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幼なじみとゲームセンター

香織と引き続きショッピングモールを歩いていると香織が俺に問いかけてきた。


「私が行きたいところは色々行ったけど、優斗は行きたいところないの?」

「そうだな、ゲームセンターとか行っていいか?」

「もちろんいいよ。」


香織と話しながらゲームセンターに向かう。


「優斗はゲームセンターよく行くの?」

「おう。好きなんだよ、ゲーセン。」


UFOキャッチャーやら音ゲーやら楽しいんだよな。結構好きだからよくやるけど、あまり上手くはないのが悩みだ。


「私、ほとんど行ったことないんだよね。」

「えっ、そうなんだな。」


香織らしいと言えばらしいが、女子高生ってプリクラとかで割とゲーセンに来てるイメージだったな。

まぁ人によるのか、と納得しつつ、引き続き話す。


「じゃあ今日がゲーセンデビューだな。」

「そうだね!色々教えてね。」


香織はにっこり笑ってそういった。


そんなことを話しているとゲームセンターに着いた。

まずは、とUFOキャッチャーを物色する。


「色んな景品があるんだね~」


上機嫌な香織と一緒に見て回っていると、香織は大きめのイルカのぬいぐるみの前で止まった。


「このぬいぐるみ可愛いね……」

「そうだな、ふわふわな感じのイルカだな。」

「うーん、どうしようかな……」


挑戦しようか悩んでいる香織の様子を見て、俺は百円玉を取り出す。


「俺がちょっとやってみるから、それ見てどうするか考えたらどうだ?」

「えっ、やってくれるの?」

「おう、どれくらい動くか見てみようぜ。」


たまに美咲のためにぬいぐるみを取って帰ることがあるため、何となくセオリーはわかっているつもりだ。 そんなに上手く行くとは思ってないけれど、せっかくだし、やってみよう。


百円玉をUFOキャッチャーに入れ、慎重にぬいぐるみを狙う。

このイルカのぬいぐるみは割と大きいため、緩く半分に折られて糸で固定されている。

三本爪をその間に入るように狙ってアームを落とす。

上手く狙ったところに入ってぬいぐるみが持ち上がり、思っていたよりも持ち続け、落とし口に寄りかかる形になった。


「おしいー!もうちょっとだったのに。」

「でも、もうちょいだから、香織やってみろよ。狙うとことかは一緒に考えるから。」

「う、うん。やってみる。」


そう言って香織はお金を入れて、アームを動かす。

狙うところを伝えると、慎重にアームを動かし、ボタンを押した。狙ったところに上手く入り、持ち上げて、引っ張るように動き、イルカのぬいぐるみは落とし口に落ちた。


「やった!取れたよ!優斗!」

「やったな!おめでとう。」


香織は取れたイルカのぬいぐるみを抱き上げながら笑顔で喜ぶ。


「ありがとう、優斗のおかげだよ!」

「いやいや、取ったのは香織だぞ。」


UFOキャッチャーの醍醐味は、好きな景品を手に入れるところにもあるが、やっぱり自分で挑戦して、自分で手に入れるところに楽しさがあると思っている。

香織にも楽しさが伝わったらいいなと思って、最後を香織に任せたが、上手くいって良かった。


「それでもだよ、ありがと!」


香織が子どもに戻ったような笑顔でそう言った。

それがあまりにも眩しくて、俺は慌てて顔を逸らし、話題を進める。


「そ、そのまま持って帰るのは大変だから、袋貰おうぜ。あっちだな。」

「あっ、そうだね。」


大きめの袋をもらい、ぬいぐるみを入れて香織に渡す。


「さてと、UFOキャッチャー以外にも色んなゲームがあるけど、どれから行きたい?」

「うーん、私は十分楽しんだから、優斗の好きなとこでいいよ。」

「えっ、いいのか?まだ音楽ゲームとかレースゲームとかあるぞ?」

「うん、優斗はどれやりたいの?」

「そうだな……」


せっかく香織と来てるんだし、俺一人で楽しむのは違う気がして、考えたことを提案する。


「それじゃあ、今日はゲーセンで遊ぶのは終わりにして、また今度一緒に来た時に、別のことやることにしようぜ。」

「優斗こそいいの?まだやりたいことあるんじゃないの?」

「まぁそうだけど、それは俺一人で来た時もできるしな。今は香織と一緒だし、今しか出来ないことやりたいって思ってな。」


そう言うと香織は、申し訳なさそうな表情を隠すように、にっこり笑って答えた。


「ありがとう。優斗がそう言うなら、また今度、一緒に遊びに来ようね。」

「おう、約束な。」


そう約束をしてゲームセンターから離れ、再びショッピングモールを、歩いていく。


「あっ、ちょっとあそこ寄ってもいい?」


香織がそう言って示す先には文房具などの小物が売ってあるお店だった。


「もちろん。行こうぜ。」


俺はそう答えて香織と一緒にお店に入る。

香織が文房具を選んでいる様子を見つつ、周りの商品を見ていると、近くに髪留めなどが置いてあることに気づいた。

香織の目を盗んで時々こっそり香織の後ろ姿に合わせて見ながら、薄めの黄色にレースがあしらわれたシュシュを選び、香織と一緒にこっそり会計を済ませる。


「あれ?優斗も何か買ったの?最近勉強頑張ってるし、シャーペンとか?」


香織は私もペン買ったんだ、と言いながら聞いてきたので、正直に話す。


「いや、文房具じゃないんだ。香織、これ、勉強教えてもらったお礼だ。」


買ったばかりのシュシュを香織に見せる。


「ラッピングも何も無しで申し訳無いんだけど、受け取ってくれるか?気に入って貰えるといいんだけど……」


香織は驚き半分、喜び半分のような表情で答える。


「もちろんだよ、優斗。ありがとう、大切にするね。」


香織はシュシュを受け取りながらそう言うと、結んでいた髪留めをといて、シュシュをつけてくれた。

その後くるりと後ろを向いて、振り返るようにして聞いてくる。


「どう?似合うかな?」

「おう、バッチリだと思うぞ。」


香織が気に入ってくれるか心配だったが、何とかお礼ができて良かったとほっと胸を撫で下ろした。

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