幼なじみ彼女と翌日の朝
おはようございます。香織です。
なんだかいつもよりも、スッキリ起きれたような気がする。
「ん……」
「わわっ」
割と寒い夜だったからか、昨日の夜から抱き合ったまま、朝を迎えたようで、優斗に抱きしめられてる。
まだ起きる様子がないけど、ぎゅっとされているので、少し苦しいかも。
「ごめんね」
優斗の手を動かして、するりと抜け出します。
「よいしょっ、と」
起き上がってみると、もう少しだけぎゅっとされてた方が良かったかな、なんて思ったけれど、今の時間も分からないので、ちゃんと起きることにしました。
「けど、ちょっとだけ……」
隣で寝ている優斗の頬を突っついて遊んでみる。
こうしてると可愛いのに、昨日は優斗のペースに乗せられたなぁ。寝る前は私の好きにしちゃった気がするけど。
そんなことを考えながら、優斗の頬で遊んで、満足したので、部屋を出て、朝の準備をすることにする。
優斗を起こさないように、ゆっくり静かに部屋を出ました。
* * *
「ふわぁぁ……眠い。てか腕痛ぇ……」
何か物音がした気がして、目が覚めた。隣にいたはずの香織は既におらず、香織の部屋には俺1人だ。
香織の枕として提供した俺の片腕は、寝違えたような痛みがする。これ、今日1日痛そうだな。
アニメなど、物語の中のカップルがすることの中でも、割とやってみたいランキング上位に入ってそうな腕枕だが、実際やると多少の代償があるんだなぁ、などと、朝の寝ぼけた頭で考えながら、リビングへ向かうと、いい匂いがしてきた。
「おはよう、香織」
「おはよ、優斗。紅茶入れるけど、飲む?」
「飲む〜」
香織は美味しそうなトーストを用意しながら、紅茶を入れていた。
「料理できるんじゃん」
「ほんとに簡単な事だけなんだよね。お湯沸かしたり、トースターで食パン焼いたりしただけだもん」
そう言いながら、紅茶とトーストをもって、リビングに戻ってきた。
「あっ、優斗も食べる?あんまり食べるとお昼遅くなっちゃうし」
「ありがとう。お言葉に甘えて」
香織はトーストをだいたい半分に分けて、お皿に載せてくれる。
「何で食べる?ジャム?マーガリン?」
「ジャムがいいな」
「私と同じだね。いちごでいい?」
香織はそう聞きながら、両方のパンにジャムを塗ってくれた。
いただきますをしてから、パンを食べ、紅茶を飲みながら、ゆっくり過ごす。
「すげぇ。おしゃれな朝って感じだ……」
「え〜、何それ」
ちょっとカッコつけた姿勢で俺がそんなことを言うと、香織がくすりと笑った。
もし、俺と香織が一緒に暮らすことになったら、朝はこんな感じなのかな。
「ねぇ、この後、ちょっとお散歩行かない?」
「いいな。どこら辺行く?」
「天気いいし、河川敷の方とかどう?」
「ちょっとした食べ物買って、ピクニック的な?」
「そうそう!」
凄く魅力的なお誘いである。ぐいっと紅茶を飲み干し、張り切って話をする。
「よし、早速行くか?」
香織は俺の頭を示しながら、笑って答える。
「その前に、寝癖直してきたら?家では可愛いからいいけど。その間に私も準備しとくから」
完全に忘れてたことを、ちょっと恥ずかしく思いながら、洗面台に向かい、身だしなみを整える。
きちんと身だしなみを確認してから戻ると、香織は食器を片付けてくれていた。
「香織、ありがとな。昨日もして貰って悪いな」
「どういたしまして。気にしないでいいよ。もっと色んなことしてもらったし」
話しながら出かける準備を整え、2人で玄関を出る。
「なんか、不思議な感じだね」
「だな。普段はそこで待ち合わせてるのに、一緒の家から出かけるなんて」
些細なことではあるが、幸せを感じる。
「香織、まずはコンビニだよな?」
俺はそう聞きながら手を差し出す。
香織は嬉しそうに手を取りながら、横に並んで話す。
「うん!行こっ!」
手を繋ぎ、話しながらコンビニへ向かう。
「優斗、今のちょっとかっこよかったね」
「そうか?あんまり意識してなかったけど」
「いつも、手を繋ぐの私からの方が多いのに、今日は優斗からしてくれたから。嬉しかったよ?」
ルンルン気分の香織につられて、俺も楽しい気分になってくる。
思い返すと、香織からのアプローチに甘えてるところがあるよな。もっと俺も勇気を持たないと。
コンビニでサンドイッチや飲み物を買って、河川敷にやってきた。
「今日はあんまり寒くないからいいね〜」
「だな。天気もいいし、寒すぎないし、風も強くないし、ちょうどいいな〜」
冬だというのに今日は過ごしやすい。俺ら以外にも散歩してる人やピクニックしてる人がいるくらいだ。
「今思ったけど、サンドイッチなら私たちでも作れたかな?」
「あー確かに。次は作ってみてもいいかもな」
「次の楽しみだね」
あっという間に食べ終わり、ゆったりと過ごす。
「優斗、それ買ってること多いよね」
香織は俺が手に持っている炭酸のジュースを指さしながらそう言った。
「これ好きなんだよな。迷ったらとりあえず買う」
ちなみにジンジャエールである。
「飲んだことないんだよね。炭酸たまにしか飲まないから」
「美味しいよ。飲むか?」
俺は香織にペットボトルを差し出す。
香織はそれを受け取り、1口飲んだ。
「ん、あんまり炭酸強くないんだね。飲みやすい」
「そそ、ごくごく飲める」
香織はもう一口飲んで、俺に返してきた。
俺も喉を潤しつつ、ゆったりと進む時間を2人で楽しんだ。




