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幼なじみとお出かけ

期末テスト翌週となり、テスト結果が返ってきた。英語は70点後半だったが、他の教科は80点を超えることができ、いくつか90点に届いた教科もあった。

前回が悔しかったのか、今回は谷本も勉強していたようで、割といい点を取っていたが、俺の90点のテストを見て目が飛び出していた。してやったりである。


香織も今回は調子良かったみたいで、いつも通りの全教科90点越えに加えて、満点の教科もあったようだ。

俺が追いつくだけ、香織が進んでいくことに悔しく思いながらも、毎日コツコツやることの大切さがわかったので、続けていこうと思う。


テストが帰ってきたということで、もうクラス全体が夏休みモードになり始め、どこで遊ぶだの、部活がどうだのという話が聞こえてくるが、俺は週末の香織とのお出かけのことを考え続けていた。


どこに行くのがいいかな、と考えていると、谷本が声をかけてくる。


「橋崎、今いいか?」

「おう、大丈夫だけど、なんかあったか?」

「あぁ、ちょっとな。今この2人と夏休みどっかで遊ぶって話してたんだけど、橋崎も誘おうと思ってな」


そう言いながら谷本が示す先には、俺の方を見る2人のクラスメイトがいた。

小声で谷本に確認する。


「えっと、佐々木くんと青原さん、だよな?」

「そうだよ。いい加減名前くらい覚えろよ。こういう時不便だろうが。」


悪い悪い、と言いつつ、谷本と2人の方へ向かう。

佐々木くんと青原さんの2人とは、テスト前の自習の時間で話して以来、たまに話すようになっていた。


「谷本から聞いたんだが、ほんとに俺も一緒でいいのか?」

「悪いわけないじゃん!せっかく仲良くなり始めたんだし、遊ぼうよ。」

「そうそう、青原の言う通り。それに、橋崎に教えてもらったとこがテストに出て解けたから、お礼もしたいしな。」


うんうんと首を縦に振りながらそう言ってくれる。


「なら、お言葉に甘えようかな。いつ頃とか決めてるのか?」

「いや、まだだから、LINEで打ち合わせしないか?グループ作って連絡取り合おうぜ。」


そう言って谷本がスマホを取り出す。


「おい、一応学校内では使用禁止だぞ。」

「まぁそうお堅いこと言うなよ。」

「生徒会なもんでな。没収だ。」

「いや~、それだけはご勘弁を~」


冗談めかしながら話す俺たちを見て、佐々木くんと青原さんが笑う。


「あははっ!橋崎くんって面白いよね。なんで気づかなかったんだろ。」

「こいつ、友達少ないからな。作ろうともしない痛ってぇ!」


親指で俺の方を示しながら言う谷本に軽く肘を入れつつ、2人と話す。LINEグループも作り、そこから個人も交換した。ちょっと仲良くなった。


その後、谷本たちと別れたあと、頭を悩ませながら家に帰り、香織と出かける場所について話した。色々な案が出たものの、最終的に少し遠くにある大きめのショッピングモールに行くことになった。


香織とのお出かけ当日の朝、俺は準備を済ませ、家を出ると、そこにはもう香織が待っていてくれた。


「おはよう、優斗」

「あぁ、おはよう」


香織は夏らしく、爽やかで明るいイメージのトップスに、動きやすそうなボトムスを着こなしていた。髪はいつもより低めの位置で一つに結んでおり、前につばの付いた帽子を被っている。

いつもとは違うイメージの服装だけど、似合ってるなと思いながらも、声に出すことはできず、香織と駅の方へ向かう。


「なんか、いつも歩いてる道だけど、帰りばっかりだから、2人で駅に向かうのは新鮮だね。」

「そうだな。一緒の電車に乗るのも今日が初めてだし。」


他愛ない話をしながら電車を待ち、乗り込む。

ドア横のスペースに入り、香織は座席の裏側にもたれかかって、俺はその横で手すりを掴んで立った。

上機嫌な様子の香織を見て、俺は問いかける。


「なんか、楽しそうだな。そんなにショッピングモールに行くの楽しみだったのか?」


それを聞いて、香織はニコニコと可愛らしい笑顔でこちらを向いて言う。


「前も言ったでしょ。私が楽しみだったのは、優斗とお出かけすることだよ?ちょっと前までは一緒にお出かけできるなんて、とても考えられなかったし。私は今も楽しいよ。優斗はどう?」


俺は、素直な気持ちを面と向かって言葉にできる香織はすごいなと改めて感じつつ、照れくさくなって、顔を逸らしてから、返事をする。


「うん。俺も、楽しみだったし、今も、楽しいぞ。」

「えへへ、それじゃあ、今日はよろしくねっ!」


俺は、楽しそうにそう言う香織の声を聞いて、家に帰る時まで、香織が楽しそうな様子を続けられるように、楽しかったと心から言えるような一日になったらいいなと考えていた。


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