幼なじみと占い
「美咲ちゃん、おかえり」
「ただいま~、香織お姉ちゃん」
香織とキャッチボールをした後の帰り道、部活帰りの美咲と合流した。
美咲の持つカバンを代わりに持ちつつ、3人で帰っていると、美咲が話始めた。
「最近吹部でね、占いが流行ってるんだ。ちょっとやってみない?」
「そうなんだ、どんな感じなの?」
なんか占いブームって一定の周期でやってくるよな。俺の周りでもたまに流行ってる気がする。
「お兄ちゃん、スマホ貸して!」
「ん?ほいよ」
美咲にスマホを手渡すと、何やら検索しだした。
「最近は星座占いが流行ってるんだ~」
私はおひつじ座だから、と探す美咲。
「やった!1位だよ!いいことばっかり書いてある。金運アップだって!お兄ちゃん、お小遣い!」
「いーや、ダメだ。俺も金欠だし」
「むー、お兄ちゃんのケチ」
「まぁまぁ、私たちのも見てみようよ」
「そうだね、お兄ちゃんはさそり座だから……」
そういえば香織の誕生日っていつ頃だっけな。年末辺りだった気がする。うーん、思い出せない。
何とか思い出そうとしていると、美咲はさそり座の順位を見つけたらしい。
「あった、さそり座は7位だって」
「うわ、微妙だな」
「そんなに悪いことも書いてないし、いいこともそんなだね。微妙だ〜。でも、仲のいい人とか友達と話すとスッキリするって書いてある」
「なるほどー?」
それならまぁ確かに。でも、仲良い人と話すのは割と何時でも楽しい気がする。当たるのかわかんない占いだな。
「次は香織お姉ちゃんだね。えっと、誕生日いつだったっけ?」
「誕生日は12月13日で、いて座だよ」
「わかった!」
12月13日だったか。惜しかったな。また今年から一緒に祝えたりするのかな。
「あっ、12位だ……香織お姉ちゃん、ごめん」
「なんで美咲ちゃんが謝るの?占いだし、そんなこともあるよ」
「たかが占いだからな。結果いい時に信じるくらいがちょうどいいよな」
「あっ、でも、恋愛運は高いよ!」
「うーん、恋愛運かぁ……」
恋愛か……香織にとってはあんまりいい印象ないだろうな。こないだのも告白から始まったわけだし。
そんなことを考えているうちに、香織は続けて話し始める。
「私、男の人を好きになったことないんだよね。恋愛って言われてもよくわかんないかも」
「香織お姉ちゃん、好きな人いたことないんだ?」
「そうなんだけど、もしかして変かな?」
「うーん?香織お姉ちゃんに見合う人が居なかっただけじゃないかな」
俺は、いわゆる女子会トーク的なノリになってきて、少し気まずいので、2人と少し距離を開けて、あまり会話を聞かないようにする。
年齢=彼女いない歴であり、仲のいい異性なんて香織と家族以外にいない俺には、恋愛なんて縁のないことだなぁと遠い目をしつつ、残りの家までの道のりを歩いていった。




