06 猫のくるぶし
今日は【猫屋敷】こと父の実家に親戚一同が集まっている。
我が家の猫の額程の庭とは違い、田舎らしい広い庭でのバーベキューだ。
父方の従兄弟は少し歳が離れてて、ちょっと居心地が悪く小さくなってると、借りてきた猫みたいだと言われる。
猫被ってないでこっち来いと酔っ払い達に呼ばれても、猫に紙袋のごとく後ずさってしまう。
その後改めて、猫なで声で誘われるが、まさに猫に念仏、子供達は、また言ってると聞き流すだけだ。
そして、片付けの時には猫の手も借りたいと手伝わせ、手伝ったら手伝ったで、子供も猫よりましなどと失礼な事を言う。
酒さえ呑んでなければ、優しく楽しい伯父さん達なんだが、呑むと質が悪い。誰が猫の首に鈴を付けに行くかと子供達で話したが、猫に魚の番の如き難易度に、猫を追うより皿を引けと、酒とつまみを居間へと運んだ。
しかし、大人ってのは、どうして猫も杓子もお酒を呑むと面倒臭くなるのだろう。まぁ距離を置いて見れば、時に猫の目のようにコロコロとキャラが変わる面白さも見られるが。
あまりに絡み酒ばかりだと、そのうち周りに猫の子一匹いなくなるぞと諭しても、猫に小判、猫は禿げても猫、そうそう変わりはしないだろう。
子供達の失笑を買うぐらいなら良いが、子供達の、猫のくるぶしに触れないように、気を付けて欲しいものだ。
ちなみに、猫のくるぶしとは、龍の逆鱗程ではないが触れると軽い怒りを買うことを差す。
…さっき子供達で、猫のくるぶしはどこか?と盛り上がり、皆で猫達の後ろ足を触りまくった際、一様に嫌がられたことから思い付いただけの言葉だ。