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幼なじみとボディガード


「おはよう、香織」

「おはよ。今日もいい朝だね」


2家族でのバーベキューお出かけの翌週の月曜日。

もはやいつもの習慣となっているように、香織と家の前で待ち合わせ、駅へと向かう。


「優斗、私今週1週間は帰り遅くなるから、先帰ってていいからね」

「あれ、なんか学校で用事か?」

「今週末文化の日で祝日でしょ?それに合わせて文化祭があるから、その準備で」


そういえば、俺の通う学校で文化祭があるって話した時に、この時期だって聞いた気がする。


「実は先週からちょっとずつ始まってたみたいなんだけど、部活ある人はそっち優先だったし、優斗の誕生日近かったから、参加してなかったんだ」

「ありがたい限りだよ。それで、直前はみんなで準備ってことか」

「そうなの。リーダー中心に、簡単な謎解き脱出ゲームをやるんだって言ってたから、その準備」

「へぇ、楽しそうだな!」


テレビとかでやる謎解きとか、割と面白いんだよな。ちょっとやってみたい。


「それはそうと、生徒会の時、香織が迎えに来てくれてたし、今度は俺の番だな。帰ってくる時教えてくれ。駅まで迎えに来るから」

「ありがとう。それだけで元気出る」

「俺もだよ。あと、なんか手伝えそうなことあったら教えてくれ。伊達に生徒会で活動してないから、ちょっとは役立つと思うから」


まぁ、裏側とか準備のことばっかりで、クラスの出し物には疎いけど。


「それじゃあ、1つ、お願いしていい?」

「なんでもどうぞ」

「文化祭、一緒に回ってほしいな」


香織がお願いすることなんて、たまにしかない……と思ったけど、付き合い始めてから増えた気がするな。

とはいえ、拍子抜けなお願いである。


「そんなの、お願いされなくても、俺も行きたいって思ってたよ。お邪魔していいか?」

「ありがとう、嬉しい。けど、優斗に嫌な思いさせちゃうかもで」

「なんか前にも聞いたことがあるな。そのセリフ」


すごくデジャブった。気のせいかな。


「あはは、そうだね。先輩のことで相談した時も、同じようなこと言った気がする」


やっぱり気のせいじゃなかった。


「なら、俺の答えも、もう分かるよな?」

「うん。優斗はきっと、そんなの気にしないし、助けてくれる」

「当たり。もう付き合ってるんだし、尚更だ。それで、今度はどうしたんだよ」


何となく、また男関係かな、なんて想像しながら香織に聞く。


「今ね、2つ、困ってる事があって。そのどっちも、文化祭を優斗と一緒に回ったら、解決すると思うの」

「その困ってる事っていうのは?」


香織は「まず1つ目は」と言いながら、指で1を表すジェスチャーをしつつ、話す。


「文化祭を一緒に回って欲しいっていう、相談、というか、お願い?がすごくて。誰が声をかけてきても、同じように『彼氏が出来たので』って断ってるんだけど、無くならないの。何人か食い下がってくるし」

「えぇ……?」


彼氏がいるって女の子に言い寄るなよ。気持ち悪いって思われるの怖くないのかな。


「夏休み前までは、恋愛興味ないって断ってたから、信じられてないのかも」

「それでもどうかと思うけどな……。まぁ、1つ目は男避けってことだな?」

「簡単に言うとそうなるかな」

「わかった。俺が守るよ」


それは俺としても本望というか。香織に言い寄る悪い虫は駆除しときたい。それが彼氏持ちにアタックするような輩なら尚更。

出来れば、もう今後寄ってこなくなるようにしたいよな。いい方法ないかな。


「それで、2つ目ってのは?」

「うん。これも、私の断り方が悪かったかな、とも思うんだけど」

「何があったんだ?」


香織も苦労が耐えないな。少しでも背負ってあげられたら、いいよな。


「彼氏がいるって断ってたから、女子の友達とか、クラスメイトから、どんな人なんだ!会わせて!って言われてて……」

「……はい?」


勝手に、もう1つも男関連だろうと思っていた俺は間の抜けた声が出た。


「友達と話して欲しい、とかじゃなくてね?一緒にいる所をみたい、っていう感じで」

「俺はいいよ、俺はいいんだけど。香織は嫌じゃないのか?」


俺の文化祭に来た時に、俺とのことを誤魔化してたのは記憶にあるし、香織側が大丈夫ではないのでは。

そんな心配をしている俺に、香織はなんて事ないと言うように、話してくれる。


「うん。全然平気だよ。今の優斗は、私の自慢の彼氏だもん。優斗の学校の文化祭の時は、私のせいで一緒に回れなかったし。リベンジだよ」

「そっか。そうだな。一緒に楽しもう」


今聞いた、2つの相談事は、俺と香織が楽しく文化祭を回ればどっちも解決に向かうはずだ。ちょっと工夫や時間はいるだろうけど。


そんな事を話しているうちに、電車の時間がギリギリになってしまった。普段から、余裕もって家を出ていてよかったと思える。


「それじゃ、また帰りに」

「うん。またね!」


前向きな言葉で話を終えられたので、元気そうに香織が電車へ向かっていく姿を見て、安心する。

香織を見送った後に、慌てて俺も電車に乗った。


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