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幼なじみとバーベキュー

無事にバーベキュー予定の玄関横の庭に、テーブルや椅子を運び終わった。


「そろそろ大丈夫かな。炭おこし始めるか」


まず、換気されてることや、風向きを見つつ、向きを調節する。そして、1番底に着火剤を置いて、日向ぼっこさせていた炭をグリルの中に入れる。慎重に着火ライターで火をつける。


「へぇ〜、そうやってやるんだね。私には難しそう」

「香織だってやり方知ればできるよ。俺は慣れてるってだけで」


毎年、祖父母宅に来た時にはバーベキューをすることが恒例となっている。手伝いをしてたらできるようになったってだけだな。

側面からうちわでパタパタと風を送り、炭に火がつくようにしていく。


「ちょっと赤くなってきたね」

「あぁ、もうちょいだな」


引き続きうちわで風を送りながら、香織と話していると、車が帰ってきた。


「ただいまー!」

「帰ったよ。準備は……できてるようだね」

「おかえり。こっちはあとは火が着けば終わりだ」

「優斗のおかげでスムーズに出来ました」


美咲は元気よく、父さんと母さんはゆったりと帰ってきた。


「さすが、手馴れたものよね。香織ちゃん、次はこっちを手伝ってもらってもいいかしら?」

「はい、もちろん大丈夫です」


そう言って、母さんと香織はキッチンの方へと向かっていった。

俺は引き続き、火の様子を見ながら、うちわを仰ぎ続けた。


それからしばらくして、母さんと香織が、食材をもって出てきた。


「それじゃあ、バーベキュー始めましょうか。美咲、おばあちゃんたちを呼んできてくれる?」

「はーい」


7人でテーブルを囲い、バーベキューを始める。

みんなでわいわいと魚介類や肉を焼いていく。

途中、祖父母からの香織への質問責めがあり、ヒヤヒヤしたものの、少しずつ打ち解けられているようで安心した。


「そろそろ食べられるよ」

「やった、いただきまーす!」

「ちょ、はや……」


最初に焼いていたエビをいち早く食べ始める美咲。


「美咲ちゃん、誰も取ったりしないから、ゆっくり食べよ?」

「もぐもぐ……うん、わかった」

「ほんとにお姉ちゃんみたいだねぇ〜」


姉妹のようなやり取りをする美咲と香織を温かく見守るばあちゃんの構図がなんか面白くて笑ってしまう。


その調子で、肉を焼いたり、貝を焼いたりして行っていると、香織がにこにこといい笑顔でいることに気づいた。

香織も楽しめていることに安心しつつ、俺もバーベキューを楽しんでいった。


楽しい時間はあっという間に過ぎていき、食べるものも無くなってきた。


「お腹いっぱい……」

「美咲ちゃん、大丈夫?」


美咲は「香織お姉ちゃんが焼いてくれたの食べる!」と張り切っていたので、食べすぎたようだ。

香織が背中を優しくさすっているのがなんだかシュールである。


「そろそろ片付けを始めようか」

「そうね。優斗、手伝って」

「わかった。炭からでいい?」

「ええ、お願いね」


そう言って、バケツに水を組んできて、炭を水につけていく。


「なんか手伝おうか?」

「いや、大丈夫だよ。準備ほど大変じゃないし。美咲の相手してやってくれ」

「わかった、ありがとね」


そうして炭を鎮火させて一纏めにした。テーブルや椅子は、まだ使うかも、ということで外に出したままにしておいた。


ある程度片付けも終わり、外で伸びをしつつ、そろそろ中に入ろうかとおもっていたら、じいちゃんが外にやってきた。


「おう、優斗や、ありがとうな」

「ううん、大したことじゃないよ。元気そうだけど、かわりはない?」

「あぁ、元気じゃよ。美咲の晴れ着を見るまでは生きたいからのぉ」


そんな感じでじいちゃんと話していると、話題が香織のことになっていった。


「それにしても、香織ちゃんじゃったか?あの子はいい娘じゃの」

「うん、あってるよ。いい人すぎてちょっと心配になることもあるけどな」

「ほっほっほ、優斗は香織ちゃんのことをよく知っておるようじゃな。優斗、後悔することのないようにするんじゃぞ」


どこか、父さんに似た、こちらを見通しているような力強い目でそう言って、裏手から家に入っていくじいちゃん。

じいちゃんは何を伝えようとしてくれたんだろう?と考えて、ぼーっとしていると、元気のいい大きな声と共に、何かが飛んできた。


「お兄ちゃん!パス!」

「うおっ!?び、びっくりするから、一言目と同時に投げるのはやめろよ」

「でも、ゆっくりだから取れたでしょ?」


美咲の声と共にゆっくりめに飛んできたのは、フリスビーだった。


「これ、どうしたんだ?」

「さっきの買い物の時に、買ってもらったんだ。香織お姉ちゃんも一緒に、公園行こうよ」

「いいけど、もうお腹は大丈夫なのか?」

「へーきへーき!いこー!」


そう話しながら玄関の方へ向かうと、香織も準備を済ませて、家から出てくるところだった。


「ごめんね?引き止めきれなくて……」

「別にいいよ。美咲も楽しそうだし、行こうぜ」


そうして、近所にある広めの公園で、3人でフリスビーで遊んだ。

時間を忘れるほど熱中して、割と上手く飛ばせるようになった。楽しかった。

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