表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/136

幼なじみ彼女の誕生日の予定

週が開け、12月に入った。青原さんの誕生日を祝ったばかりだが、次は香織の誕生日がやってくる。

俺の誕生日、香織にたくさんのものを貰った。だからこそ、して貰った以上に、お祝いしたい。プレゼントサプライズなど、様々考えた結果、あることにたどり着いた。


「俺、サプライズとか、香織に気付かれず準備する自信ないわ」


冷静に、割と普段から内心を見透かされてる香織に対して、いい方向のことであろうと、隠しきれるきがしない。

なんなら気づかれて、香織を不安にさせてしまうところまで想像がつく。


「なら、いっそ開き直れば?」


休み明けにも関わらず、俺の相談を聞いてくれていた青原さんの言葉を聞いて、谷本も考えを話す。


「確かにな。祝うってことが大切なわけで、日にちとか場所とか、用意するために隠し事してますよ〜って話してれば、中村さんは安心するよな」

「私たちが橋崎くんに話して安心したように、香織ちゃんに素直に伝えればいいんだよ」


確かに。別に伝えたところで、香織が嫌な思いする訳では無いのか。


「それが良さそうだな。伝えることにする」

「誰にでも得意不得意あるし、無理して変な感じになるよりずっといいと思うよ。それはそうと、誕生日13日だったよね?」

「ああ。あってるよ」


青原さんと谷本は続けて話す。


「俺たちもその日までに中村さんに誕プレ用意するんだけどさ」

「代わりに渡してくれるかな?私たち、今度は部活休めそうになくて」

「わかった。ちゃんと渡すから、忘れずに俺に預けてくれ」



そんな話をした日の放課後。

自宅最寄り駅で香織と待ち合わせ、一緒に帰る。


「香織、早速なんだけど、ちょっと聞いてくれるか?」

「なになに?どうしたの?」

「香織、今月誕生日だろ?その準備を、始めようと思います」


香織はそれ言っちゃうんだ、と言わんばかりに驚いた表情をしていたが、ひとまず言ってしまおうと、続けて話す。


「それで、色々準備する中で、香織に内緒にすることもあると思うんだ。んで、多分香織は、俺が隠し事してることに気づく」

「うん、気づいちゃう自信あるかも」

「だろ?だけど、なんか隠してるな〜って思っても、心配しないでくれ。ただ香織の誕生日を祝うために、準備してるだけだから」


そこまで話すと、香織は察したように手を軽く叩いて口を開く。


「私が心配したり、不安にならないように、先に教えてくれたんだね。ありがと。楽しみにしとくね」

「おう。楽しみにしててくれ」

「それと、せっかくこの話になったから、優斗に1つお願いしていい?」


香織は首を傾げてそう聞いてくる。断る理由もないので、「なんでもどうぞ」と答える。


「あのね、誕生日の事のお祝いの事なんだけど、場所は私のお家にして欲しいなって」

「そりゃ、香織やご両親が迷惑じゃないなら大丈夫だけど、どうしてだ?」


香織は少し言葉にするのを躊躇ってから、意を決したように口を開く。


「昨日、ちょうど誕生日の話になって。お父さんとお母さんがね、私たちは休みの日に香織の誕生日をお祝いするから、当日は優斗くんと祝ってくれって言ってくれてるの」

「なんか申し訳なさを感じるな。ちゃんと俺からもお礼言っとかないと……」


俺の誕生日は香織と家族、両方から祝ってもらったから、誕生日当日の香織を独占するのは、嬉しい気持ちもあるけど、後ろめたさも感じる。

けれど、香織のご両親がそう言ってるなら、お言葉に甘えようか、とそこまで考えたところで、あることに気づく。


「今の、ご両親の話はわかったんだけどさ。それと、香織の家で祝うことって関係あったか?」


むしろ、香織の家でお祝いするにしても、香織のご両親とタイミングをずらせばいいのでは。


「えっと、ね。お父さんたち、金曜日は2人でご飯食べて、外で泊まって帰るって、言ってて」

「…………はい?」


なるほど〜、つまり?香織の誕生日は、香織の家でお祝いできるようにするために、ご両親は次の日まで帰ってこないと。なるほどなるほど。


「だから、その、夕方から、誕生日が終わる時、次の日の朝まで、ずっと一緒にいれる、よ?」


香織のその言葉を聞いて、心臓の音が大きくなる。

否応なしに、その、色々と想像してしまった。いや、しょうがないも思いたい。俺も健全な男子高校生なんだもの。


「そ、そりゃ、なんだ。えっと、楽しそうというか、楽しみというか、だけど。香織は、いいのか?」


戸惑いが隠しきれず、テンパって言葉が上手く繋がらない。

けれど、俺の意図は香織に伝わったようで、頬を赤く染めながら、答えてくれる。


「……うん。私は、誕生日を、優斗と2人で、過ごせたら、嬉しいな……」

「わかった。香織が、そういうなら。俺も、香織の家で過ごすつもりで、お祝いを考えるよ」

「た、楽しみに、してるね!そ、それじゃ、そういうことだから!」


いつの間にか自宅前まで帰ってきており、香織は伝えるべきことは伝えたといった様子で、家に入っていった。


俺も家に入ろうと、鍵を取りだしつつ、ドアを開けようとしたところで、しゃがみこむ。


「誕生日、俺、耐え切れるのかな……」


香織のご両親にご挨拶に行った時、ご両親からお願いされた約束を思い出して、気を引き締めて行かなければと、心に決めつつ、ドアを開け、家に入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ