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新兵強制徴収

侵略×異世界

東富士演習場、【時空の裂け目】前の監視基地内

202X年11月末


異世界と繋がる【時空の裂け目】の出現より、3年が経過していた。

秘密裏に作られた監視基地は最新技術の結晶だった。


ベレー帽をかぶっていた、左目にアイパッチをかけた若い士官が基地内の大きな格納庫に入った。

格納庫内に布をかぶせられ、両腕両足が拘束された200ほどの男女が床に座れせていた。

連中の周りに重装備の隊員たちが立っていた。


「出せ!!ネットゲームがあるんだ!!俺はギルド長だ!!ニート強制施設はイヤだ!!」


「パパ、ママ・・・ひどいよ・・・あたし何をしたと言うんだ!!」


「俺の基本人権が侵されているんだぞ!!自由にしろ!!俺は高学歴だ!!」


「殺せ!!回りくどいことすんな!!できるものなら首吊りにしろや!!」


「ママ・・・ごはんは食べたいよ・・・ママ!!!」


「甥っ子を殴ったのは謝るから、捨てないでよ・・・母ちゃん、兄ちゃん!!」


様々な連中の喚きをうっとうしいと思いながら、若い士官は前にあった教壇へと向かった。


「布をはずせ!!」


「了解、隊長!!」


若い士官が重装備の部下に最新の携帯無線機で命令した。

数分後、床に座った男女の布外しが完了した。


若い士官は床に座らされていた男女が格納庫内の光になれるまで待った。

連中の目が慣れるにつれ、教壇に立っていた士官のことに注目した。


「てめえ・・・自由にしろや!!」


「死ね!!」


「出せや!!」


ありとあらゆる罵詈雑言が聞こえ、うんざりした顔で士官が連中を睨んだ。


「黙れッ」


最新の技術で作られた教壇のマイクの影響で、士官の言葉が連中の頭に大きく響いた。

驚きと恐怖で全員は静かになった。


「諸君、静かになってくれて、感謝する・・・先ずは私の自己紹介をしょう、私は特別対策隊の隊長、小島純一2等陸尉である」


全員の頭に声が響くため、恐怖の目で若い士官を見つめていた。


「驚いていると思うが、幸運にも、諸君は選ばれたので、これから我が国のために、命を捨てることになる」


連中は若い士官を驚きと恐怖の目で見つめた。


「諸君は知らないと思うので、説明する・・・約3年ほど前、こちらの東富士演習場に突如、異世界に繋がる【時空の裂け目】が出現し、その異世界からファンタジーや神話の怪物が我が国になだれ込んできた」


「嘘だッ!!」


「あり得ないだろう!!ッ」


何人か騒ぎを始めた。


「説明の途中、黙らせろッ」


若い士官は部下に命令した。

重装備の隊員たちは喚いている数人の顔を武器の床尾板で思い切り殴って、黙らせた。


「では続きます・・・異世界の怪物どもは人を食らい、対応した自衛隊に多数の死傷者が出たのです」


小島2等陸尉は残っていた右目で連中を見て、ため息をした。


「怪物どもの襲撃に備え、常に自衛隊の精鋭部隊がここで留まり、対策マニュアルが作成され、通常の武器で撃退ができるようになってから、今度自分たちが異世界へと赴き、怪物たちの討伐へと向かった」


全員は小島2等陸尉の説明を聞いていた。


「ですが・・・時空の裂け目は自衛隊隊員たちを受け入れなかったのです・・・無人機など簡単に通せるのに、生身の人間が通れなかったのです」


全員、固唾を飲んで、士官を見つめた。


「そんな時、光る未確認生命体が現れ、はっきりとした日本語で【捨てられるべしもの以外、入るべからず】という警告をしたのです・・・聞いていますか?」


何人は頷き、士官に注意を向けた。


「日本政府は大いに悩んだ・・・自衛隊の隊員が入れない、無人機など通れる・・・様々な議論を交わされ、試しに表向きに刑執行した死刑囚2人を送り込んだ・・・そして彼らは裂け目を通ったのです」


小島が両手を教壇に置いた。


「通った2人はすぐに怪物どもの餌食になったのは言うまでもない・・・それから死刑囚を使った特攻隊が編成され、討伐へと向かわせたのだが・・・人為的資源が限られているので、彼らを補充するため、捨てられるべしものとなれる存在を探したのです・・・それが引きこもりニートたちの諸君だ!ッ」


ニートたちが騒ぎ始めた。


「そんなの認めないぞ!!俺の親父は議員だぞ!!」


「あたしのパパは有力者よ・・・こんなことは絶対に認めないわ!!」


無精ひげでだらしない体をした40代の男と100キロを超える30代の女が他のニートたちより大きく騒ぎ出した。


「見せしめのため、大きく騒ぐあの2人を始末しろ!ッ」


小島は無慈悲に隊員たちに命令した。


「やめろ!!コラッ!!」


「触らないで、ヘンタイ!!ッ」


対怪物用携帯型レールガンを持った隊員たちは大きく騒いでた2人を無理やり立たせ、前に出して撃った。男は首から上が消えた、女の胸に大きな穴が開き、2人の死体が床に崩れ落ちた。


他のニート連中は悲鳴を上げた。


「黙って聞け、命令だ!!ッ」


小島が怒鳴った。

ニートたちはとてつもない恐怖の目で教壇に立っている小島を見た。


「これから1か月の特訓が始まるのです・・・その間に諸君の中の何人か脱落すると思う・・・はっきり言いますと、脱落は死を意味する。諸君は秘密裏に作られた強制徴兵制度【赤紙】の手によって、選ばれたのです・・・というか・・・家族に捨てられたのです」


何人のニートたちが悲鳴を上げた。


「喜べ、諸君・・・意味もなく、何の生産性もなく、家族に迷惑をかけまくり、価値のない存在だったのに・・・今度はこの国を含む世界を守るため、死んでいくのです・・・良かったですね・・・死地へ赴くことで存在意義ができて!!」


「ふざけんな!ッ」


「あり得ねえ!!!ッ」


また何人が騒ぎ出したが、レールガンの銃口が向けられ、黙り込んだ。


「それと言いそびれましたが、私は【赤紙】の第一陣の生き残りであり、現在は第二特攻隊【紅蓮(レッド )】の隊長、諸君と同じ・・・元ニートである!!ッ」


小島は残忍そうな笑顔で言い放った。


それから恐怖で怯えるニートたち、全員は格納庫から基地内の訓練場へと移動された。





次回へ続く・・・





















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