友人たちと部活動
すっかり投稿が途切れてしまって申し訳ないです。
想像の5倍4月からGWが忙しかったもので……。
これからもちまちま投稿したいと思ってますので、たまに覗いて貰えたら嬉しいです。
「ぜぇ……ぜぇ……」
「はい、お疲れ様〜」
冬の体育恒例の持久走を何とか走り終え、息を切らしていると、男子よりも距離が短い上、ペースも早いため、先に終えていた青原さんが労ってくれた。
「ほら、すぐ止まると良くないよ。より疲れちゃうんだから。歩いて歩いて!」
「わ、わかった……」
膝に手をついて息を整えていたが、青原さんに言われ、ゆっくりと歩き出す。
「でも偉いね。ちゃんと全力でやりきるんだから」
「サボるのは何となくはばかられるんだよな。あと走るの嫌いじゃないし」
「意外にタイム早いもんね」
「意外は余計だ」
しばらく歩き、息が整い始めたところで、余裕そうにゴールする人影が見えた。
「ふぃー、お疲れ」
「お疲れ様。相変わらず流してるんだ」
「この後の授業に余力を残してると言ってくれ」
「結局寝てるじゃねぇか」
「今日はこの体育が最後の授業だしね」
「最近は寝てませーん」
おおよそ6割程のペースで走りきった様子の谷本。
実際、全力で持久走に取り組むのは競争し合ったり、ノルマがある運動部くらいなもので、谷本のような人も少なくないだろう。
「にしても、橋崎は体力着いたな。去年は今日の俺と同じくらいだったのに」
「だよね、そんなに早いイメージも真面目なイメージもなかったから、驚いたもん」
「返す言葉もない」
さっき青原さんには意外は余計だとは答えたが、去年までは体力も真面目もなかった。
間違いなく、香織とまた会うようになって、出かけることが増えたからだろう。それに、夏休みの終わりごろから、体力作りと筋トレを兼ねてランニングするようになったことも大きい。
ちゃんと体力が着いてきていることに安心していると、体育の先生が生徒を集めだした。
「それじゃ、また後で〜」
「おう、後でな」
男女に別れて最後の挨拶をする中、谷本が口を開く。
「まぁ今日はこの後に体力温存しとかないとなのは間違いないだろ?」
「そんな気負うものでもないと思うけど」
「いやいや、初めてのことは誰でも緊張するだろよ」
「ふーん?そんなタイプだっけ?」
「……初めてだから、優しくしてね?」
「……」
何やら抜かしている谷本のお腹に無言で肘を入れていると、佐々木の視線が「仲良いね〜」といった意味合いに見えたので、とりあえずスルーしておいて、体育の授業は終えた。
帰りのホームルームを終え、放課後となった。
普段なら早く香織に会うためにも、早々に帰るのだが、今日はそうもいかない。
隣でカバンの準備をしている青原さんに声をかける。
「部活、休んじゃって良かったのか?」
「いいのいいの、そういう話になったから。みんな納得してくれてるし」
思っていたよりもすんなりと事が進んだ様子の青原さんに安心していると、準備を終えた谷本も合流した。
「またせたな。行こうぜ」
「いこいこー!」
なんとも張り切った様子の2人と共に、生徒会の部室へと向かう。
「一応事前に今日来るってことは伝えてあるから、そこは安心してくれ」
「おうよ。とりあえず自己紹介してあとはその場の流れだな」
そう話してはいるものの、なにか悪巧みをしている様子の谷本をみて、一応釘を刺しておくことにする。
「母さんとか美咲に挨拶した時みたいなノリはやめといた方が身のためだぞ。人数が減ってから後輩たち纏う空気が変わってるから」
「ほほう?」
「なんて言うんだろうな、やってやるぞ!みたいな」
文化祭前の忙しい時期のようにピリピリしている訳では無いが、気合いの入った雰囲気を感じる。頼もしい限りだが、以前のようなワイワイ感が少なくなった気がする。
そんな旨の話をすると、聞いていた2人が答えた。
「それ、陽キャ的な人柄だった3年がいなくなって、唯一と言っていい先輩が陰な雰囲気だったからでは」
「諭すように悪口が出てきて驚きなんだが」
「言い方は悪いけど、そういうの、あると思うよ。橋崎くん、割と思い詰めてたんじゃない?」
言われてみればそんな気がするような、しないような。割といつも通りだったと思うんだけどな。
「まぁ、それも今日までだね」
「おう、俺らに任しとけ」
「何するつもりだよ……」
話しているうちに、部室に到着したため、不安を抱えつつ、生徒会の部室のドアを開く。
「お疲れ〜」
「お疲れ様です、先輩。あと、先輩の皆さんは初めまして!」
「いいね元気だね!私は青原桃です。これからよろしく!」
部室に入るなり早々に挨拶と自己紹介が始まり、続いて谷本や後輩くん達が自己紹介をしていった。
あっさりと谷本と後輩3人の自己紹介が終わり、微妙な雰囲気になりかけたところで、谷本が口を開いた。
「うし、じゃあ親睦を深めるってことで、何かしようぜ」
「谷本がそれを言うのか」
「別にいいだろ。何かないのか?」
「あー、そういえば……」
谷本の言葉に反応した後輩の1人が棚の引き出しを開け、何かを持って戻ってきた。
「前に3人で掃除した時に、これが出てきましたよ」
後輩くんの手にはトランプが握られていた。
「なんで生徒会室にそんなもんあるんだ……?」
「ちなみにこの他にもボードゲームがありますよ?」
「この学校、ゲーム同好会的なのあったのかな」
「まぁちょうどいいじゃん。使おうぜ」
「えっ、マジで?」
谷本に後輩と俺たちの視線が集まる。
「別に良くないか?校則では、不要なものを持ってきちゃダメなわけで、元々あったんだから。俺たちはそれをたまたま見つけて使ってみただけだろ?」
谷本の言う通り、校則では学校生活に不要なものの持ち込みが禁止されていたはずだ。ただ、確かに、使用に関しては何も無かった気もする。
同じことを考えていたであろう後輩くんがうんうんと頷きながら話す。
「何かいいですよね。生徒会で集まって遊ぶなんてアニメみたいで」
「おっ、話のわかる後輩だなぁ。今度一緒に寄り道して帰ろうな」
早くも意気投合し始めている。谷本のコミュ力恐るべしだ。
その流れでトランプで遊ぶことになり、ババ抜きや大富豪などをして遊んだ。
途中で顧問の先生が顔を出してきて焦ったものの、曰く。
「4年か5年前の先輩が置いていったのね。その子も同じ事言って遊んでたわよ。その先輩たちと、新しく入ってくれた2人に免じて今回は見逃してあげる」
だそうだ。あの先生が顧問のうちは、少しくらい遊んでいても許されそうな雰囲気がある。
そんなこんなで下校する時には、すっかり打ち解けていたのであった。
次の祝日7月?信じられねぇ……。6月にも祝日をくれ!




