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第八話

 都内から、各駅停車の電車に乗ること3時間、そこから本数の少ないバスに揺られること30分・・・疲れがピークに達した頃、ようやく到着。


 ここは辺境の地にあるホテル。


 チェーン展開をしているホテルの割にお客様の数が極端に少ない・・・と言うのもチェーン展開する際に肝いりでオープンしたのだが、繁盛していたのはほんの一時で、交通の便が悪い、当時のスタッフの対応が悪いなどが、口コミやネットにさらされ、とうとう旅行サイトでも★マークが最低ランクとされてしまい、さらに客足が遠のき…「悪のスパイラル」と言った具合だ。


 歴代の支配人が人気回復の為に様々なキャンペーンや広告などの手を打ったが、これが逆に赤字を生むと言う散々な結果になり、心を病み、退職する支配人が後を絶たない・・・。


 私は「誰もいない玄関」から館内にはいり、コツコツと私の靴音だけが響くホールを抜け、支配人室へ向かった。


 私が赴任した折の支配人は、ちょうど定年退職をするタイミングだったそうで、お疲れ様でしたと挨拶をした。


 私は『現・支配人』に単刀直入に聞いてみた。何事も事実を把握しておかないと動きようがないからだ。キツイ質問を突き付けるが仕方がない・・・。


「集客の為に何かされましたか?」


 すると、ため息まじりに私を哀れなと言った感じの目で見ながら

「いえ、今更、何かをしようと手を打った所で赤字の原因になります。」


 続けざまに

「月間の平均稼働率はいくら位なのでしょう?」


「多く見積もって20%位と言ったところでしょうか・・・。」と小さな声で答えた。


 余りにも低すぎる…心を病んだ支配人の気持ちが解る。


 私は無数にある悪い可能性を想像しながら、更に質問を投げかける。

「お客様が来ない原因は何だと思いますか?」


『現・支配人』は、今までの不満を全て吐き出してやる!との勢いで

「私の知る限り、何もかもが最悪なんです。利益を出すためには節約だと言った『前・支配人』が、有能なスタッフは高給取りだからと解雇し、代わりに雇い入れた賃金の安いスタッフは、何の教育も行き届いていない『使えない』者ばかり、お怒りになったお客様と口喧嘩をして、「二度とここに来るか!」と言われ、ひたすら謝るのが支配人の仕事。と言った始末・・・それら全てが悪い方向に進んだと理解しています。」と捲し立てた。


「なるほど・・・少し館内を見てきても?」


 少しだけスッキリとした顔をした、『現・支配人』は、少しだけ笑みを浮かべ、そして恥ずかしい物を見せるようで申し訳ないと言った表情で

「どうぞ、ごゆっくりと見てきてください。」


 私は支配人室を出、薄暗いホールへと歩いていった。

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