幼なじみとプラネタリウム
美味しいオムライスでお腹も膨らんだところで、今日のメインと言ってもいい場所へと向かうことにする。
「それで、ここまで内緒にされてるけど、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」
駅から電車に乗りこんだところで、香織が話す。
「そうだな。今日はこれから、プラネタリウムを見に行きます」
「プラネタリウム?私初めて行くよ」
「実は俺もだ」
このプランのアイデア自体は青原さんに出してもらった、非日常の案から来てる。プラネタリウムという言葉は知っているけれど、初めて行くので楽しみだ。
「プラネタリウムって、要するに星を見るんだよね?」
「その認識で間違ってないと思うけど、音楽が一緒に流れたりとか、ナレーションがついてたりとかするみたいだ」
「へぇー!面白そうだね」
電車から降り、少し歩いて、プラネタリウムがある施設にやってきた。
受付を済ませ、時間に合わせて入る。
「寝っ転がって見れるんだ」
「そうなんだよ。なんかいいよな、こういうの」
キャンプとかでやるのも、風などの自然を感じて、それはそれでいいものだが、くつろげる環境で星を見るのも、なかなか乙なものだ。
寝転がるところも、そこそこ広いため、2人で並んで寝転んでも、体がぶつかることはないので安心だ。
俺たちはごろんと並んで寝転がる。
「すごい、これから一面に星が出てくるんだもんね?」
「そうなるんだろうな。楽しみだ」
しばらくして、プログラムが始まり、穏やかな音楽と共に、星が一面に映し出される。
「わぁ〜、綺麗……」
「幻想的だな……」
星が輝く夜空は想像していた以上に綺麗で、音楽も相まって、とても神秘的な空間に感じる。
「あれ、なんかの星座かな」
「うわー、どうだろ。有名なのくらい、調べとけば良かったな」
小声で話しているうちに、気付かぬまま、香織との距離が縮まっていて、ドキドキするとともに、安心感に包まれる。
「あの星、すっごく明るいね」
「そう……だな」
「流れ星とかも出てきたりするのかな。楽しみだね」
「どう、だろうな。出てきたら……いいな」
やばい……、昨日あんまり寝れなかったこととか、ここまで気を張ってたことがあって、眠気が……。
いや、ダメだろ。シャキッとしろ俺。星を見て、音楽聴いて、香織と一緒に、楽しまな……きゃ、だろ……。
* * *
「また音楽変わったね。……あれ、優斗?」
なんだか話しかけても反応がないなと思って、隣を見ると、優斗が寝ちゃってた。
「もう、仕方ないなぁ」
気持ちよさそうに眠っていて、起こすのも忍びないので、とりあえず星空を見上げて、楽しむことにする。
それにしても、こんな風に、遊んでる最中に眠っちゃうことなんて、今まで無かったのに。もしかして、昨日あんまり寝れてないのかな。多分、そうだよね。
「優斗、きっと今日のために、いっぱい考えてくれたんだろうな。たくさん緊張もしてただろうし、もしかしたら、お土産と同じで、桃ちゃんにアドバイス貰ってたり?」
今日のお出かけを約束した日を思い出す。
「あの言葉って、優斗も、私の事、好きだって思ってくれてるってことだよね」
私は、もう一度優斗が眠ってしまっていることを確認して、そっと手に触れてみる。
特に優斗に反応はなく、大丈夫そうなので、ちょっと思い切って、今度は手を繋いでみる。
「えへへ、手、繋いじゃった。起きて、ないよね?」
変わりなく、穏やかに眠っている優斗。大丈夫そうなので、しばらく、繋いだままにしとこっと。
「優斗の手、ちゃんと硬いんだなぁ。男の子って感じがする」
優斗も男の子なんだし、そりゃそうか、と自問自答してしまった。
星空を見上げて、プラネタリウムを楽しんだり、時々優斗の方を見て、様子を伺ったりする。
「優斗、今日のいつ、その、告白してくれるんだろ。私はずっとドキドキしてるんだけどっ」
優斗に抗議する意味を込めて、軽く頬をつついて遊んでみる。
「ほっぺは柔らかいんだ。幸せそうに寝ちゃって」
起こさない程度に、つんつんしたり、ちょっと摘んだり、一通り遊んで満足する。
優斗と約束したし、その時が来たら、私もちゃんと伝えなきゃ。そう思う気持ちは変わらないけど、ちょっと思いついていることがあった。
「いっその事、私から告白してみようかな」
この間、きっと優斗は、勇気を振り絞って、私に気持ちを伝えてくれたんだと思う。優斗にばっかり、そんな思いさせるのは嫌だし、私だって、優斗のことが好きだって、同じだよって、伝えたい。
もし、私が想いを伝えたら、優斗はどんな反応するのかな。喜んでくれるかな、それとも、びっくりして反応してくれなかったり、なんで俺より先に!って怒ったりしちゃうかな?
「よし、決めた」
ごろんと横を向いて、優斗の横顔を見ながら、私も決意を固める。
「プラネタリウムが終わって、ここを出たら、私から、伝えよう」
今度は、私の番だ。
いつもお読み頂き、ありがとうこざいます!
今年の11月頃から、投稿を始めて、想像よりもたくさんの人に読んでいただけて、嬉しく思っています。
来年も、もう少し優斗と香織の物語は続いていきますので、よろしければお付き合いください!
それでは皆様、良いお年をお迎えください!
PS. 三が日は毎日更新できるか怪しいです。申し訳ありません。投稿されたらいいな〜くらいに思っていていただけると幸いです。




