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幼なじみと電話

あの日から3日間、放課後に、毎日香織と一緒勉強をした。初日は数学だったが、その後は英語や歴史など、テスト範囲を一通り勉強したことになる。


今日は土曜日だ。休みなので、香織と一緒に勉強する約束はしていない。


香織に教わっている以上、少しでもいい点を取りたいため、今日も勉強をしている。

学生の本分は勉学だとは言うものの、これまで勉強してこなかった俺からすると、大きな進歩である。


「おにーちゃーん?あれ?勉強してるの?」


美咲がノックもなく部屋に入ってきた。

本棚を物色する美咲に声をかける。


「美咲、ノックもせずに入ってくるなよ。」

「えー、別にいいじゃん。それより、勉強なんてどしたの?熱ある?」

「失礼だな!たまには勉強する時もあるんだよ。」

「ふーん?」


くそう、今までまともに勉強してなかったから何も言い返せねぇ……


「まぁ頑張りなね〜」


俺の方が年上のはずなのに、なんなんだこの敗北感は……



* * *



ほどほどに勉強を続けながら、土曜日が過ぎ、日曜日の夕方になった。

早めにお風呂に入り、部屋に戻ると、香織からLINEが来ていた。


かおり『ちゃんと勉強してる?』


わざわざ心配してくれたらしい。香織の気遣いを嬉しく思いながら、返信する。


優斗 『おう、やってるぞ。今までにないくらい』

かおり『それ、今までやってなかったからじゃないの?』


うぐ、鋭い。けれど、休みの日に5時間くらい机に向かってたんだから、そこそこ頑張ってるほうのはずだ。多分。


優斗 『そんなことないって!』

かおり『心配だなぁ、そうだ。今夜時間ある?』

優斗 『あるけど、なんでだ?』

かおり『電話しながら勉強しようよ。私が見張っててあげる』


香織と電話しながら勉強か。確かに1人で勉強するより捗りそうな気はする。けれど、香織にとっては迷惑なだけじゃないだろうか。


優斗 『ありがたいけど、迷惑じゃないか?』

かおり『そう思ってたら提案しないよ。たまに友達と やるんだ』

優斗 『それならお願いしようかな』

かおり『わかった。準備できたらまた連絡するね』


こうして、香織と夜に電話することになった。

うーん、改めて冷静に考えると、なんか緊張してきたぞ?なんせ女子と電話なんか初めてだ。


多少ドキドキしながら準備を済ませ、机に向かっていると、香織から連絡があった。


かおり『準備できたよー』


俺は慌てて返信する。


優斗 『こっちも大丈夫だ』

かおり『わかった、かけるね』


それから数秒開けて、LINE独特の着信音が鳴った。しまった、音のこと何も考えてなかった。

慌ててワイヤレスイヤホンを繋げ、電話に出る。


「もしもし、優斗?聞こえる?」

「あ、あぁ、聞こえる。」


電話越しに聞こえてくる香織の声の僅かな違和感と緊張で高鳴る心臓の音を感じながら答える。


「それじゃあ、勉強始めよっか。優斗はまずどの教科からやるつもり?」

「えーっと、昼に国語系をやったから、英語をやろうかな。」

「そっか、それじゃ私も英語にしよっと。」



それから2時間ほど、時々香織と話したり、教えてもらったりしながら、勉強を進めていった。


「う〜ん、11時になるし、そろそろ終わろうか。」


伸びでもしたのだろうか、僅かに違う声色で香織は言う。


「そうだな。色々、ありがとな。」

「ううん、全然いいよ。そうだ、優斗のテストはいつからだったっけ?」

「えっと、水曜から3日間だな。」

「日程も私と同じだね。どうする?来週も一緒に勉強する?」


香織は教えるのがとても上手いので、一緒に勉強したい気持ちはあるが、テスト直前まで付き合わせるのはさすがに悪いだろう。


「い、いや、俺が言えたことじゃないけど、さすがにテスト直前だし、自分の勉強に時間を使ってくれ。十分たくさん教えてもらったしな。」


「わかった。それじゃあお互いテスト頑張ろうね!」

「おう。ほんとありがとな、おやすみ。」

「うん。おやすみ。」


俺は、香織がそういうのを聞いて、電話を切る。よし、もう少しだけ勉強してから寝よう。


俺は、少しでもいい点を取るべく、香織に教わったことを思い出しながら、机に向かうのだった。


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