幼なじみと妹と遊び その1
香織と寄り道する約束をしてから、なかなか帰る時間が合わず、5日がたった。
今日は日曜日であり、明日で約束から1週間である。
香織は土日も部活があるようで、大会を見に行くと行った手前、水を刺したくもないため、大人しく家で過ごしていた。
昼下がり、アニメやゲーム、たまに勉強をしながら過ごしていると、部屋をノックする音が聞こえた。
母さんだろうかと思いながら、「はーい」と声をかける。
扉が空くと、そこには美咲が立っていた。
普段遠慮なく部屋に入ってくる美咲が、わざわざノックして入ってくる時は、なにかお願い事があるのがお決まりである。
何をお願いされるのか、心当たりがあるため、不安に思いつつ、美咲に問いかける。
「どうしたんだ、美咲。」
「お兄ちゃんよ、あれから1週間だよ。」
やはり、香織に関することである。
美咲は続ける。
「お兄ちゃんばっかりずるいぞ。私も会いたいの!」
うーん、美咲が香織と関わりが無くなったのは、俺のせいであるため、美咲の希望はなるべく早く叶えてあげたい。
しかしなぁ、部活で忙しそうだから邪魔したくもないところである。
「なかなか予定が合わないんだよ。」
「この間の月曜日は、香織お姉ちゃん大丈夫だったんでしょ?明日の月曜日とか無理かな?」
確かに。大会前とはいえ、このご時世だし、休みの可能性はあるか。よし折衷案で行こう。
「わかった。LINEで聞いとくよ。もし会えそうなら、どこで話したいとかあるか?」
「うーんとね、月曜日ならお母さんの帰りも遅いだろうし、私たちの家じゃダメかな。」
俺たちの家か、うーむ、まぁ美咲と一緒だし、セーフか?
「わかった、伝えてみる。その代わり、なんかの間違いで母さんたちと出くわしたら、美咲が誘ったことにしてくれよ?」
「やったー!りょーかい!まかしといて。」
不安が残るものの、とりあえず香織にLINEしよう。
優斗 『香織、明日の放課後って時間あるか?』
部活中だったのであろう、なかなか返信は来ない。
「美咲、返信きたら後で伝えるな。」
「うーん、いいよ、返ってくるまでお兄ちゃんの部屋で過ごすから。漫画借りるね〜。」
美咲は俺の部屋でくつろぎ始める。
いや別にいいけど、俺の意思は無視なんですね。
女子ってみんなこんな感じなのか?と疑問に思いながら机に向かった。
それから3時間ほどたち、夕方になり始めたころ、香織から返信が来た。
かおり『月曜日は部活ないから大丈夫だよ〜』
優斗 『妹の美咲が、香織に会いたいって言ってるんだけど、どうだ?』
かおり『それは、私も会いたいけど、優斗って、私とのこと家族に話してるの?』
香織から予想外の質問が飛んできた。
俺は慌てて弁解する。
優斗 『いやいや、基本話してないんだけど、美咲は勘が良くて、バレたんだよ。』
かおり『へぇー、そっか。それで、放課後はどこで会うの?』
香織のやつ、意味深な返答しやがって。意図が全くみえない。
優斗 『美咲が、うちで会いたいって言ってるんだけど、大丈夫か?』
かおり『うん。大丈夫だよ。楽しみにしてるね。』
約束を取り付けたことだし、美咲に伝えよう。
俺のベッドに腰掛けて漫画を読み耽っている美咲に声をかける。
「美咲、香織が大丈夫だって。楽しみにしてるとも言ってるぞ。」
美咲が顔を上げ、嬉しそうな表情で応える。
「やった!月曜は急いで帰ってくるからね!」
「おう、俺たちの方が遅いと思うから、準備とかしといてくれ。」
「まかせて!」
そう言って美咲は部屋を出ていった。
俺は明日は何をすることになるんだろうと、思いを馳せた。
翌日の放課後、特に特別なこともなく、一日の学校が終わり、駅で香織に連絡する。
優斗 『今電車に乗った』
かおり『私も〜、駅で待ち合わせだね』
優斗 『おう。落ち合おう。』
それから電車に揺られながら、香織とやり取りをすること15分。駅に着き、改札を出る。
どうやら今日は、俺の方が早かったらしい。
しばらくして、香織が改札から出てくる。
「香織、おかえり。」
「うん。優斗もおかえり。」
一言ずつ交わし、自宅へと向かう。
歩きながら香織が聞いてくる。
「ねぇ優斗、なんで美咲ちゃんに知られちゃったの?」
「あー、俺の様子が変わったことに勘づいてたのと、文化祭の時に香織のことを見かけたのが決定的だったらしいぞ。」
香織は感心するような表情でうんうんと頷き、答える。
「美咲ちゃん、変わらず賢いんだね〜。優斗より頭良かったりして。」
「美咲が賢いのは認めるけど、兄として妹の方が頭いいのは否定したいな。」
そういうと香織は「冗談だよ」と笑いながらいい、続ける。
「それで、今日は何するの?」
「さぁな、美咲プレゼンツだから俺もわからん。」
話しているうちに、自宅が見えてきた。
「あっ!お兄ちゃーん!香織お姉ちゃーん!」
家の前で美咲が手をブンブン振りながら大きな声で俺たちを呼ぶ。
香織はくすくすと小さく笑い、「行こっか」といい駆け足で美咲の元へ向かう。
俺は、楽しく過ごせそうだと安心しながら、香織について行った。




