幼なじみ家族と大晦日
大晦日。我が家は香織達家族を迎えるため、お昼頃から準備を始めていた。
とはいえ、大掃除は済ませているし、昨日も掃除したので、家具を少し動かして、スペースを広げるくらいのものである。
「お兄ちゃん、香織お姉ちゃん達、いつ頃から来るの?」
「家で色々済ませてから来るって言ってたから、早くても夕方だな」
「そっか〜」
大晦日を一緒に過ごすと言っても、俺たちの家で晩御飯を食べて、少し遊ぶくらいになるはずだ。
もう少し早く来て欲しいのであろう美咲は、ソファーに寝転がって、ぬいぐるみをボールのようにポンポンしながらあそび始めた。
「美咲、香織のご両親とも遊べるテーブルゲーム選びしないか?」
「あっ、そうだね。するする〜!」
美咲のご機嫌を取りつつ、一旦部屋に向かい、色んなテーブルゲームを引っ張り出す。
「んー、でも、7人ってなると、できるゲームも限られるよね?」
「そうだな。ベタなとこだとトランプとかになるな」
しばらくガサゴソと漁ったものの、結局トランプなどの定番ゲームをすることに決定し、それらをもってリビングに戻った。
一応テレビゲームの方も準備したり、両親の準備を手伝ったりしているうちに、約束の時間が迫ってきた。
いつもよりだいぶ豪華な晩御飯になりそうだと胸を高鳴らせていると、玄関のチャイムが鳴った。
「優斗、お願い」
「わかった」
「私も〜」
美咲と2人で玄関に向かい、香織とご両親を迎える。
挨拶もそこそこに、中に入るように促す。
「香織お姉ちゃん!まだご飯までちょっと時間あるみたいだから、遊ぼ!」
「もちろんいいよ。何して遊ぶ?」
早速楽しそうにしている美咲と香織の様子を見つつ、俺は未だ準備をしている両親の代わりに、香織のご両親の相手を試みる。
「いやはや、こうしていると、本当の姉妹のように見えるな。まぁ、そうなる日も近そうだ」
「ちょっとお父さん。優斗くんが困ってしまいますよ。それより、ご両親は?」
声だけで姿の見えない俺の両親の話に変えてくれたことに感謝しつつ、話す。
「まだ最後の準備をしてるんだと思います。母は多分台所です。父は、ちょっと分からないですね」
「あら大変。私もお手伝いします。あちらですよね?」
「そうですね。ありがとうございます」
そういうと、香織のお母さんは行ってしまった。うーん、ご厚意を無碍にするのはどうかと思ったので、行ってもらってしまったが、良かったのかな。
行ってもらってしまったのはもう仕方ないかと、直ぐに切り替えて、香織のお父さんと当たり障りのない話をしていると、父さんがお酒らしきものを手に戻ってきた。
「ようこそ」
「こちらこそ、お邪魔してますよ。おやおや、これは……今日開けるんです?」
「ええ。せっかくの集まりですし、年末ですから」
「いいですなぁ」
何やら父親同士でお酒談義が始まったようだ。うちの両親はた嗜む程度で、そんなにガブガブ飲むイメージは無いけれど、香織のご両親はどうなんだろうな。
どうだったかなと、BBQの時のことを思い出してみていると、両家の母親が料理をもって戻ってきた。
昨日見かけたカニを筆頭に、豪華な料理が並んだ。
遊んでいた2人を呼び戻し、声を揃えていただきますをして、食べ始める。
「カーニ、カーニ!」
「カニ食べる時は黙るって言うけど、分かるよな」
黙々と口いっぱいに頬張って食べる美咲、丁寧にぱくりと食べる香織に、お酒と一緒に楽しむ両親と、各々カニを楽しむとあっという間になくなっていった。
カニの後も、続きの鍋やお肉を食べていくと、机の上がどんどん綺麗になくなっていった。
頃合をみて、美咲がトランプを用意し始め、両親はお酒を、俺たちはジュースを片手に、乾杯しつつ、尋常に勝負だ。
終始ニコニコしているのに、圧倒的な強さを見せる香織母に、いつも通り強い父さんと香織。酔っ払っちゃって半分使い物になってない香織父と母さん。相変わらず香織にベッタリな美咲。
賑やかな大晦日が過ぎていった。




