に読んだアイザック・アシモフのSF小説である「ファウンデーション」シリーズに登場する心理歴史学(psychohistory)という空想上の学問分野に惹かれ、歴史的なそれぞれの国家や民族や文明の主観的な価値観に注目した「ゲーム理論」的な分析モデルを応用することで、「予測歴史」(Predictive History)という考え方を提唱している。
Predictive Historyとは、平たく言えば、歴史に学んで将来を予測しようというものだ。しかしそれ自体は、歴史学について新しい見方ではない。また、彼は「ゲーム理論」の適用を強調するが、実際にはゲーム理論的な視点で語るだけであり、いわゆるゲーム理論的な数理的形式化にはまったく踏み込まない。結局、彼は方法論を提唱してはいるが、その方法論を踏みおこなえば同じ精度で社会が理解できるというわけではなく、彼の議論はひとえに彼の天才的な知能指数に立脚しているとしか考えられない。




