幼なじみと期末テスト
期末テストが近づいてきて、テスト週間に入った。
約束通り、放課後には香織と勉強会をしている。前回のまでのは反省を活かして、復習だけはきちんとやってきたので、前回よりはスタートラインが前にあるだろう。
テスト週間初日の放課後、香織とともに、いつもの図書館で勉強をする。
学校が違うが、期末テストの日程も同じで安心した。
「優斗、ちゃんと勉強続けてたんだね。私が教えることないかも。」
「それはちょっと買いかぶりすぎだ。分からないことばっかだよ。こことか、どうやって解くんだって感じだよ。」
「前は、どこがわかってないのか考えるところからだったのに。やっぱり成長してるね。」
「香織先生のおかげでな。それで、どうやるんだ?」
「えっと、ここはね……」
いい調子で勉強を進めることが出来た。今回の期末テストは、月曜の祝日の後から始まるので、ラッキーな日程である。
日程や、勉強の内容を香織と確認してから、初日は別れ、自宅へと帰った。
翌日の学校にて、早々にテスト範囲の授業を終わらせた教科の先生が、自習の時間としてくれた。
とはいえ、別の先生から授業しているように見えるように、班机で勉強をする。
俺は苦手な英語の勉強をすることとする。
勉強をしていると、近くの席に座る谷本が小声で話しかけてきた。
「ちゃんと勉強してるかい?」
「あぁ、してるから邪魔すんな。」
「まぁまぁ、そう邪険にしないでおくれよ。去年までのお前見てるとちゃんと勉強してるのに違和感しかないわ。」
確かに去年までは自習の時間もこれ幸いと、小説を読み耽ってたな。
「俺も成長してるんだよ。もういいか?もうちょっと頭に入れときたいんだけど。」
「おう、いいけど最後に。」
「なんだ?」
「班机なんだから、困った様子のクラスメイトくらい助けてやれ。ほら。」
谷本が示す先には、数学の問題集を見て悩んでいる様子の男子生徒がいた。
「お前、ちょっと感じ変わって、クラスに馴染み始めてんだから、もう一歩くらい踏み込め。俺以外の友達作れよな?」
「うっせ。余計なお世話だっての。……でもまぁ、様子見つつ声かけてみるわ。」
「そうしろ〜。」
谷本はそう言って自分の机に向かい始めた。
俺は、斜め前に座る男子生徒の様子をチラリと伺う。どうやら、まだ数学の問題で困っているらしい。問題のページを見ると、昨日香織と一緒にやったところだと分かる。
俺は心の中で「香織に教えてもらった感じで行けば大丈夫かな」と考えながら、問題の解き方を思い浮かべつつ、勇気を出して声をかける。
「なぁ、もしかして行き詰まってる?」
その男子生徒は驚いた様子をしてから、答える。
「お、おう。そうなんだよ。ここの問題、答え見てもよくわかんなくてよ。」
「俺でよければ、ちょっと教えようか?応用とかじゃなければ、分かると思うんだけど。」
「マジで?ここなんだけど……」
「ここはこれを……」
それからしばらく、その男子生徒と問題を一緒に解く。できるだけ分かりやすいように、香織の説明を意識しながら丁寧に教える。
「なるほどな、こうやればできるのか。分かりやすかったわ。サンキュな、橋崎。」
「いや、まぁまた分からないとこあったら聞いてくれ。答えれる範囲で答えるから。」
その時、隣の女子生徒からも話しかけられる。
「ねぇねぇ、ここの問題わかったりする?」
「その問題なら何とか説明できると思うけど……」
「ほんと!?教えて〜。」
その後もそんな調子で授業が終わるまで、わかる範囲で教え続けた。
香織が俺に勉強を教えてくれる意味が、少しわかった気がした。
その後も、自習の時間はたまに他の生徒に話しかけられながら、普通の授業は集中して受け、放課後となった。
一部の生徒からお礼を言われつつ、教室を出る。
後ろから谷本が追いついて来て、話し始める。
「どうだ?ちょっとは仲良くなれたか?」
「うーん、仲良くなったというか、助けた?みたいな感じだな。」
「それがきっかけになってくんだぞ〜。まぁ、問題があるとすれば。」
「なんだよ。」
谷本が俺の顔を指さして続ける。
「おまえ、クラスメイトの名前半分くらい覚えてないだろ。今日困ったんじゃないか?まずはそっからだぞ。」
「ごもっともで。まぁクラスの全員と仲良くなろうなんて思ってないから、一部でいいんだよ。」
「そう言わずに。修学旅行もあるんだからな?馴染んで行こうぜ。」
「ご心配ありがとう。ゆっくりやってくよ。」
そんなことを話しながらいつもの駅まで帰り、香織と合流した。
香織と一緒に図書館へ向かいながら今日あったことを話す。
「へぇ〜、優斗も教える側になったんだね。」
「香織様々だよ。いつもありがとな。」
「どういたしまして。やっぱり、優斗も地頭良いからやり方と習慣さえ付けば、成績も上がるんだよ。」
「香織にそう言われるのは悪い気はしないな。」
ほんとにできる感じがしてくる。
「私も、分からない所を優斗に教えて欲しいな。」
少しだけ見上げるようにしながら香織がそう言った。
「いつか追いつけるように頑張るけど、期待はしないでくれな。」
「優斗に無理して欲しい訳じゃないからね?ゆっくりでいいから、一緒に頑張ろ。」
その時が来るのかさえも、分からないほど遠い道のりだなと感じながら、歩みを進めていった。




