幼なじみ彼女と文化祭 友達と一緒編
香織と文化祭を回ること3時間ほど。あっという間に時間が過ぎ、谷本と青原さんと合流する約束の時間になった。
待ち合わせ場所を改めてLINEで伝え、香織と話しながら待っていると、2人がやってきた。
「2人とも、お待たせ〜」
「全然待ってないから大丈夫だよ。桃ちゃん」
そう言ってハイタッチをして話をし始める青原さんと香織。
「おい、橋崎。一体何やらかしたんだよ。ここまで来る間、コソコソお前らの話が聞こえてきたぞ」
「いやぁ……、一応聞くけど、どんな話だった?」
「高嶺の花が〜だの、なんだあの男は〜だの。中村さんの名前が出てたからお前らのことで間違いないだろ。生徒の中じゃ、その話ばっかりなレベルだぞ」
「じゃあまぁ、作戦成功ってことで」
「1日どころか、たった数時間でこうなるって。中村さんの存在感と、今日の橋崎の様子を加味しても考えれねぇよ」
お昼のあの後も、手を繋ぎっぱなしで歩き回ったり、ちょっと休むって話して、ベンチに寄り添うように座ったりしたのが原因だろうなぁ……。今日は色んな視線を浴びて慣れてきたなぁ(諦め)
「よし、合流したわけだけど、どうする?何やる?」
「個人的には、香織のクラスの脱出ゲームが気になるけど……」
「いいよ?行く?」
「香織は内容知ってるわけだし、ちょっとな」
「大まかな流れは同じだけど、午前と午後で、謎解きの内容変わるから、大丈夫」
「中村さんがそういうなら、行ってみようぜ」
そう決まり、4人で香織のクラスを目指して歩いていく。
さっきまでのこともあって、周りの視線が俺たちに集まっている。香織は言わずもがなだけど、青原さんも谷本も、整った容姿をしているので、気づかれたら注目集めるのも納得だ。
4人で話していれば直ぐに時間が経つもので、香織のクラスに付き、脱出ゲームが始まる。
ゲームマスター兼司会のような役割の生徒による、脱出ゲームの説明が始まる。
「皆様ようこそ『偽りの文化祭からの脱出』にお越しくださいました!これから皆様には、グループごとに協力し合い、生徒会生徒になりすました黒幕を探し出し、暗雲立ち込める文化祭を成功に導くことを目指していただきます。クラス入室時に、お渡しした冊子を元に、脱出を目指してください!」
どうやら、文化祭を運営する生徒会執行部の中に、紛れ込んだ、文化祭にトラブルを起こして失敗させようと企む黒幕を探し出す脱出ゲームのようだ。
「これ、ゲームブック形式だな。こだわり感じる」
「クラスに脱出ゲーム大好きな子がいてね。その子のおかげだね」
「楽しそうだね〜」
制限時間は60分。いざ、脱出だ!
「もうちょっとだったのに!」
「ちゃんと難しいのだったな」
俺たちは脱出することが出来なかった。もうちょっとのところで時間切れになってしまった。
楽しくやったのだが、谷本の頭の回転の速さがよくわかった。香織がネタバレにならない程度に参加していたので、香織とは比べられないが、俺たち2人よりだいぶ解いていた。
「まじで本格的だったな」
「褒められてたよって伝えとくね」
しかしながら、運営側でもあった香織は苦戦してた俺たちが面白かったようでニコニコしていて、谷本と俺はクオリティの高さに関心して、青原さんはとにかく悔しそうと、それぞれ反応が違っていて面白い。
「もう!悔しい!今度リベンジするよ!」
「もう1回入るのか?」
「ううん、最後に解説あったから、別の脱出ゲームに参加しよう」
「面白そうだな。そしたら中村さんもちゃんと参加できるし」
「それじゃあ私、調べてみるよ。良さそうなの見つけたら教えるね」
話の流れで、脱出ゲームのリベンジが確定した。正直俺も悔しかったし、楽しみだ。次は足引っ張らないようにまた特訓だな。
「そしたら、LINEにこの4人のトークルーム作っとこうぜ。青原、頼む」
「りょうかーい!」
青原さんがスマホをちょちょいと操作し、直ぐに招待が来た。
「『脱出ゲームの会』って、そのままだなぁ」
「とりあえずだからいいでしょ!ほら、文句言わずに入る入る」
「へいよ」
4人のトークルームが作られ、同時にメッセージを送れるようになった。考えれば、香織を含めたグループは初めてだ。
「これ、別に脱出ゲームに関する事じゃなくても連絡していいんだろ?」
「なーに言ってるの、もちろんだよ」
「了解、気軽に連絡入れる」
俺はちらりと香織に目配せする。これで香織も連絡取りやすくなるかな。
「よし、グループも作ったところで、次、どこ行く?」
「まだ回りきれてないし、とりあえず歩き回ってみるってのは?」
「いいな。香織、案内頼んでもいいか?」
「もちろん!任せて」
香織に手を引かれながら、次の目的地目指して、みんなで歩き出した。




