10 三つの願い(542文字)
本日発表のあった
「5分後に意外な結末」大賞
の5秒後部門に応募してたけど、何かの手違いで選外となった作品です(笑)
なので、書いたのは6月です。
「これで……これで解放される……」
男はベッドに横たわる父親を見下ろしながら呟いた。
長年の仕打ちに耐えかね、酔っ払って寝ている父親の首を絞めたのだ。
幼い頃は、絵に描いたような幸せな家庭だった。
だが、勤めていた会社の倒産を機に、自暴自棄になり酒に溺れ、家族に暴力を振るい、やがて母親の精神も壊れていった。
少し冷静になり、無計画な自分の行動に後悔し始め、部屋の中をうろうろしていると、後ろから声が聞こえた。
「困っているようだな。俺ならお前の願いを叶えてやることも出来るぞ」
驚いて振り返ると、そこには禍々しい黒い影。
男は一目で理解した。
悪魔だ。
◆◆◆
「知ってるぞ、三つの願いが叶うと魂を抜かれるんだろ?」
「ほう、それは話が早い。本来は詳しい説明が必要だが、どうだ? 俺と契約するか?」
男はすぐに悪魔と契約を結んだ。初めに、父親を病死として罪に問われないように願い、続けざまに、一生分の大金を願った。
『これで、この先、母と幸せに暮らしていける。三つ目の願いを使うことなどない』
夜が明けて、父の死に気付いていない母と洗面所で鉢合わせた。
「おはよう母さん。タオルとってくれる?」
タオルを受け取った瞬間、男はパタリと倒れた。
あっけない最後だった。
悪魔の力を使わずに叶った願いも対象となる契約だったのだ。




