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ついにやってきた修学旅行

時は9月下旬、いよいよ修学旅行の始まりの日となった。


「それじゃ、行ってきます」

「気をつけてね。楽しんでね」

「お土産よろしく!」


ガラガラとキャリーバッグを引きながら家を出る。

いつものように、香織と待ち合わせて駅へ向かう。


「今日から修学旅行か〜。優斗はどこに行くのを楽しみにしてる?」

「そうだなぁ、色々あるけど、なんだかんだ夢の国が楽しみだな。小学校以来だし」


最後に行ったのは小学校のころ、家族とだったので、久しぶりだし、友達と行くということで楽しみだ。


「香織は?どこ行くのが楽しみなんだ?」

「私はね、東京の街に出るのが楽しみだな」

「そっか、自由行動多めなんだっけ」

「そうなの。学校に着いたら、友達とどこを巡るのか最後の確認するつもり」


香織の通う学校は、自由行動多めらしい。俺の通う学校よりもレベルが高くて、生徒の質も高いからかな。

ガラガラとキャリーバッグを引きながら、そう話していると、直ぐに駅に着いた。


「それじゃ、お互い楽しもうぜ」

「うん、またね」


俺と香織はそれぞれ電車に乗り込み、学校へと向かって行った。




学校に着き、谷本と話をしているうちに、ホームルームの時間になり、点呼をした後、学校を出発する。

最初はバスで、新幹線に乗る駅へと向かう。

基本的に移動の乗り物の席は活動グループでまとまって座るので、俺、谷本、佐々木、青原さん、和田さんで近くに座る。


「いやぁ始まったなぁ」

「まだ県を出てすらないけど」

「学校は出ただろ〜?」


俺はあまり乗り物酔いをしないが、今日は普段乗らない乗り物に乗るし、酔うと酷い目にあうので、一応酔い止めを飲む。


谷本と佐々木と話をしていると、焦る様子の青原さんと、曇り顔の和田さんが目に入った。


「谷本、あの2人、何かあったのかな」

「ん?あ、ほんとだな。お二人さん、橋崎が心配してるぞ〜」

「いらん事いうな」


俺たちの声を聞いて、青原さんたちがこちらに気づき、話してくれる。


「えっとね、楓がね、乗り物酔いするんだけど、薬忘れてたみたいで……」

「俺多めに持ってきてるから、良かったら使うか?市販のやつなんだけど」


手持ちのバッグから薬類が入った小袋を出す。


「それ、何が入ってんだ?」

「え?酔い止めと頭痛とかに効く薬だけど」

「用意周到だなお前」

「備えあれば憂いなしなのだよ。谷本くん。はい、和田さん」


人によって効く効かないものや、体質的に合わないものもあるので、パッケージごと渡す。


「あっ、飲んだことあるやつだ。効くと思う。ありがとう、橋崎くん」

「どういたしまして。みんなもなんかあったら言ってくれ。もしかしたら役立つかもしれないから」

「……参考までに、そのバッグの中、何入ってるのか教えて貰ってもいーい?」


青原さんがそう聞いてくるので、みんな持っているであろう、準備物のプリントに載ってないものをチョイスして答える。


「えっと、さっきの薬類だろ?あとは、絆創膏にハンカチ、除菌シート、まだ暑いから汗ふきシートに扇子、移動中の暇つぶしにトランプだな」

「私より女子力高いのやめてもらえる!?」

「理不尽に怒られた!」


和田さんに変に意識させて気分が悪くなってもいけないから、気持ち悪くなった時用の袋があるのは言わないでおいた。


「ていうか、トランプ良かったんだっけ?」

「邪魔にならない程度なら可って書いてあったぞ」

「ダメなのはスマホだな」


そう話には聞いていたが、周りを見ると、コソコソとスマホを使っている人達がちらほら見える。


「なんでスマホだめなのかね」

「時代にあってなくない?」

「一応、学校の行事だからな。学校内って判定なんだろ。緊急時は使っていいって話だったし。出したらダメってのはいつもと同じだろ?」

「まぁ言われてみれば確かに」

「さすが生徒会執行部在籍」


久しぶりに聞いたな生徒会のフルネーム。

ふと気になったので、小声で聞いてみる。


「っていうか、スマホ出すつもりの人はいないな?」

「な、なんの事やらさっぱり」

「私はもうキャリーの中」

「それ緊急時も使えなくない?僕はバッグの底に封印してるかな」

「わ、私も」


若干1名怪しいヤツがいたな。


「谷本?やめろよ?同じグループからからペナルティ出るの嫌だぞ」


そういうと、谷本は少しためを作ってから答える。


「橋崎、バレなきゃ犯罪じゃないんですよ」

「バレるフラグだろ、それ」

「冗談冗談。みんなに迷惑かけるのは嫌だし、ちゃんとカバンの底だよ」

「ならよし」


きちんと確認をとって安心である。

話が落ち着いた頃、谷本が提案する。


「ほんじゃ、せっかくだしトランプやるか?」

「うーん」


ちらりと周りの様子と、和田さんの様子を見てから答える。


「この後新幹線乗るし、それからでいいんじゃないか?もうすぐ駅には着くわけだし」

「それもそうだな」


俺たちのやり取りを聞いて、またみんなで話をして時間を潰すことになった。

乗り物酔いする人にとって、下を向く動作は非常に辛いものがあるからな。ちゃんと酔い止めが効いた後ならまだしも、暫くは避けた方がいいだろう。


楽しい3泊4日になることを祈りつつ、会話に参加して行った。

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