妹「こんな社会いりません。私の戦争で焼き払って灰を肥やしにします」(※改題中)
トルルルルルル トルルルルルル ガチャ
「こちら、自殺防止ホットラインです。話してくれて、ありがとう」
子供達が夏休みのこの季節。バイトの休日を使ってボランティアで自殺防止ホットラインの相談員をする俺は、30代のフリーター。
いじめを受けて引きこもりからニートになり、そこからなんとか社会復帰した経験を活かして、微力ながらも子供達を救う手伝いをさせてもらっている。
今日3件目のダイヤルを取った。
電話で相談を受けて、必要に応じていろんな支援につなげるところだけど、名前を聞くよりも先に真摯に話を聞くことがスタートラインだ。
『すみません。私、グレタ=ナイラと申します』
最初に名前教えてくれるんだ。
声は女の子だけど偽名かな。
あるいは在日外国人の子かな。
「名前を教えてくれてありがとう。ナイラちゃんでいい? 日本在住かな?」
普段なら序盤は居場所とか聞かないけど、空気を軽くするか。
『日本在住の日本人で15歳です。ちなみに本名です』
「えっ。本名なの?」
『苗字は日暮れの暮れに田んぼの田で、暮田。名前は平仮名3文字でないらです』
「えーと、【暮田ないら】ちゃん? 変わった名前だね」
『この読みで漢字を当てるぐらいなら、平仮名3文字のほうがマシだなと納得して生きてきました』
えらく淡々としゃべる子だな。
とりあえず、雑談で話をつなげよう。
「そうなんだ。ちなみに、姉妹とか居るのかな」
『8歳上の姉が居ます。姫子というんですが、両親は私が姉に似ないように育ってほしかったそうなので、名前も工夫したと聞いています』
ひどい親だな。
『両親も姉も血液型A型なのに私だけB型だから、父親似の姉に似ない子が欲しかったのは本気みたいです』
とんでもない親だな。
「えーと、それはつらかったね……」
『まぁ、そこは別につらくないんです』
つらくないのかよ!
『姉に似なかったおかげで容姿は褒められます』
この妹も大概ひどい!
『でも、この前モデルにスカウトされた時にひどい目に遭いまして』
深刻そうな話キター。
未成年をスカウトするフリしてひどい事する連中も居るからな。
『バンに連れ込まれて無理矢理脱がされそうになりました』
その時点でスカウトじゃねぇ!
そういう事案なら女性相談員に交代の準備が必要だな。
もう少し話を聞こう。
『仕方ないから、3人共殴り倒して警察に突き出したんです。でも、外国人だったからなのか、証拠不十分で不起訴になりまして。ひどいと思いませんか?』
「えーっと……。無事で何より……。それは、ひどいね……」
『次同じ目に遭ったら【証拠】を噛みちぎって【確保】しようと思って、豚骨を噛み砕く練習しています』
「……骨を噛み砕く必要はないと思うよ。ソコに骨は無いからね……」
何を言ってるんだ俺は。
ヤバイ。気が遠くなってきた……。
『そうなんですね。じゃぁビーフジャーキーで練習します。前歯だけで根元から一撃で【確保】できるように』
逃げて! 犯人さん逃げて―!
「そうじゃなくて! そんなことしたら過剰防衛で捕まるよ!」
『それで私に有罪判決出たなら、判決に関与した裁判官や検事や裁判員の妻や娘を同じ目に遭わせて、判決の意味を教えてあげます』
ぎゃぁぁぁぁぁ!
「落ち着いて! つらいのは分かるけど。そういう犯罪に対する刑罰や抑止力に問題点は多いけど。ないらちゃんが1人でそこまで頑張る必要は無いんだよ」
『でもまぁ、それも別につらくはないんですよ。むしろ噛みちぎる日が楽しみで』
つらくないのかよ! 楽しみなのかよ!
なんかもう本気で犯人の無事を祈るよ。
「えーっと、なんかこう、ないらちゃんには、つらいこととかあるのかな」
既に最強ダークヒロインのイメージが固まってきたけど。
ここにダイヤルしたってことは何かはあるはずだ。
『学校のクラスに馴染めなくて……』
まさかいじめか。
加害者側に悪気が無くても、やられる側はつらいんだよなー。
だけど、この子をいじめるとかどんな命知らずだよ。
『身長が172cmあるので、浮いてしまうんです』
日本人の成人男性の平均身長だよ。
女子中学生の中に混ざったら頭一つ分は浮くな。物理的に。
『両親も母が女優で父が外務省の官僚なので、目立ってしまうんです』
両親の属性も確かに目立つな。
それでいて、モデルにスカウトされるぐらいの容姿端麗。
普通の学校で馴染みにくい要因はあるな。
でも、どちらかというと普段の言動に問題が無かったかどうかが心配だ。
「仲のいい子とか居ないのかな。共学ならモテそうだけど」
『ふっざけんな! 学校の話をしたらどいつもこいつもコイバナ振りやがって! 女子の悩みはソレしかないとでも思ってんのか色ボケが! 男子が見上げる女がモテると思うか! 怖がられるんだよ! 女の長身はモテないんだよ! そのくせ外出ると変な男ばっかり寄って来るんだよ!』
わぁぁぁぁぁぁ! 地雷踏んだか!
電話口でも怒りテンションの迫力がめっちゃ恐い!
「ごめんなさい! 失言でした!」
『クラス内で距離を取られてはいますが、いじめられてるわけではないんですよ』
なんか淡々とした喋り方に戻った。
テンションの落差が激しいな。
そういえばさっきの声、何処かで聞き覚えがあるような。
もしかして。
「母が女優さんって言ってたけど、もしかしてさっきのは」
『あ、気付きました? ちょっとした芸です』
逆上したわけじゃなかったのか。
「レベル高いよ。正直びっくりした。専門の訓練とか受けてるの?」
『見よう見まねで覚えた芸なんですが、欠員補充でモブ役やら声優やらで何度か出演したことありまして。わりと好評でした』
聞き覚えがあったのはそれか。
ドラマでやたらレベル高い子がモブで長台詞演じてたのを見たことがある。
じゃぁ、あの子がないらちゃんってことか。
中学生には見えなかったけど。
「すごいね。もう芸能人の道を志したらいいんじゃないかな」
『血液型がバレると母の特大のスキャンダルになるので避けてます』
確かに。いざという時に命が危ないから嘘を言うわけにもいかないし。
こういうのって叩く人はすごい叩くから難しいな。
「そうか……。それは、つらい……のかな?」
『そこもつらくないんですよ。あの業界に魅力は感じませんし』
必死で芸能界を目指してる人もいるんだから、いろんな人に怒られそうだよ。
でもまぁ、闇が深い世界とも聞くから、本人がいいならそれでいいのかな。
「芸を通じて仲間を作ったりとかできるんじゃないかな」
『学校で一度演劇部に入ったんですが、顧問の先生にすらドン引きされてしまって辞めました』
「そうか……。レベルが違いすぎると……」
顧問がドン引きって、どんだけだよ。
でもさっきの逆上テンションはガチで恐かったからな。
『だから何かできる事を探すために、小説を書いて投稿サイトのネ●コンというコンテストに応募したのですが、一次審査も通らなくて』
そこでなんで【クラスの駆けっこに勝てないからオリンピック選手目指します】みたいなちぐはぐなことするんだよ。作家志望者の競争率を知らんのか。
いや、見よう見まねで女優への道を開いちゃう子だからできると思っちゃうのか?
『がんばって四か国語に翻訳して同時に投稿したのにPVも伸びなくて』
「えーっと、ないらちゃん、外国語得意なの?」
『まぁ、父の見よう見まねで覚えまして、英語、ロシア語、中国語は同時でいけます。姉は通訳の仕事をしています』
そのスキルあったら普通に稼げるよ。
すでに人生勝ち組じゃん。
『小説書いてみて、創作が楽しいってことが分かったのに。誰も読んでくれないのがつらくて……』
つらいの基準がデタラメだ。
でも、ないらちゃんが創作するなら……
「自伝書いたほうがウケそうじゃね」
『声に出てますよ』
しまった!
『まさか、私が男3人を腕力で殴り倒すバケモノだと思っていますか?』
「えっ? じゃぁさっきのは創作ネタ?」
そうであって欲しいと思ってたけど。
『米国人のフリして英語の芸とハッタリと拳を組み合わせてギリギリで押し勝ったんです。まぁ、相手側も米国籍に狼藉したらヤバイと考えて引いてくれたんですね』
本当にひどい目に遭ってたんだ。
『殴打の反動で腕とか拳とか痛めたけど、実は弱いとバレたら次があると思ってそこは被害届出さなかったんですけどね。優秀な行政のお役人さんは、守っても助けてもくれないくせに私の国籍バラしたうえに3人とも不起訴処分にしてくれて。次襲われたら捨て身で噛みちぎるしかないんですよ。本当に』
思ってた以上にひどい状態になってたんだ。
『これを自伝に書いたら売れますか? 読みたいですか?』
「ごめんなさい。失言でした」
淡々とした口調と語る内容がホラー以上の恐怖だ。
実は売れそうと思ったとか、とても言えない。
どうしたものか。
話をそらすか。
俺自身、小説書いていた時期がある。
PV伸びなかったしコンテストの一次に通ったことも無いけど、人生の重要な学びにはなった。創作についてなら多少は語れる。
「えーっと、読者を増やして作家になって書籍を出版することだけが創作じゃないんだ。創作っていう活動にはもっと大きな可能性があるんだよ」
『露骨に話をそらそうとしていますが、私もその方がいいので乗ります』
ありがとう。ないらちゃん。
「何かを創造する力っていうのは、人間が文明を創り出す原動力になった力だ。人類が成し遂げた偉業、積み上げた歴史の根底にあると言っていい」
『それで、具体的に何を創り出したんですか?』
そうやって聞かれると答えるの難しいな。
何があったかなぁ。
「えーと、創造力は夢を創り出す力だからね。たくさん食べたいと夢見て農業を作ったし、遠くに行きたいと夢見て車や飛行機を作ったし、楽に生活したいと夢見て家電を作ったし、まぁ、他者から富を奪い取りたいと夢見て兵器や戦争なんてものも作ったりとね」
『戦争も創造力が創り出したんですか?』
おっ。興味持ってくれたか。
「そうだね。歴史的に見ても戦争の裏には、開戦に至るシナリオを創作して扇動した誰かが居たりするんだ。だから戦争もある種の創作と言えるね」
『多くの人の命がかかっているのに創作で扇動されて戦争とかオカシイと思いますが。でも確かに太平洋戦争では戦略も勝算も無しに対米開戦してましたね』
「そうなんだよ。指導者が創作した幻想に熱狂して暴走しだすと、勝算とか採算とか現実とか見えなくなるほど大衆は理性を見失うんだ」
俺は物騒系ファンタジーが大好きだから、こういうのつい熱く語ってしまう。
『恐怖や憎悪の感情が理性で止められないのは……よくわかります』
理解が速いな。
やっぱりないらちゃんは賢いんだ。
「そうそう。感情を込めた扇動で煽られて怒りや憎悪で集団的に熱くなるとね。あり得ないようなデタラメすら信じちゃって、手が付けられないぐらいトチ狂うんだよ。まぁ、そうでもならないと戦争なんてしないよね。自分が死ぬかもしれないんだから」
『ありがとうございます。なんか希望が見えた気がします』
えっ? これでどんな希望を見たの?
『私、戦争を創作します。多言語の芸を駆使して世界中で扇動します。私の幻想に大衆が国を挙げて命を捧げてくれるなんて。ステキです』
うわぁぁぁぁ! そこに行くのかぁぁぁ!
「親の顔が見たいぐらいにとんでもない!」
『また声に出てますよ』
しまったぁぁぁぁぁ! 本日二度目の失態!
『まぁ、私が覚えている母の最初の言葉が【保育園落ちた日本死ね】ですからね。どんな親かお察しください』
ぎゃぁぁぁぁぁぁ!
昔の流行語だけど、子供が聞いていてたらどうなるかって視点は無かった!
『私の世話をしてくれた優しい姉は、厄介払いみたいにダメ男に嫁がされました』
容姿で軽くディスってたけど、姉の事は好きなのか。
ダメ男って断言してるけど、そこは男女関係って難しいからな。
「お姉さんから見ればいい旦那さんかもしれないよ」
『姉の収入で女遊びする男がいい旦那さんと思える理論を創作してください』
「ごめんなさい。どのジャンルに出してもダメ男です」
女優と官僚って勝ち組パワーカップルに見えるけど、ご家庭の闇が深すぎだろ。
『襲われても助けてくれない。戦っても守ってくれない。それでいて結婚したら命賭けて苦痛に耐えて子供産めというくせに、共働きと生活費折半が常識と養ってすらくれない。こんな社会いりません。私の戦争で焼き払って灰を肥やしにします』
デンジャラス超理論だけど、ぐうの音も出ない。
『これで悪夢も終わります。きっと姉も幸せになれます』
女性目線だと今の社会そんなに悪夢なのか。
こうなったらもう。
また話をそらすしか!
「えーっと、ちなみにないらちゃんはどんな小説を書いたのかな」
『恥ずかしながら大長編を書いてしまいまして』
やった。乗ってくれた。
『人類の始祖となる女達が妊娠出産時の弱さを補うために数千年かけて男を夫に品種改良して文明社会を作り上げていく話です。ジャンルは何になるんでしょうね』
「うーん。それならSFじゃないかな」
天才気質のないらちゃんの作品だから名作かもしれない。
「ラストどうなるの?」
『泡沫の発展に傲り自らの存在意義を忘れて女を粗末に扱った失敗作共が、裁きの業火に焼かれて灰を肥やしにされます』
うわぁ……。すごいルサンチマン入ってそう。
「なんか、読んでみたいな。まだ投稿サイトにあるのかな。あと、SF作品はネ●コンじゃなくて【公募】のほうが向いてるよ。おすすめの投稿先を教えようか」
『作品は消しました。もう作家に興味はないのでいいです。最終章を【実演】するので楽しみにしてください。今日は話を聞いてくれてありがとうございました』
「えっ? ちょっと待っ」 ピッ
通話が切れた。
ツー ツー ツー
まぁ、最後に物騒な事を言ってたけど、大丈夫かな。
言動はちょっとアレだけど。勝ち組人生歩めるスペック持ってるし。
とりあえず、新しい目標見つけたみたいだから自殺はしないだろう。
ツー ツー ツー ツー
外人男3人にバンに連れ込まれた時。助けて欲しかったのかな。
もし俺がそこに居たら助けたかな? いや、連れが居ても無理かな。
そういう状況に出くわしたとしても、今は助けようとする人は居ないよな。
ツー ツー ツー ツー ツー
でも、彼女は怖かっただろうな。外観大人の天才娘でも、中学生だし。
日本国内なのに国籍を偽らないと助からないなんて、悲しかっただろう。
それでも必死で戦って救いを求めたのに、守られないなんて絶望しただろう。
ツー ツー ツー ツー ツー ツー
それでいいのか? 群れのメスを守るなんて犬や猿でもできる事だぞ。
犬や猿にできる事が、俺達は皆なぜできない? 男女平等と学んだから?
男が女を守るものなんて教わってないから? 違う。そんなのは言い訳だ。
ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー
女にしか子供は産めない。そんなの教わらなくても皆知ってる。
産まれ育った子供が受け継がなければ、社会も経済もいずれ全部ゴミだ。
それを考えれば分かった事だ。俺達が最優先で守るべきは物は何だったか。
ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー
妊娠出産は死のリスクと逃げられない肉体的苦痛を伴う危険な博打だ。
俺なら絶対やりたくない。そんな重責を抱えて生きる女性に俺達は何をした。
産休育休制度を整備して妊娠出産と仕事の両立が常識? そんなわけあるか!
ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー
そうだ。おかしいのは彼女じゃない。俺達だ。
経済成長で社会が便利に豊かになったのに、ここ数十年で少子化が加速。
これは、泡沫の発展に傲り存在意義を忘れた男達への【最後通告】だったんだ。
ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー ツー
男が女を守れない日本は犬や猿の群れ未満だ。もはや国ですらない。
まさに、焼き払って灰を肥やしにするべき残骸。品種改良の失敗作だ。
ならば、最期は潔く焼かれて灰として肥やしになろう。その先の未来を信じて。
【実演】を見届ける覚悟を決めて、俺は相談記録と録音データを抹消した。
………………
…………
……
その後、動画投稿サイトに謎の女が出没するようになる。
不良外国人による性犯罪被害を涙ながらに訴えつつ、政治系配信者や政治団体とネットワークを広げ、日本国内各地で同時多発的にヘイト運動を扇動。
増税や物価高に悩む庶民の支持で勢力を急拡大していた新興政党を内部から乗っとり、極右政党化。
貧困や世代間格差の問題を捏造し、政権与党を感情論で痛烈に批判。
女の涙に扇動され暴走するポピュリズムで冷静な意見を封殺。
外国人排斥と国粋主義を日本全国に波及させて、最終的に政権を奪取。
同時に、アメリカ、中国、ロシアにもそれぞれ謎の女性配信者が出没。
アメリカでは、
戦後日本の輸出産業が経済に与えた悪影響を語り、日本に対する憎悪を扇動。
経済人に好都合な理論を振り回し、利害の一致を武器に戦争利権と結託。
巧みな情報操作で世論を対日開戦容認へと導いた。
中国では、
不況に苦しむ人民に、日本の金融資産が潤沢であるという情報を広く拡散。
そして、中国のバブル経済を日本の金融資産で補填する政策の可能性を教唆。
日本侵攻による経済不安の打破という幻想を全人民に植え付けた。
ロシアでは、
アメリカと中国が金融資産を目的に対日開戦を企てているとデマを流布。
ロシアには元より日本本土がアメリカ領となるのは避けたい事情がある。
国民感情的には親日ではあったが、有事には参戦やむなしという決断に至った。
こうして極限まで高まったアジア太平洋地域の軍事的緊張は、日本の政権交代と新政権の外交政策の副作用より発生した世界恐慌をトリガに爆発。
米中露連合軍による日本本土侵攻という最悪の結末をもたらした。
四か国語を使い分け、顔を変え、声を変え、世界を混乱に陥れた謎の女。
隙あらば物陰でビーフジャーキーを齧っていたその姿より、実は全員同一人物ではないかと言う説も囁かれたが、その真相は混乱の中に消えた。
●オマケ解説●
☆物騒娘・ないらちゃん。
女の涙で国を動かし、世界を焼き払う。
そんなのはフィクション?
いいえ、現実にもいたんです。
湾岸戦争の火種を撒いた「ナイラ証言」。
ご存じない方は、ぜひ検索を。
史実でも戦争は創作で作れる──
作中のないらちゃんは、その現代版アップデートみたいなものです。
フ●インさんも、きっとデスクをひっくり返してお怒りでしょう。
☆男は女を守る。
それは文化や道徳の問題ではありません。
ヒトという種の生存戦略です。
獣と違って子供が未熟な形で産まれる人間は、
産み育てる女を男の力で守るという形でしか、世代交代ができなかったのです。
この「生命の縛り」を無視して、
男女平等を過信した国々は、例外なく少子化で滅びへの片道を進んでいます。
滅びたいならどうぞご自由に。
残したゴミは風化が片づけてくれますよ。
☆米・中・露を煽り、
世界を大戦の瀬戸際へと追い込む──
戦争は経済活動。
国ごとの懐事情に合わせた扇動は、火に油を注ぐように効きます。
軍事力こそ国際政治の通貨。
力があれば奪える、なければ奪われる。
そんな世界で、軍事的弱者・日本が80年も平和を保ったのは、
奇跡に近いバランスの産物でした。
ないらちゃんが壊したのは、その危うい天秤だったのです。
☆産休・育休・共働き、そして「保育園落ちた日本死ね」。
これを耳にした子どもが、
半世紀後に「養護施設落ちた日本死ね」と返す未来を想像してください。
常識の狂ったこの時代。
身を削って子供を育てた母親は、
たいして高くもない給料と引き換えに一体何を失うのか。
☆社会も経済も、いずれ全部ゴミ。
過疎の村が空き家と廃墟で埋まるのは誰でも想像できます。
でも──【日本円】まで紙くずになる未来を思い浮かべたことはありますか?
【日本銀行券】は【これを渡せば日本人が働いてくれる券】にすぎません。
その日本人がいなくなったら、ただの紙切れです。
結婚して子供を育てるより、貯金して老後に備える?
いいんじゃないでしょうか。大好きな紙くずを抱いて1人で逝けば。
貯蓄の価値は子供達からの借りものですよ。
通貨も社会も、次世代に受け継がないと灰になるんです。
ひどい。ひどい。ひどい。
でも、だからこそ書きたかった。
ひどさで埋め尽くされたこの物語を、
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
------
↓姉の姫子が出てくる続編もこっそりとあります。
https://ncode.syosetu.com/n2222kt/
こちらもひどいです。