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幼なじみと海 その3

色々あったが、気を取り直して、いざ海水浴である。


「美咲、浮き輪忘れるなよ」

「うん、大丈夫〜」


3人で波打ち際まで歩いていく。


「ちゃんと冷たいね」

「波の音が気持ちいいな」

「やっほーい!」


ざぶーん!といきなり浮き輪を持って飛び込んでいく美咲。


「美咲、はしゃぎすぎると危ないぞ」

「お兄ちゃん、くらえ!」

「わっ!」


美咲に思いっきり海水かけられた。メガネは濡れるし口にも入ったし、散々だ。


「やったな……そぉい!」

「うわぁ!香織お姉ちゃん助けて〜!」


美咲に腕全体を使ってやり返そうとしたら、香織の陰に隠れやがった。


「くそっ、卑怯だぞ!」

「やっぱり香織お姉ちゃんにはかけれないよね〜ってうわぁ!」

「油断大敵だよ?美咲ちゃん」

「やったな〜!」


その調子でしばらく海水をかけ合って遊んだ。結局俺VS美咲香織になってめちゃくちゃである。


「あ〜楽しかった!お兄ちゃん、ちょっと休憩。浮き輪に乗っけて」

「自分で乗れるようになれよな……ったく、よい、しょっと!」


浮き輪の穴におしりが入るように美咲をお姫様抱っこのように持ち上げて乗っける。


「えへへ、ありがと〜」

「どういたしまして」


そのままぷかぷかと波に揺られる美咲と、その傍で話す香織と俺。

しばらくその感じで遊んだ後、休憩のため、テントまで戻ってきた。

俺は持ってきていたクーラーボックスから、冷たいスポーツドリンクを取り出す。


「美咲、水分補給しとけ〜」

「ありがとう〜お兄ちゃん」

「ほら、香織も」

「うん、ありがとう」


美咲はごくごくとスポドリを飲んでから、テントから帽子とスコップなどを取り出した。


「ねぇねぇ、砂のお城作ろうよ」

「いいけど、俺、作り方知らないぞ?」

「私、作ったことあるからやってみよっか」

「マジか」

「さすが香織お姉ちゃん!」


香織は褒められて、少し照れている様子が見えた。最近、色んな表情を見せてくれるようになったよなと思っていると、美咲はテントから出ていった。


「美咲、もう休憩はいいのか?」

「うん!大丈夫」

「無理するなよ。ちょっとでも体調崩したら言えよ」

「わかったー!」


美咲は香織に言われたように、バケツに砂と海水を入れて土台を作り始めた。


「俺はもうちょい休んでから合流するわ。香織はどうする?」

「うーん、私もそうしようかな」


しばらく香織と2人で美咲の様子を見ながら休憩していると、香織が控えめに話しかけてきた。


「ねぇ、優斗?」

「ん、どうした?」

「優斗はさ、私の水着、見たい?」

「へっ?」


香織は今、水着の上にラッシュガードを着ている。つまり、ラッシュガードの下が気になるかって聞かれているんだろうが、突然どうしてだろう。


「と、突然、どうしたんだ……?」

「ううん、ちょっと気になっただけだよ。それで、どうなの?」


どうって、そりゃ、見たいに決まってる。香織の水着姿なんて、魅力的すぎるだろ。


「それは、その、気になるし、見てみたいけど」


顔から火が出そうになりながら、正直に伝えた。


「そっか、じゃあ、優斗になら、見せてもいいよ?」


そう言って、香織は静かに、ラッシュガードの前に着いた、ジッパーを下ろしていく。

ラッシュガードの前を開き、香織の水着と素肌があらわになった。


「どう、かな」


香織は、体を俺に向け、頬を赤く染めながら、恥ずかしそうに聞いてくる。


「き、綺麗だよ。似合ってる。すごく、魅力的だと思う」


香織の健康的で、シミ一つない柔肌と清楚な印象に合った白色のビキニがよく似合っている。その上、清楚な印象とは裏腹に、香織の洗練されたスタイルがビキニタイプの水着によって強調され、とても魅力的に感じる。 普段の印象とのギャップがあり、否応なしに見とれてしまう。

恥ずかしさを隠すように、少し逸らされた頬が赤くなっているのも相まって、可愛すぎる。


「……はいっ!おしまい!」

「あっ」


香織はバッと後ろを向いて、広げていたラッシュガードを閉じてしまう。


「もう、優斗、見すぎだよ……」

「ご、ごめん」


自分でも見すぎだった自覚があるので、素直に謝る。


「……そんなに、よかったの?」

「それは、うん。他の誰より、魅力的だよ」

「……そっか、ありがと。それなら、最初から、見せてれば良かったかな」

「いやっ!それは……」


自分のラッシュガードを見ながらそういう香織を思わず止めてしまった。

香織が首を傾げて、頬の赤いまま、聞いてくる。


「優斗は、もっと、見ていたいんじゃないの……?」


あまりにも恥ずかしくて、もはや火が出ているんじゃないかと思うほど熱い顔を逸らしながら、答える。


「えっと、魅力的すぎて、いつも通りに香織と話す自信がないんだ。それに……」

「それに?」

「……他の男に、そんな魅力的な香織を、見られたくない」

「えっ、それって……」


俺の言葉を聞いて、香織がなにか言いかけたその時。


「お兄ちゃーん!香織お姉ちゃーん!まだ〜?土台出来上がってるよ!」


その美咲の声で俺たちは顔を見合せ、答える。


「悪い悪い、今行くよ!」

「待たせてごめんね〜!」


香織が先にテントから出ていくのを見てから、熱い頬を冷ますようにスポドリを飲み、2人の元へ向かった。


その後、雑念を無くすように集中して砂のお城作りに取り組んだ結果、香織の的確な指示もあり、周りにいた人が写真を撮ってもいいかと聞いてくるほど、立派なお城が出来上がったのは、また別のお話である。

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